機械学習を実装可能、耐放射線特性の航空宇宙グレードFPGAを発表宇宙開発

ザイリンクスは、放射線耐性を有する航空宇宙グレードのFPGA「Kintex UltraScale XQRKU060」を発表した。ML機能の実装と超広帯域幅の通信が可能で、衛星および宇宙アプリケーションでの利用を見込む。

» 2020年06月11日 14時00分 公開
[MONOist]

 ザイリンクス(Xilinx)は2020年5月19日(現地時間)、放射線耐性を有する航空宇宙グレードのFPGA「Kintex UltraScale XQRKU060」を発表した。ML(機械学習)機能の実装と超広帯域幅の通信が可能で、衛星および宇宙アプリケーションでの利用を見込む。40×40mmのセラミックパッケージで提供する。

 XQRKU060-1CNA1509のフライトユニットは、MIL-PRF-38535準拠のXilinxクラスBおよびクラスY認定デバイスとして、同年9月上旬から提供する予定。メカニカルサンプルとプロトタイプユニットは既に提供中だ。KCU105評価キットまたはFPGA開発キットを使用してプロトタイプを作成できる。

キャプション 航空宇宙グレードFPGA「Kintex UltraScale XQRKU060」 出典:Xilinx

 XQRKU060は、大容量オンチップメモリを搭載し、高密度で高電力効率の演算機能を備える。科学的分析、物体検出、画像分類といった深層学習向けに最適化され、INT8でのピーク性能は5.7TOPs(Tera Operations Per Second)を達成している。DSPスライスは2760個で、最大1.6TeraMACの信号処理演算を実行し、浮動小数点演算の効率も向上。32個の高速トランシーバー(SerDes)により、集約I/O帯域幅は最大400Gbpsに達する。

 柔軟なリコンフィギュレーション、リアルタイムオンボード処理、MLの高速化が可能で、衛星でのビデオ・オン・デマンドの提供、打ち上げ直前や衛星軌道上でのアップデートができる。

 20nmプロセスを採用し、サイズ、重量、消費電力を大幅に削減。打ち上げ時の振動や軌道上の放射線への耐性など、低軌道、中軌道、静止軌道の全軌道、深宇宙探査に必要な要件を満たす。

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