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» 2020年07月20日 10時00分 公開

AI/IoTプラットフォーム:製造業に迫る「2025年の崖」。進まないAI活用の実現策は?

日本企業に強く求められているデジタルトランスフォーメーション(DX)の中でも鍵を握るとされているのがAIだ。国内の製造業もAIの活用に意欲を示しているが、効果的な取り組みを進められていない状況にある。NTTPCコミュニケーションズ、NVIDIA、ALBERTの3社はWebセミナーを開催し、国内製造業が効果的かつ効率的にAIを活用し、DXを推進するのに必要なアプローチについて訴えた。

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 ICTの進展などによりグローバルでの市場競争がますます激化していくなか、製造業をはじめとした日本企業に強く求められているのがデジタルトランスフォーメーション(DX)だ。DXでは最先端のデジタル技術の活用が欠かせないが、その中でも特に鍵を握るとされているのがAI(人工知能)である。

 しかしながら、従来技術とは一線を画するAIは導入のハードルが高いのも事実だ。特に、国内の製造業はAIの活用に意欲を示しているものの、要件定義や開発・導入の難しさ、AI人材や予算不足も加わって、効果的な取り組みを進められていない企業が多いのが現実だ。

 こうした背景を受けて2020年7月10日、NTTPCコミュニケーションズ、NVIDIA、ALBERTは3社合同で『DXを推進する製造業におけるAI活用とは〜「2025年の崖」を乗り越えよう〜』と題したWebセミナーを開催した。国内製造業が効果的かつ効率的にAIを活用し、DXを推進するにはどのようなアプローチが必要なのか。3社の講演内容を紹介する。

製造業におけるAI開発の内製化――ALBERT

 「AI開発の内製化のススメ」をテーマに講演を行ったのは、ALBERT ビジネス推進本部 製造・自動車部 部長の行方隆人氏だ。2005年に設立されたALBERTは、ビッグデータ分析領域において最適なソリューションを提供する日本屈指のデータサイエンスカンパニーである。AI活用コンサルティングやビッグデータ分析の実施に加え、オーダーメイドによるAIアルゴリズム構築からシステム開発、運用までをトータルで支援している。

 ALBERTは2018年5月のトヨタ自動車との業務資本提携を契機に、さまざまな産業との関わりを広げていく「CATALYST(カタリスト)戦略」を強く打ち出すようになった。行方氏は「主要産業におけるAIアルゴリズムとデータの触媒機能──すなわち当社がCATALYSTとなることで、産業間のAIとデータのシェアリングを促進することを目指しています」と説明する。

ALBERTのCATALYST戦略 ALBERTのCATALYST戦略(クリックで拡大)

 製造業におけるAI活用事例として行方氏が挙げたのは、多関節ロボットのプログラミングフリーの実現や、正常画像のみを利用した外観不良検知、複数のセンサーデータを活用した異常動作検知だ。この他にも、多くの製造業とAIの共同開発を実施しているという。

 一方で行方氏が懸念しているのは、国内の製造業を取り巻く状況だ。2018年9月に経済産業省が「DXレポート 〜ITシステム『2025年の崖』克服とDXの本格的な展開〜」で警鐘を鳴らすように、国内におけるIT人材不足は深刻化している。製造業でも、ERPをはじめとするレガシーシステムの保守・運用に既存のIT人材が割かれており、AIなどのDXを推進するための人材の育成が急務になっている。しかし、実際にはDX推進に向けた課題は山積しており「DXを推進できるデータサイエンス人材が不足しているというお悩みを多く聞きます」(行方氏)という状況だ。

 そこで、AI開発内製化のファーストステップとしてALBERTが提案するのが、データサイエンス人材育成と並行する形で、プログラミング経験が無くてもAIを開発できるツールなどを利用しAI開発の経験を蓄積していく方法だ。行方氏は「これら2つの施策を両輪で回し、インプットとアウトプットを繰り返せば、内製化を加速させる足掛かりになります」と説明する。

 両輪の1つである人材育成においては、ALBERTではデータサイエンティストに必要な「ビジネス力」「データアナリティクス力」「データエンジニアリング力」という3つのスキルセットを全て網羅する研修プログラムを用意している。また、2020年6月からは製造業に特化した実践的演習「時系列データを活用した異常検知演習」を新たに追加するなど拡充を続けている。

「製造業向け異常検知演習」の概要 「製造業向け異常検知演習」の概要(クリックで拡大)

 両輪のもう1つとなるAI開発経験の蓄積においては、AIの専門知識がなくてもすぐに使えるようなツールが必要だ。ALBERTが提供する画像認識サービス「タクミノメ」のAI構築ツールは、初期費用50万円+月額20万円からと安価であり、GUI(グラフィカルユーザーインタフェース)によりプログラミング知識なしで利用できることが特徴だ。

