特集:IoTがもたらす製造業の革新〜進化する製品、サービス、工場のかたち〜
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» 2020年07月17日 12時30分 公開

モノづくり最前線レポート:SAPと新たに提携、“真のデジタルスレッド”に向け拡張目指すシーメンスの戦略 (1/2)

ドイツのSiemens(シーメンス)は2020年7月16日、グローバルでのデジタルイベント「Digital Enterprise Virtual Summit」を開催。その中でシーメンスでデジタルインダストリー部門COO(Chief Operating Officer)を務めるヤン・ムロジク(Dr. Jan Mrosik)氏が「産業の未来を共に創る」をテーマに講演を行い、同社のデジタルエンタープライズ戦略や、SAPとの提携について説明した。

[三島一孝,MONOist]

 ドイツのSiemens(シーメンス)は2020年7月16日、グローバルでのデジタルイベント「Digital Enterprise Virtual Summit」を開催。その中でシーメンスでデジタルインダストリー部門COO(Chief Operating Officer)を務めるヤン・ムロジク(Dr. Jan Mrosik)氏が「産業の未来を共に創る」をテーマに講演を行い、同社のデジタルエンタープライズ戦略や、SAPとの提携について説明した。

オートメーションからデジタライゼーションまで

photo シーメンスでデジタルインダストリー部門COOを務めるヤン・ムロジク氏

 シーメンスは、製造業のモノづくりにおける現実世界のさまざまなハードウェア群とソフトウェア群を保有しており、これらの情報を一元的に活用できる仕組みを構築できる。

 ムロジク氏は「製造業にとってはオートメーション化とデジタル化は重要な要素となっている。シーメンスはこれらをどちらも支えられるところがユニークな点である。リアルからデータを収集しバーチャル空間で処理をし、それをリアルにフィードバックするという一連のサイクルをシーメンス内で完結できる。バーチャルとリアルを両方担える」と語る。

 その中でシーメンスでは「デジタルエンタープライズ」という概念を提唱している。「デジタルエンタープライズ」は、製品のライフサイクル全てをデジタル化し、さらに製造プロセスと制御システムが連携することで、“デジタル化”により得られる高精度な分析や解析結果をリアルの世界にフィードバックし、生産性を抜本的に改善することを目指したものだ。

photo シーメンスが提唱する「デジタルエンタープライズ」において、シーメンスが提供するもの(クリックで拡大)出典:シーメンス

 「デジタルエンタープライズ」では、3つの「デジタルツイン」を構築することが重要だとシーメンスでは訴えている。「デジタルツイン」とは、IoT(モノのインターネット)などで取得したデータにより、フィジカルの世界で製品に起こっている情報を全て、デジタルの世界にコピーし、デジタルの世界に“現実世界の双子”を作ることである。これにより、各種データがフィジカルの世界でどういう動きやどういう影響を与えているのかということを、デジタルの世界で再現することができるようになる(※)

(※)関連記事:いまさら聞けない「デジタルツイン」

 3つのデジタルツインは「製品のデジタルツイン」「生産のデジタルツイン」「パフォーマンスのデジタルツイン」である。メカ、エレクトロニクス、ソフトウェアの設計やそれらに必要なシミュレーションなどに加え、生産設計や準備などを仮想世界で行う。さらに、リアルの世界での生産データなどを常に仮想空間に収集できるようにすることで、設計や生産の効率化を行える。加えて、製品出荷後のデータもIoTなどで収集しこれを「設計」および「生産」のデジタルツインで活用することで、さらに製品の高度化や生産の改善などにつなげることが可能となる。

photo 「デジタルエンタープライズ」における3つの「デジタルツイン」(クリックで拡大)出典:シーメンス

 ムロジク氏は「これらを全てシーメンスのポートフォリオの上で行うことができる。モノづくりにおけるデジタルスレッド(データやプロセスの処理の流れをデジタル化し、ネットワークなどを通じて一貫した情報の流れを実現する仕組み)の入り口から出口までを全て自社内で完結できる」とあらためてシーメンスのユニークさを強調する。

photophoto シーメンスのソフトウェアにおけるポートフォリオ(左)とハードウェアにおけるポートフォリオ(右)(クリックで拡大)出典:シーメンス

 これらの工程間の「水平方向での連携」を実現するだけではなく、企業内の「垂直方向の連携」についてもソリューション群を用意。“産業用IoTのOS”と訴えるクラウドプラットフォームの「Mindsphere」をはじめ、エッジデバイスやエッジアプリで構成されるエッジプラットフォームなどを用意している。「垂直方向の統合にはMindsphereやエッジプラットフォームが重要となる。また、新たに統合したローコード/ノンプログラミングアプリケーションを開発できる『Mendix』も大きな役割を果たす」とムロジク氏は語っている。

photo シーメンスのポートフォリオにおける垂直方向の統合(クリックで拡大)出典:シーメンス
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