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» 2020年07月29日 11時00分 公開

製造マネジメントニュース:変化対応力を示したオムロン、第1四半期は5G関連需要や体温計増産に対応し増益

オムロンは2020年7月28日、2021年3月期(2020年度)第1四半期の業績とともに、延期していた2020年度の通期業績予想を発表した。第1四半期については、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で減収となったものの、逆に生まれた需要を捉え増益を達成した。しかし、第2四半期以降の市況悪化を慎重に捉え、通期では減収減益の見込みを示している。

[三島一孝,MONOist]

 オムロンは2020年7月28日、2021年3月期(2020年度)第1四半期の業績とともに、延期していた2020年度の通期業績予想を発表した。第1四半期については、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で減収となったものの、逆に生まれた需要を捉え増益を達成した。しかし、第2四半期以降の市況悪化を慎重に捉え、通期では減収減益の見込みを示している。

コロナ禍の突発的需要を柔軟に獲得

photo オンライン会見で説明するオムロン 代表取締役社長 CEOの山田義仁氏

 オムロンの2020年度第1四半期業績は売上高が前年同期比8.5%減の1465億円となったが、営業利益は同24.2%増の125億円、当期純利益は同25.0%増の97億円となり、減収増益を実現した。

 オムロン 代表取締役社長 CEOの山田義仁氏は「制御機器事業におけるデジタル関連やマスク増産に関する突発的需要や、ヘルスケア事業における体温計の需要増への対応など、コロナ禍で生まれた突発的な需要を確実に捉える変化対応力により、当初の想定より減収幅を圧縮でき、増益が実現できた」と手応えについて語っている。

 特に苦戦が想定された制御機器事業(IAB)だったが、中国と韓国で5Gに関連するデジタル業界の需要が高まった動きに対応し、他の地域が苦戦する中で、中華圏では同22%増、韓国では同31%増と大幅な成長を実現できたのが大きかったという。

photophoto オムロンの2020年度第1四半期の業績(左)とセグメント別売上高(右)(クリックで拡大)出典:オムロン

「2Qと3Qが底」2020年度は慎重な見通しに

 健闘を示した第1四半期だったが、コロナ禍により2020年4月に発表予定だったものを延期して今回発表した2020年度通期業績予想は慎重な見方を示す。売上高は前年度比13.0%減の5900億円、営業利益は同45.2%減の300億円、当期純利益は同57.9%減の165億円とした。

 山田氏は「コロナ禍は長期化の様相を示しており、市場環境の不透明感は増している。少なくとも2020年度内は厳しい状況が継続するという見立てを前提として減収減益の計画を立てた。第1四半期は想定以上の良い結果が得られたが、それでも通期計画を厳しく見積もっているのは、第2四半期と第3四半期がそれだけ厳しくなると見ているからだ。中国や韓国のデジタル関連需要は第2四半期以降スローダウンする。また、最終販売の動きを見ても自動車業界の低迷は長期化し設備投資も厳しくなると見ている。2020年7〜12月が市場環境としては底でその後緩やかに回復してくる見込みだ」と語っている。

photophoto オムロンの2020年度通期の業績予想(左)とセグメント別売上高(右)(クリックで拡大)出典:オムロン

アフターコロナに向けた事業変革期へ

 こうした中で、構造改革や固定費削減など収益性の確保を実現しながら、2020年度および2021年度をアフターコロナに向けた事業変革期と位置付け、さまざまな新たな価値提案やビジネスモデル変革に向けた投資を進めていく計画だ。

 山田氏は「コロナ禍により新たな社会的課題が顕在化している。例えば、製造業では、従来の人手不足対策ではなく社員の安全を守るためという新たな理由で省人化を進める動きが出ている。医療分野でも遠隔診療のニーズが生まれてくるなど、社会変革のスピードが加速している」と語っている。

 こうした製造業の新たな省人化ニーズに応える市場創造の例として、製造ラインの制御とロボットの制御を1つのコントローラーに統合する「ロボット統合コントローラー」を紹介。「組み立てや搬送、検査などの工程では、設備による完全自動化が難しく省人化が難しいとされてきた。その障壁の1つとしてロボットと生産ラインの制御が別々のコントローラーで行われてきたことがある。これらを統合することで、人が行っていた作業の自動化が行いやすくなる上、ラインとロボットで一元化された情報が取得できるためシミュレーションなどが行いやすくなる」と山田氏は価値を強調した。

photo ロボット統合コントローラーの役割(クリックで拡大)出典:オムロン

 また、ビジネスモデルの変革の面では、ヘルスケア事業における遠隔診療サービスの展開を紹介した。「オムロンでは家庭用の血圧計市場などを切り開いてきたが、血圧計を販売するだけでは、脳卒中や心筋梗塞などの病気(イベント)を減らすことはできない。ゼロイベント化を目指すためにはこれらの機器を含めた遠隔診断や遠隔医療などに踏み込む必要があり、遠隔診療サービスに現在取り組んでいる。既に米国では医療機関と協力しサービス提供を開始している」と山田氏は述べている。

photo 遠隔診療サービスのビジネスモデル(クリックで拡大)出典:オムロン

 山田氏は「オムロンでは『事業を通じて社会価値を創出し、社会の発展に貢献し続けること』を企業理念として掲げている。コロナ禍の状況だからこそ、既存事業の枠組みにとらわれずに新たな社会価値創出に向けた取り組みを進めていく」と今後の決意を語っている。

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