パナソニックは新型コロナ影響で売上高2割減も「4月が底で5月から回復」製造マネジメントニュース(1/2 ページ)

パナソニックは2019年度(2020年3月期)連結業績を発表。売上高が前年度比6%減の7兆4906億円、調整後営業利益が同12%減の2867億円となるなど、事業構造改革と新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大による減販が響き、大幅な減収減益となった。

» 2020年05月19日 06時30分 公開
[朴尚洙MONOist]

 パナソニックは2020年5月18日、2019年度(2020年3月期)連結業績を発表した。売上高は前年度比6%減の7兆4906億円、調整後営業利益は同12%減の2867億円、営業利益は同29%減の2938億円、税引き前利益は同30%減の2257億円、当期純利益は同21%減の2257億円。事業構造改革と新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大による減販が響き、大幅な減収減益となった。

パナソニックの2019年度連結業績 パナソニックの2019年度連結業績(クリックで拡大) 出典:パナソニック

 COVID-19による減販の影響が大きかったのがアプライアンス(AP)社とコネクティッドソリューションズ(CNS)社だ。COVID-19の影響を織り込んでいない2020年2月時点の業績見込みと比べて、AP社は売上高が974億円、調整後営業利益が129億円、CNS社は売上高が743億円、調整後営業利益が48億円減少している。

2019年度のセグメント別実績 2019年度のセグメント別実績。AP社とCNS社がCOVID-19の影響を大きく受けた(クリックで拡大) 出典:パナソニック

 ただし全社の営業利益増減要因をみると、中国の投資需要低迷とCOVID-19による減販による890億円、角形車載電池の固定費増加による319億円というマイナス要因は、テスラ向け円筒型車載電池をはじめとする合理化による432億円、事業構造改革による固定費削減の625億円などのプラス要因である程度打ち消すことができている。

2019年度業績の営業利益増減要因 2019年度業績の営業利益増減要因(クリックで拡大) 出典:パナソニック

 2019年度は、トヨタ自動車との協業による車載用角型電池事業や街づくり事業の競争力強化、半導体や液晶パネル、ソーラーなど赤字事業の収益性改善を着実に進めた1年となった。しかし、2020年度に入ってからは、COVID-19の感染拡大により欧米と東南アジアを中心に大きく販売が減少している。これらの影響を現時点では算定できないため、今回は2020年度の業績見通しの発表を見送った。合理的に算定可能になった時点で開示する方針である。

 まず、2020年第1四半期におけるCOVID-19の影響については、需要面で自動車・航空業界などの市況低迷、各国の外出制限などにより、中国以外にも拡大しているとした。供給面では、2020年2〜3月にかけて起きた中国におけるサプライチェーン課題は解消しつつあるものの、アジアなどではロックダウンによる工場停止の影響が残っているという。

事業活動へのCOVID-19の影響 事業活動へのCOVID-19の影響(クリックで拡大) 出典:パナソニック

 パナソニック 取締役 常務執行役員 CFOの梅田博和氏は、2020年4月の状況について「全社の販売は前年同月比で8割弱レベルにとどまる。日本は同9割以上あり、中国も同100%近くまで戻っているが、外出制限のあった北米は同5割、欧州と東南アジアは同6割まで減っている。当社として売上高規模は大きくないが、インドや中東、ブラジルなどはゼロ近くまで減少した」と説明する。

 その上で今後の見通しとして「4月が底で、経済活動が再開される5〜6月、そして7〜9月にかけて回復し、10月以降は元に戻るのではないか」(梅田氏)とした。

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