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» 2020年07月22日 11時00分 公開

スマートファクトリー:工場設備の立ち上げ期間を30〜40%削減、モノづくりDXの価値を訴えるシーメンス (1/2)

シーメンスは2020年7月21日、同社のDX(デジタル変革)に関する戦略についてオンラインで記者発表会を開催。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による、デジタル技術を生かしたモノづくりの「ニューノーマル(新常態)」などの他、これらのデジタル技術を活用した平田機工の事例、同社のデジタル基盤の1つとなる産業用OS「MindSphere」の動向などについて説明した。

[三島一孝,MONOist]

 シーメンスは2020年7月21日、同社のDX(デジタル変革)に関する戦略についてオンラインで記者発表会を開催。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による、デジタル技術を生かしたモノづくりの「ニューノーマル(新常態)」などの他、これらのデジタル技術を活用した平田機工の事例、同社のデジタル基盤の1つとなる産業用OS「MindSphere」の動向などについて説明した。

コロナ禍で地産地消化が加速、支えるデジタルの力

 シーメンスでは、コロナ禍後に起こる2つのトレンドとして「デジタル化が一層広まり先進化する」と「製造業とサプライチェーンに大幅な再調整をもたらす」があると見ており、こうした変化に積極的に対応していく姿勢を示している。

photo シーメンス 代表取締役社長 兼 CEOの藤田研一氏

 シーメンス 代表取締役社長 兼 CEOの藤田研一氏は「中国で部品を作ってベトナムに送って組み立てて、日本に製品を送るというようなグローバルサプライチェーンが、今回のコロナ禍で分断された。今後もグローバルで移動距離の長いチェーンを組むことはリスクにつながり、ローカルでどう対応するかが重要になってきている。地産地消の考えで、人件費などが高賃金となる地域でもモノづくりができるようにする必要性が出てきている。これを可能にするのがIoT(モノのインターネット)をはじめとするデジタル技術だ」と考えを述べる。

 日本の製造業のデジタル変革は遅れていると指摘されるケースもあるが「日本企業が強みとしてきた『現場・現物・現実主義』はデジタル技術の強みであるシミュレーションや標準化などと相性の悪い面があり、これらの折り合いを付けるのに苦労してきた。しかし、コロナ禍で『現場に行けない』などこうした今までのやり方が強制的に行えない状況が生まれ、社会全体がデジタル技術を活用したものへと変わろうとしている」と藤田氏は現在の状況について指摘する。

 その中でモノづくりにおける「ニューノーマル」として、まずIoT環境の整備が進みDXの基盤が確立されると見込む。そしてその次のステップとして、デジタルツインやあらゆる事象のシミュレーションなどデジタルテクノロジーの高度な活用が進むと見込んでいる。藤田氏は「いきなりデジタルツインなどの大きな価値を得ようとしても難しい。まずは、IoT環境の整備を進め、デジタル化への土台を作ることが重要だ」と語る。

photo シーメンスが考えるDXとFAの進化(クリックで拡大)出典:シーメンス

モノづくりにおけるDXとは

 モノづくりにおけるDXとは、開発から製造、保全までそれぞれの工程のデジタル化を行い、これらを統合する必要がある。例えば、設計・開発工程では、CADおよびPLMソフト、シミュレーション技術、デジタルツインなどの技術が必要になる。「CADからCAM、MES、FAまでを統合し、製品開発から製造設備計画までを一貫してデジタル環境で開発できるようになる」(藤田氏)。

photophotophoto 設計開発領域のデジタル化(左)と生産管理・製造技術のデジタル化(中央)、メンテナンス・修理のデジタル化(右)(クリックで拡大)出典:シーメンス

 モノづくりの全工程でデジタル化を進めていくことが求められる中で、シーメンスは製造系ソフトウェアから、オートメーション機器、デジタルサービス基盤まで一連のポートフォリオを抱えている。藤田氏は「ニューノーマルはデジタルへの追い風だ。その中で一連のポートフォリオを全て抱えているのがシーメンスの強みである」と強調する。こうした強みを生かした事例として平田機工での事例を紹介した。

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