Special
» 2020年07月06日 10時00分 公開

With/Afterコロナ時代に向けて:困難に打ち勝つ現場力を! 中小製造業の業務プロセス変革に向けた手引き

With/Afterコロナ時代に向け、企業経営や業務プロセスの在り方、働き方そのものの見直しが強く求められている。本稿では、日本のモノづくりを根底から支える中小製造業にフォーカスし、BCP(事業継続計画)の観点を交えながら、“いかなる困難にも打ち勝てる強い現場づくり”のヒントを提示する。

[PR/MONOist]
PR

 皆さん、こんにちは! いわてデジタルエンジニア育成センター センター長の小原照記です。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的流行は、人々の健康、安全な暮らしだけでなく、経済にも大きな影響を及ぼしています。とりわけ製造業では、サプライチェーンの断絶や需要の減退など、経営を脅かす事態にまで発展するケースも見られ、With/Afterコロナ時代に向けた、企業経営や業務プロセスの在り方、働き方そのものの見直しが強く求められています。

 こうした状況を踏まえ、本稿では、日本のモノづくりを根底から支える中小製造業にフォーカスし、新たな業務プロセスの在り方、働き方について、BCPの観点を交えながら、“いかなる困難にも打ち勝てる強い現場づくり”のヒントを提示したいと思います。

テレワークは製造業でも可能か!?

 厚生労働省により2019年4月から施行された「働き方改革」の一環として注目されてきたテレワーク(在宅勤務)は、COVID-19の感染拡大に伴う緊急事態宣言を受け、加速度的に導入が進みました。ここ数カ月、会議や打ち合わせなどで、オンライン会議システムを活用し始めた企業も多いのではないでしょうか。

 製造業はテレワークに不向きだと思われていましたが、開発や設計などの技術業務を在宅勤務で取り組み始めた企業もありました。社内の高性能PCを自宅に持ち帰って環境を整えたり、リモートで自宅から会社のCAD/CAE環境を動かしたりと、これまでネックとなっていたセキュリティポリシーについての見直しが行われ、クラウド活用の勢いも増しています。

 これまで「クラウドは危ない」といって、全く使ってこなかった企業も安全な活用方法を検討・構築し、クラウドを便利なツールとして使用し始めています。

図1 クラウドやリモート操作を活用して進む在宅勤務 図1 クラウドやリモート操作を活用して進む在宅勤務

 テレワークを実施する上で検討すべきセキュリティ事項として、データ共有の方法が挙げられます。データ共有の際、誰にどこまでの権限を付与するのか、管理者を誰にするのか、PCやUSBの持ち出しルールをどうするのかなど、さまざまな整備が必須となります。また、データ共有/データ管理のためのソフトウェアやハードウェアも必要になってくるでしょう。まずは自社の課題を明確にし、具体的に社員へ伝えていきながら環境を整えていきましょう。

 今後、COVID-19感染拡大の第2波、第3波が来た場合に備え、社員を不安から守り、安全に働けるテレワーク環境をきちんと整備しておくことが、With/Afterコロナ時代を生き抜くために必要です。また、人材不足の解消という観点からも、テレワーク環境を作り上げることで、働く意欲や能力はあるが子育てや介護などで家から出られない人たちを雇用し、企業体制の強化につなげることも可能です。

多能工化による働き方改革

 主にPCを使用する設計者のテレワークは、環境を整備することで実現可能です。しかし、製造現場で実際にモノづくりに従事しているエンジニアはどうでしょうか。

 そこに工作機械や測定機などがないと製品を作れず、モノがなければ試験や評価も行えず、そもそも現場に人がいないことには始まらない……と、頭を抱えている企業経営者も多いかと思います。

 IoTやロボットの導入により人が現場に行く頻度を減らすことは可能でしょう。しかし、高額の投資が必要ですし、すぐに実現できるものではありません。やはり、どうしてもテレワークに向いている業務とそうではない業務があります。今後テレワークを導入するに当たり、段階的に進めていくことが何よりも重要です。まずは、PCで業務を行っている設計などの技術職や事務職から始めるのがよいでしょう。

 現実には、製造現場はやはりテレワーク導入が難しく、平等性を保つために設計部や事務員も含めた社員全員が出社するという日本人らしい企業も多いようです。そこで、私が提案したいのが「多能工化による働き方改革」です。

