連載
» 2020年05月26日 08時00分 公開

モノづくりスタートアップ開発物語(1):QRコードでドローンに飛行指示、「簡単に使える」を重視するSpiralの開発思想 (1/4)

モノづくり施設「DMM.make AKIBA」を活用したモノづくりスタートアップの開発秘話をお送りする本連載。第1回はQRコードによるドローン飛行技術を開発するSpiralを紹介。

[大沼慶祐(DMM.make AKIBA)/河野正一郎(テックベンチャー総研),MONOist]

 東京・秋葉原の会員制モノづくり施設「DMM.make AKIBA」がオープンして6年目を迎えた。会員企業数は600社を超え、会員数も4000人を突破するなど、日本のモノづくりの裾野は広がりを見せている。

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)まん延でスタートアップ投資の冷え込みも予想されるが、日本に押し寄せたオープンイノベーションの波が立ち消えになることはないだろう。

 この連載では、「DMM.make AKIBA」とテックベンチャー総研が社会の課題解決に奔走するスタートアップやクリエイターたちを追いかける。第1回は、GPSでは制御しきれない屋内環境でもドローンの自律飛行を可能にするシステムを開発するSpiral(スパイラル)のCEO石川知寛氏に事業を始めた経緯や現状の課題、将来について聞いた。

Spiralのメンバー。海外からの技術者を積極的に受け入れている。左から5番目がSpiralのCEO石川知寛氏[クリックして拡大]出典:Spiral Spiralのメンバー。海外からの技術者を積極的に受け入れている。左から5番目がSpiralのCEO石川知寛氏[クリックして拡大]出典:Spiral

QRコードで飛行指示を読み取る

 Spiralはドローンを作る会社ではなく、屋内で精緻にドローンを自律飛行させるシステム「MarkFlex Air」を開発している会社だ。このシステムは、ドローンが搭載されたカメラとセンサーで、壁などに貼られた「右に5m」「上に10m」などQRコードの指示を読み取って飛行し、次の地点でまたQRコードの指示を読み取る動作を繰り返す。こうすることで、利用者はドローンを通過させたい地点を自在にコントロールできるため、トンネル建設現場など、屋内の広大な空間の管理システムとしての活用が期待されている。

MarkFlex Airは機体に取り付けられたカメラとセンサーでQRコードを読み取って指示通りに飛行する[クリックして拡大]出典:Spiral MarkFlex Airは機体に取り付けられたカメラとセンサーでQRコードを読み取って指示通りに飛行する[クリックして拡大]出典:Spiral

 MarkFlex Airは、掃除ロボットなどに組み込まれているSLAM(Simultaneous Localization and Mapping:地図作成と自己位置推定を同時に行う技術)と異なる非SLAM型システムだ。市販されているドローンに簡単な作業で後付けできるシステムのため導入コストを削減できる点が特徴である。また遠隔操作や遠隔監視を必要としないため、通信環境の悪化によるドローン墜落の危険がない。さらに、飛行ルートを簡単に変更できるなどのメリットもある。

 Spiralの石川氏は「現場技術者の救世主となる」をミッションに掲げ、技術者目線に偏ることなく、現場で働く人たちの目線を重視して研究開発を続けているという。

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