連載
» 2020年05月12日 11時00分 公開

工程管理は、あらゆる現場問題を解決する(1):工程管理とは何か、基本に立ち返って説明する (1/3)

工場における生産管理の根幹となる「工程管理」について解説する本連載。第1回は、工程管理にどのような意義があるのかをはじめ、基本に立ち返って説明する。

[福田 祐二/MIC綜合事務所所長,MONOist]

 筆者の福田祐二氏は、これまでもMONOistで方法改善や品質管理、原価低減、標準時間などをテーマとする解説記事を多数執筆してきました。今回から始まる新たな連載のテーマは「工程管理」です。(MONOist編集部)



 今回、「工程管理」を取り上げた理由は、いろいろな企業の現場で生産スケジューリングを含めた狭義の生産管理が軽視されているように感じる場面に出会うことが多くあるからです。そのために、多くの現場問題が発生し、それらを処理しきれないまま抱え込んでしまい二進も三進もゆかず、皆で右往左往している状況をよく見掛けます。これらの日常の問題点に対する対処方法については、また別の機会に整理して説明をしたいと思います。

 本連載では、工程管理とは、どのような意義があるのかをはじめ、基本に立ち返って説明をしていきますので、いま一度、工程管理の重要性を確認してほしいと思います。生産日程計画(Scheduling)の最大のメリットは、生産の平準化にあります。平準化とは、最も少ない経営資源で生産を行うことを達成する手段であると換言できます。つまり、工程管理に関心の薄い職場や企業は、利益を生み出していく機会損失を招いているともいえます。

 工完日を顧客納期で管理している企業も多く見受けられます。これでは、納期が守れない事態が発生しても不思議ではありません。営業部門が注文をとってきて「後はよろしく!」とばかりに、現場に丸投げしていることも多くあります。このような点もすぐに改善すべき事象です。

1.工程管理とは

 企業の最終目的は、需要に応じて生産した製品を販売して、得られる利益を最大化していくことです。そのためには、製品を経済的に生産することが必要で、つまり生産から販売に至るまでの、必要な費用が最小になるような努力が必要です。

 企業の規模が大きくなると、この努力を幾つかに分けて専門化して組織の中に位置付けていく必要があります。営業、本社、工場といった区分がこれに当たります、さらに、これらの中で業務を細分化して管理単位が構成されることになります。このうち、工場における活動を「生産管理」と呼び、さらに、この中で製造の過程に密着した部分を「工程管理」といいます。

 「工程管理」は、工程に関する生産活動の種々の実行計画を立案し、実行時の現実問題を統制・監督・調整していくことをいいます。つまり、「基本計画」に従って、ある品種の製品を所定の期日までに所定数量を経済的に製造するように計画し、統制していく活動をいいます。図1は、新製品の計画から製品完成までの流れと、工程管理の対象領域を示したものです。

図1 図1 新製品計画から製品完成までの基本機能(クリックで拡大)

 工程管理の領域は、生産計画と生産統制によって構成されています。生産計画は、設計仕様に基づく作業の手順計画、負荷調整を含む工数計画、製品納期や生産平準化を配慮した日程計画、その他に材料手配計画や外注計画などから構成されます。また、生産統制は、分かりやすい表現で説明すると、「なぜ、計画通りに物が完成していかないのか」とか、「計画通りに生産していくためには、どのようにすればよいか」などの実情をみながら、生産活動を統制していくもので、進度管理、現品管理、余力管理などから構成されています。

 工場の活動は、全てが製造につながっていきます。従って、工程管理は、生産活動の中でも中心的な位置を占め、狭義に考えれば工程管理は生産管理そのものであるといっても過言ではありません。以上のことを踏まえてまとめますと、「工程管理とは、一定の品質と数量の製品を、所定の期日までに生産するために、諸資源を経済的に運用させることを目的とし、そのために工場の生産活動を総括的に統制することである」と定義づけられます。

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