 製造現場の人がCAD/CAMを覚えて、在宅でも仕事をできるようにするのです。また、設計者や事務員、営業マンなどが加工や検査を行えるようにして、交代で在宅勤務が行えるようにする体制づくりが今後の新しい働き方として必要ではないでしょうか。そして、設計者や事務職が現場を知ることも重要なことです。現場を知ることでより良い設計が行えるようになりますし、事務職の人が現場を少しでも知ることで、より良いコミュニケーションが生まれ、より良いモノが作れるのではないでしょうか。少々極端な例になりますが、イメージを図2に示します。

図2 多能工化した1週間の働き方例 図2 多能工化した1週間の働き方例

 もちろん人には得意、不得意がありますので、必ずしも全員がCAD/CAMを覚えてテレワークに取り組む必要はないかと思います。しかし、まずは働き方を選べる権利を社員に与えるということが大切です。日本の「働き方改革」は、多様な働き方を選択でき、一人一人がより良い将来の展望を持って働ける、そのような社会の実現を目指すものですからね。

 また、ある程度の範囲で多能工化した働き方を実現できれば、「CAD/CAMデータは設計者や加工者だけが扱うもの」という固定観念から解放され、3Dデータなどのデジタルデータをより多くの人と共有しながら、新たなモノづくり、現場力の向上につなげることもできます。

自社製品・自社ブランドの開発、販売

 COVID-19の感染拡大はビジネス環境に大きな影響を与えました。実際、元請けからの発注がもらえない、材料や部品が入ってこないからモノを作れない……など、さまざまな声が聞かれました。100%大企業に依存したままの経営では、いかなる困難にも打ち勝つことはできません。

 やはり、自社で困難を克服できるだけの力が必要です。その1つのアプローチが、自社製品・自社ブランドの開発、販売です。もちろん、自社だけで開発が難しい場合は複数の企業と連携することで実現可能です。

 ただ、そうは言っても、自社製品・自社ブランドを作ることは簡単なことではありません。リスクもあります。しかし、開発できる環境やネットワークをあらかじめ構築しておくことは、今後のリスク管理の観点からも重要です。自社技術を使って作れる、ちょっとしたモノでも構いません。B2B製品でも、B2C製品でもよいでしょう。はじめから在庫を抱える販売ではなく、受注生産という手もあります。販売についてはECサイトを活用してもよいかもしれません。

図3 自社ブランドをB2B、B2Cへ 図3 自社ブランドをB2B、B2Cへ

 企業として今後も現場力を強化し競争力を高めていくためには、QCDの向上や現場改善に取り組まなければなりません。それに+αとして、自分たちでモノを作って販売できる体制を整えていくことが、これから先、中小製造業が生き残っていくために必要な1つの考え方だと思います。

変化に対応するために必要な環境整備

 企業規模にかかわらず、今後生き残っていけるのは、間違いなく変化に対応できる会社でしょう。そうした適応力や柔軟性、風通しの良さを実現するには、多角的な環境整備が重要です。そして、その1つの要素といえるのが、業務に必要な最新の環境を手に入れることです。

 製造業で使用されるCAD/CAM/CAEなども日々進化しています。10〜20年前とでは、世の中の状況も違います。クラウドやVR、AIなどが注目されていない時代に作られたものを使っていては、時代から取り残されてしまいます。ましてや今回のような予想もできないCOVID-19の世界的流行による経済、生活の変化に対応していくためには、モノづくりの未来を見据えて開発されている新しいソフトウェア環境が必要不可欠です。

 そこで、オススメしたいのが、オートデスクの「Product Design & Manufacturing Collection」(以下、製造業向けコレクション)です。サブスクリプション方式のため初期費用が抑えられ、常に最新バージョンを使うことができます。月払い/年払い/3年払いと支払い方法を選ぶことができるため、繁忙期だけライセンス数を増やすといったフレキシブルな運用も可能です。

 さまざまなソフトウェアを1つ1つ選んでいくのは、多くの時間と労力がかかりますが、オートデスクの製造業向けコレクションを導入すれば、CAD/CAM/CAE/CG/データ管理といった、モノづくりに必要なツールが全てそろいます。製造業向けコレクションに含まれるツール群は、以下の通りです。