 行方氏は「実務に即した教育の実施とAI開発経験の蓄積により、内製化を進めることができます。製造業のAI活用支援で実績を積んできた当社が全面的にバックアップ可能です」と力説し、講演を終えた。

最新製品「NVIDIA A100」でAI活用を支援――NVIDIA

 NVIDIA インダストリー事業部 ロボティクス ビジネス推進マネージャーの梅本将範氏は、製造業向けのGPU活用事例と、2020年5月14日にリリースされたばかりの新製品「NVIDIA A100 TensorコアGPU(以下、NVIDIA A100)」について紹介した。

 世界を代表するGPUメーカーであるNVIDIAでは、3D CADやシミュレーションに用いられる「Quadro」、HPCやクラウドプラットフォームに用いられる「データセンター向けGPU」、そして近年注目を集めるエッジAIのプラットフォーム「NVIDIA Jetson」などを展開しており、製造業との関わりも深い。

 ここで梅本氏は同社製GPUの製造業における代表的な活用事例として、武蔵精密工業のAI外観検査システム、ブローダービズの食品製造工場における異常行動発生のリアルタイム検知システム、「NVIDIA Isaac ロボティクス プラットフォーム」を利用したBMWの工場のバーチャル化によるシミュレーションなど、それぞれ特徴の異なるAI/機械学習活用の取り組みを紹介した。「例えば、自動車向けギアを製造する武蔵精密工業の場合、製造ワークフローの20%、製造コストの30%を占める外観検査の効率化を検討していました。従来のコンピュータビジョンでは、ギアや溶接部の1mm以下の欠陥を検知するのは困難でしたが、NVIDIAのエッジAIボードである『Jetson TX2』を用いたAI外観検査システムが可能にしました。また、学習から推論アルゴリズムの実装に至るまでを一貫してGPUで担うことで、半年という短期間で開発を完了したことも大きな成果といえるでしょう」(梅本氏)。

武蔵精密工業のAI外観検査システム開発の取り組み概要 武蔵精密工業のAI外観検査システム開発の取り組み概要(クリックで拡大)

 ディープラーニングをはじめとするAI開発の必要不可欠なインフラとして広く認知されているNVIDIAのGPUの最新製品となるのが、新しい「NVIDIA Ampere」アーキテクチャを採用するNVIDIA A100である。NVIDIA A100は、7nmプロセスを採用した半導体チップとして世界最大規模であり、540億以上のトランジスタを集積している。ディープラーニング向けに開発された第3世代の「Tensorコア」や高速疎行列(スパース)演算処理機能などにより、従来比で最大20倍もの高速化が図られている。さらにNVIDIA A100は、その巨大な計算リソースを有効活用するために、1つのGPUを最大で7つの独立したGPUに分離して扱えるマルチインスタンスGPU機能も備えている。梅本氏は「例えば、1つのインスタンスでAIの学習を、他のインスタンスで科学技術計算を行うなど、効率良くワークロードを割り振れます」と説明する。

NVIDIAのGPUの最新製品となる「NVIDIA A100」の概要 NVIDIAのGPUの最新製品となる「NVIDIA A100」の概要(クリックで拡大)

 さらにNVIDIAは、このNVIDIA A100を8基搭載することで5PFLOPSもの混合精度演算性能を発揮するAIシステム「NVIDIA DGX A100」も市場に投入する。「8基のNVIDIA A100を搭載するNVIDIA DGX A100では、最大56個ものGPUインスタンスを同時に走らせることができます。ハードウェアレベルで隔離され、動的にサイズ変更なGPUインスタンスは、さまざまなワークロードに対応可能であり、柔軟な利用形態を実現します」(梅本氏)という。

 梅本氏は「“ポストコロナ”の世界では、製造業でも大きな変化が迫られ、これまでハードルの高かったAI活用が喫緊の課題となってきます。NVIDIAは、NVIDIA A100のような最先端のGPUを用いたハードウェアだけでなく、ソフトウェアツールやエコシステムも活用することで課題の解決に貢献します」と述べてセッションを締めくくった。

AI/IoTの開発・導入に必要なプラットフォームをワンストップで提供――NTTPCコミュニケーションズ

 NTTPCコミュニケーションズ サービスクリエーション本部長の三澤響氏は「製造業のDXを支えるAI/IoTプラットフォーム」と題した講演を行った。

 同社は、1985年に旧電電公社より分社化してからこれまで、ネットワークやデータセンター分野を中心に法人向けICTサービスを展開し、一貫してサービスエンジニアリング企業としての歴史を積み重ねてきた。近年では、ディープラーニングの隆盛に歩を合わせ、データの「集積」「学習」「推論」に必要なGPUプラットフォームのワンストップ提供を通して、数多くの企業のAI/IoT導入を支援している。

