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» 2020年04月23日 08時00分 公開

宇宙開発:MOMO5号機の打ち上げ延期はオシレーター故障が原因、5月に再度宇宙に挑戦 (1/2)

インターステラテクノロジズは観測ロケット「MOMO5号機」の新たな打ち上げ日を発表。同時に当初2019年冬に予定していた打ち上げ日を延期した技術的理由の解説も行った。

[池谷翼,MONOist]

 ロケット開発ベンチャーのインターステラテクノロジズ(以下、IST)は2020年4月20日、オンラインで記者会見を開催し、同社が開発した観測ロケット「MOMO5号機(以下、5号機)」の新たな打ち上げ日を発表した。打ち上げ日時は2020年5月2日午後5時15分で、打ち上げ場所はインターステラテクノロジズ大樹ロケット射場(北海道大樹町)を予定。同年同月3〜6日を予備日として設定する。また会見では当初2019年末頃に予定していた5号機の打ち上げ延期の原因に関する技術的解説も行った。

打ち上げ予定のMOMO5号機イメージ図[クリックして拡大]出典:インターステラテクノロジズ 打ち上げ予定のMOMO5号機イメージ図[クリックして拡大]出典:インターステラテクノロジズ

2019年末の打ち上げ延期はオシレーター故障が原因

 MOMOは液体酸素と炭化水素燃料(エタノール)を推進剤とする液体燃料ロケットだ。ロケットエンジンはヘリウムを加圧ガスとするガス圧送式を採用しており、推力は約12kN。ロケット本体の重さを示すドライ重量は330kgで、燃料やペイロードなどを搭載した全備重量は約1150kgである。機体全長は9.9m、機体直径は500mm。到達高度は100kmを目標とする。

MOMO5号機の機体性能[クリックして拡大]出典:インターステラテクノロジズ MOMO5号機の機体性能[クリックして拡大]出典:インターステラテクノロジズ

 ISTは当初、2019年12月29日から2020年1月2日の期間中にMOMO5号機を打ち上げる予定だったが、機体に搭載した電子機器に不具合が見つかったことで打ち上げ日を延期していた。不具合の具体的内容についてIST 代表取締役社長の稲川貴大氏は「5号機上部に搭載された飛行制御基板や機体下部の各種センサー基板の間でデータ通信を行うCAN-BUS(CANバス)で散発的なエラーが発生していた。原因は各種基板上にあるオシレーター(発振回路)の故障だ」と語った。

インターステラテクノロジズ 代表取締役社長の稲川貴大氏 インターステラテクノロジズ 代表取締役社長の稲川貴大氏

 原因を探るため稲川氏らはエラー発生の再現実験を実施し、液体酸素充填実験などを通じて低温環境下と常温環境下で一部基板のデータ転送速度に異常が見られることを突き止めた。「5号機が正常に飛行するには機体に搭載された全基板が正確かつ同速度でデータ送受信を行う必要があり、オシレーターの周波数はこの送受信速度の基準になっている。通常のオシレーターの周波数誤差は0.00001〜0.001%程度に収まっているが、エラーを起こした基板ではオシレーターが故障しており、周波数誤差が数%程度になる現象が時々発生していた」(稲川氏)という。

5号機の延期にはCAN-BUSとオシレーターのエラーが深く関係する[クリックして拡大]出典:インターステラテクノロジズ 5号機の延期にはCAN-BUSとオシレーターのエラーが深く関係する[クリックして拡大]出典:インターステラテクノロジズ
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