  • AutoCAD(2D CAD)
  • Inventor(3D CAD)
  • Inventor Nastran(解析)
  • Inventor Tolerance Analysis(公差解析)
  • Inventor Nesting(ネスティング)
  • Inventor CAM(CAM加工)
  • Vault Basic(データ管理)
  • Autodesk Drive(クラウドストレージ)
  • Autodesk Rendering(レンダリング)
  • 3ds Max(3D CG)
  • ReCap Pro(3Dスキャン・点群データ)
  • Navisworks Manage(ビュワー)
  • Factory Design Utilities(工場レイアウト設計)
  • Fusion 360(クラウドベース型CAD/CAM/CAE)

 今後、自社製品・自社ブランドを設計開発するに当たり、CADは必須になります。製造業向けコレクションの中には、2D CAD(AutoCAD)と3D CAD(Inventor)が入っていますし、応力や変位などの構造解析を行う「Inventor Nastran」も含まれていますので、設計から強度検証まで行えます。また、データ管理ソフトウェア(Vault Basic)も付属しているため、チームでの設計も可能になります。

図4 製品開発ライフサイクル全体をカバーする「Product Design & Manufacturing Collection」 図4 製品開発ライフサイクル全体をカバーする「Product Design & Manufacturing Collection」 ※出典:オートデスク

 加工の際は、CAM(Inventor CAM)もあるため、3次元的な魅力あるデザインの形状を加工するプログラムを作成できます。2次元では限界だったデザインの幅を広げることができるのです。

 さらに、自社製品・自社ブランドをPRする際、より魅力的に見せるためのレンダリングや3D CGの活用は必須です。3D CADで設計した製品の3Dモデルを基に、CG上で色や背景を付け、プロモーション用の画像/映像を作ったり、VRで製品の使用感などをバーチャル体験できるようなデータを作成したりなど、CG技術をうまく活用することで、プレゼン力で差をつけることができます。現状、中小製造業でCG技術まで駆使している企業は少ないと思います。ぜひ、CG技術を活用した魅力ある製品開発にチャレンジしてください。

 その他、製造業向けコレクションにはさまざまなソフトウェアが含まれますが、これらは全て「道具」です。当然、導入してすぐに使えるものではありません。だからこそ1日でも早く導入し、今後に備えるべきでしょう。

 企業として、まずは社員に十分な環境を整えてあげることが大切です。テレワーク環境であったり、製品開発を行える環境であったり、より高度な製品を作れる環境であったりと、必要な環境を整えてあげることが、社員のモチベーションや安心感、さらには現場力の向上につながっていきます。

 強い現場とは、社員全員がやる気と主体性を持って生き生きと活動、挑戦し、各自の個性と能力が十分に発揮され、同じベクトルに向かって団結し、前進しながら成果を挙げ続けられる現場です。

 現在、2次元中心で設計や加工をしている企業は、ぜひ今後は3次元に切り替えて製品開発にチャレンジしてほしいと思います。3D CADで作られた3Dデータは、CAEやCAM、3Dプリント、さらにはCGやVRへとその用途を広げていくことができます。また、3Dであれば誰でも形状を認識できるため、社内外の関係者から意見をもらいやすくなり、より良い製品開発につなげられます。

 また同時に、人材育成/教育も重要です。道具を導入しただけでは、社員はすぐに使いこなせません。きちんとしたトレーニングの機会を与え、社員一丸となって取り組んでいくことです。そこには投資が必要ですが、いかなる困難にも打ち勝てる強い現場を作るためには、最適な環境を整えるだけでなく、“優秀な人財”を育てる姿勢も問われてきます。

 ここまで紹介した内容を、一度に全て取り組むことは難しいでしょう。まずは、取り組めるところから始めてみてください。その際、どのようなメリット/デメリットがあって、どのようなリスクが考えられるかなどを見極めながら、強い現場づくりに励んでいただけたらと思います。

資料ダウンロード

これからの製造業に必要な“設計の現場力”を高めるための手法とは

製造業界においては、設計・製造現場のデジタル化が生き残るための重要な戦略になりつつある。特に設計現場の開発力向上の鍵となるのが、企画から設計・製造、商談までの一連の業務をデジタル化することだ。その実践的なアプローチを紹介する。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.


提供:オートデスク株式会社
アイティメディア営業企画/制作:MONOist 編集部/掲載内容有効期限:2020年8月5日

資料ダウンロード

製造業界においては、設計・製造現場のデジタル化が生き残るための重要な戦略になりつつある。特に設計現場の開発力向上の鍵となるのが、企画から設計・製造、商談までの一連の業務をデジタル化することだ。その実践的なアプローチを紹介する。