 三澤氏は「日本の製造業が世界で活躍していく上で、DXの推進によるビジネスモデルの変革が急務となっています。新型コロナウイルスの拡大によりこの傾向はより強まっていると感じています」と語る。

 そうした中、経済産業省が2020年6月に発表した「2020年版ものづくり白書」では、日本の製造業のDXにおける課題として、『情報資産であるデータを十分に活用できていない』点が挙げられている。約8割の企業ではデジタル技術を使ったデータ化や見える化などが進んでいない(うち、5割の企業は可能であれば実現したいという需要がある)という実態も明らかになっており、デジタル技術を用いたデータ利活用の拡大と迅速化が強く求められている。

国内製造業企業のデータ活用は遅れている 国内製造業企業のデータ活用は遅れている(クリックで拡大)

 データの利活用に向けたボトルネックになっているのが、データ化や見える化の前段階となる導入検討プロセスだ。もっとも大きな導入ハードルとして挙げられているのが、AI人材の不足による「要件定義やロードマップ策定の難しさ」。また、AIの導入効果は対象業務や習熟度によって左右されるため、企画段階から明確な投資対効果を示すことが難しい。こうなると、予算や組織・体制面の手当てができず、さらに思うように進まないというジレンマに陥っているケースをよく耳にする。

 では、AIをはじめとするデジタル技術の導入はどうすれば進められるのだろうか。三澤氏は「どこで・どんなデータを収集し、AIに何をさせて、どのように活用するのかという観点が重要になります」と説く。つまり、導入検討のフェーズを企画〜設計〜PoC(概念実証)構築の3ステップに細分化した場合、最初の企画段階に当たる「AIに何を任せるか?」が非常に大切なステップになるわけだ。ここでは、対象業務に精通した自社の担当者と、ALBERTのようなAI実装のプロがタッグを組むことが極めて重要となる。

 「この企画の後にくる『設計』と『構築』は、試行錯誤を繰り返しながら学習・推論のPDCAを回していく必要がありますが、当社は、このPoC環境から本番環境までを一気通貫でご提供することが可能です。これにより、お客さま担当者はAIに何を任せるのかという最も大切な『企画』のステップに集中できるようになります」(三澤氏)という。

 具体的な支援内容として、NTTPCコミュニケーションズではAI/IoTプラットフォームのうち、アプリケーションから下層のインフラレイヤすべてをワンストップで提供することができる。OS/ミドルウェアからGPUサーバやストレージなどのハードウェア、低遅延のネットワークやデータセンターまでをそろえている。またエッジ側では、センサーデータの収集に役立つ閉域型LoRaWANやモバイルM2Mサービス、AIカメラなど画像データを中間処理するエッジデバイスなど豊富な選択肢を用意している。

NTTPCコミュニケーションズが提供するAI/IoTプラットフォーム NTTPCコミュニケーションズが提供するAI/IoTプラットフォーム(クリックで拡大)

 これらにより、AIを導入する製造業は、不得手なプラットフォームの設計や構築に煩わされずに済む。「新規事業やサービスの企画・開発、AIモデル開発など、お客さま担当者は本業に専念できます」と三澤氏は説明する。

 さらにNTTPCでは、AI/IoT分野におけるビジネスコラボレーションプログラムとして「Innovation LAB」を展開している。これまではAI事業者や学術研究機関が主だったが、2020年夏から製造業など事業会社の参加モデルも加えることで、顧客企業のAI導入促進を目指している。Innovation LABでは、AI開発に必要な最先端のインフラをワンストップで利用可能であり、さまざまなAI開発企業やAI人財との技術交流も可能になる。さらに、NVIDIAの最新AIマシン「DGX A100」も間もなく導入する予定であり、最新のGPUアーキテクチャの活用にいち早く取り組める環境も整えようとしている。

Innovation LAB AI/IoT分野におけるビジネスコラボレーションプログラム「Innovation LAB」(クリックで拡大)

 三澤氏は「GPUアーキテクトに精通しながら、AI開発に必要なインフラをここまで幅広くカバーするプラットフォーマーは、当社の他にはそれほどありません。また、Innovation LABはAI導入のハードルに悩んでいる企業にはまさにうってつけです。ぜひなんでもご相談ください」と述べている。

国内製造業のDX促進に期待

 今回のWebセミナーでは、登壇したALBERT、NVIDIA、NTTPCコミュニケーションズの3社共同の取り組みにより、製造業のAI活用を強力に支援する体制が示された。今後こうしたパートナーシップが強化、拡大していくことで、国内製造業のDXの促進を促し、日本の競争力向上につながることに期待したい。

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提供:株式会社ALBERT、エヌビディア合同会社、株式会社NTTPCコミュニケーションズ
アイティメディア営業企画/制作:MONOist 編集部/掲載内容有効期限:2020年8月26日