開き戸タイプの玄関ドアを自動ドアに、LIXILの新規事業部門が1年で開発イノベーションのレシピ(2/2 ページ)

» 2020年07月08日 10時00分 公開
[朴尚洙MONOist]
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「玄関ドアをバリアフリーに」

 DOACの開発の背景には、車いすを利用する高齢者や障がいを持つ人々にとって、開き戸タイプの玄関ドアが生活を制限しているという課題がある。その一方で、より開けやすい引き戸タイプへの改修は住宅を再設計するレベルの負担が発生し、マンションやアパートではそもそも引き戸タイプへの変更ができない。

 この開き戸タイプの玄関ドアをバリアフリーなものに変えられる、後付けの自動ドアシステムとしてDOACが開発された。開発を担当したLIXIL Housing Technology Japan ビジネスインキュベーションセンター プロデューサーの今泉剛氏は「ただし、福祉用品という位置付けでは普及は難しい。より広く使ってもらえるインクルーシブな商品を目指し、各住宅に1つしかない玄関ドアだからこそみんなに使ってもらえるように開発を進めた」と説明する。

ソニーの「SSAP」を活用し、開発期間を1年に短縮

LIXILの羽賀豊氏 LIXILの羽賀豊氏

 今回DOACの開発を担当したのは、2019年4月に発足したLIXIL Housing Technology Japanの新規事業部門であるビジネスインキュベーションセンターだ。LIXIL Housing Technology Japanの理事で同センターのセンター長を務める羽賀豊氏は「国内における新規住宅着工数が減少する中で、既存ビジネスだけで成長を続けるのは難しい。ビジネスインキュベーションセンターは、今までにない新しいことに、素早く、そしてできるだけコストをかけず取り組むための部署だ」と語る。

 また、同センターはLIXILにおける人材育成も目的としている。「製品の開発や設計といった1つの部門にとどまらず、ビジネス全体を俯瞰した見方ができるような人材を育成する。そのために、1つの商品プロジェクトを1〜2人という少人数で担当するようにしている」(羽賀氏)という。DOACの開発も今泉氏を含めて少人数で行っている。

 今回のDOACのような、従来にない新しい製品を生み出す仕組みを構築することも同センターの目的の1つになっている。そこで、同センターの第1弾製品となるDOACの開発では、ソニーのスタートアップ創出支援プログラム「SSAP(Sony Startup Acceleration Program)」を活用し、LIXILとしては極めて短い約1年という期間で製品化を実現した。今泉氏は「従来の新製品開発では、企画、設計、生産と順を追って進めるため3年ほどかかっていた。今回は企画と設計を同時に進めるなどして開発期間を短縮させた」と述べている。

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