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» 2020年06月05日 11時00分 公開

組み込み開発 インタビュー:ロボットや医療機器向けで用途が広がる電子回路基板、製造開発受託が拡大 (1/2)

製品がITやネットワークなどを前提にしたモノへと生まれ変わろうとする中で、重要性を増しているのが電子回路基板である。電子回路基板の開発や製造受託で成長する長野OKIの取り組みについて、代表取締役社長に就任した薄井薫氏に話を聞いた。

[三島一孝,MONOist]

 さまざまな製品がITやネットワークなどを前提にしたモノへと生まれ変わろうとする中で、重要性を増しているのが電子回路基板である。一方で電子回路基板の高密度化や複雑化などが進み、メーカーにとっては開発や生産における負担が増えている。こうした中で電子基板の回路設計や製造までを請け負い、業績を拡大させているのがOKIグループの長野OKIである。

 半導体製造装置や、FA・ロボット領域、医療機器向けなどで成長を遂げる長野OKIで、新たな代表取締役社長に就任した薄井薫氏に、現状と今後の方向性について話を聞いた。

産業用機械の制御部の開発受託を拡大

 長野県小諸市に本社を構える長野OKIは、OKIグループでEMS(電子機器受託生産サービス)を展開するEMS事業部に連なる企業の1つである。OKIグループ向けの情報システム機器や通信機器の基板製造を行う他、EMSとして電子機器や電子装置の受託生産を行っている。従業員数は関連会社も含めて378人(2020年4月1日時点)となっている。

 長野OKIの特徴が、電子基板回路の開発から製造設計、部材調達、基板実装、装置組み立て、検査まで一貫した受注ができるという点だ。薄井氏は「製品生産のみで受けるケースもあれば製造設計から製造までを担うケースもある。さらにはその前の装置設計や回路設計から担うケースもあり、これらのさまざまなニーズに応えられる点が特徴だ」と述べている。

photo 長野OKIのEMSモデル(クリックで拡大)出典:長野OKI
photo 長野OKI 代表取締役社長の薄井薫氏

 受託する製品分野としては、ロボット、計測機器や評価試験装置、画像検査装置など産業用装置内の各種制御基板分野や、製薬端末装置や血液分析装置など医療用装置内の制御基板がある。また、監視カメラや自動販売機の制御部や火災報知器の開発も担っているという。

 薄井氏は「産業用機械の制御部の開発と製造の受託が大きい。特に半導体製造装置、医療機器、FA関連機器などの領域が多い。FA関連やロボット向けの領域は、制御の高度化などが進み、汎用的な部分は外部に委託するケースも増えると考えており、今後も伸びる見込みだ。医療機器分野は新規開拓となるので、提案を広げていく」と語っている。

photo 開発サービスの概要(クリックで拡大)出典:長野OKI

商品力、営業力、生産力を強化

 2020年度の取り組みとして薄井氏は「商品力、営業力、生産力をさらに高めていく。それぞれの強みを生かしつつ主力領域の拡大と新規領域の開拓に取り組む」と語っている。

 開発力や回路設計力については、強みをさらに伸ばしていく方針だ。長野OKIはCPUではインテルのAtom系、産業用ネットワークではEtherCAT系など、得意分野を絞り込んで特徴を発揮している。Atom系での組み込み向けカスタムCPUボードの開発や、EFI(BIOS)のカスタマイズ対応などを行っている。また、EtherCAT向けでは、認証サポート対応や新規格の評価ボード開発などをいち早く行うことで差別化を実現するという。

 「EtherCAT向けでは規格の普及推進を担うEtherCAT Technology Groupと連携し、新規格などへの対応も積極的に進めていく。新規格の『EtherCAT G』についても準備を進めていく」と薄井氏は述べている(※)

(※)関連記事:EtherCATのギガビット規格、従来規格との組み合わせでも5倍高速化が可能

 その他、プレーン共振解析や伝送線路シミュレーションなど、さまざまな解析技術やシミュレーション技術を組み合わせることで、さらに効率的に高度な開発が行える体制を築く。

photo インテルAtomプロセッサーを搭載した長野OKIの制御基板(クリックで拡大)出典:長野OKI
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