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» 2020年08月26日 10時00分 公開

XRプラットフォーム:5G時代の新常識、VR/ARストリーミング技術が実現する“制約なき世界”

ニューノーマル時代に向けた働き方改革の一環として、XR(VR/AR/MR)テクノロジーを活用した新たなリモートコラボレーションに注目が集まっている。NVIDIAは、「NVIDIA RTX サーバー」の“最高レベルのグラフィックス性能”と、ワイヤレスHMDなどを用いた“モバイルの自由度”を融合させた「NVIDIA CloudXR」を展開し、これまで普及を妨げてきたあらゆる課題からユーザーを解放する。

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 働き方改革の一環としてリモートワーク環境の導入が叫ばれて久しい。当初、育児や介護のように一次的に出社が難しくなった場合の補助的な意味合いが色濃かったリモートだが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大により状況は一変した。実際、政府による緊急事態宣言の発出以降、リモートワーク環境を急ピッチに整備し、クラウドを活用したファイル共有の仕組みやグループウェアを導入したり、ビジネスチャットやビデオ会議システムの利用を開始したりする企業が急増した。これまで遅々として進まなかったリモートワーク環境の構築が一気に進んだという企業も少なくないだろう。

 しかし、緊急事態宣言の解除をきっかけに、社員をオフィスに出社させる従来の勤務形態に戻そうとする動きも出始めている。その背景にあるのが「リモートワークによる生産性の低下」だ。もちろん、生産性が向上して“働き方改革”を成し遂げ、リモートワークを継続している企業もあるだろう。だが、業種・職種によっては、それが難しいケースもある。製造業もその1つだ。

リモートワークが困難な製造業、現実と仮想のギャップを埋めるもの

 例えば、設計現場では多くの場合、同じ社内で複数のエンジニアが1つの製品開発プロジェクトに参加して、設計作業を分担しながら業務を遂行し、関係者で集まりレビューなどを行いつつ、共同で1つのモノを作り上げている。そのプロセスの中には、プロダクトデザイナーとデザインの細部を詰めたり、社内の解析専任者や生産・加工現場の担当者、あるいは外部の協力会社と連携したりすることもある。

 コロナ禍において、3D CADなどの設計環境に関しては、VDI(デスクトップ仮想化)やクラウド活用などにより、個々の設計作業は何とか継続できる状況にあった。しかし、複数の関係者が一堂に集まるレビューや評価といったシーンでは、そううまくはいかない。なぜなら、従来のように会議室など1つの場所に集まり、実際のデータやモックアップを目の前にして、ディスカッションを行うことができないからだ。もちろん、ビデオ会議システムの画面共有機能などを使用して同じデータを関係者全員で閲覧することは可能だが、例えば、デザインレビューのシーンで高解像度の3Dモデルを任意の視点で自在に確認したい場合など、お世辞にも“使える”とはいえない。ここで感じるのが「現実と仮想の乖離(かいり)」だ。

 このような現実世界と仮想世界のコミュニケーションギャップを埋める存在として、以前からVR(仮想現実)/AR(拡張現実)/MR(複合現実)の活用が注目を集めている。これらXRテクノロジーはゲームをはじめとするエンターテインメント分野で先行している印象だが、製造業や建設業、医療分野などでも関心が高まっている。設計現場における活用例としては、VRであれば3D CADで設計した3Dモデルを仮想空間上に表示し、メンテナンス時の作業性を確認したり、ARであれば実際の現実空間に3Dモデルを投影してデザインレビューを行ったりできる。実際、こうした利用を想定したXRソリューションも数多く登場しつつあるが、本格的な普及にまでは至っていない。

 こうした現状に一石を投じるのがNVIDIAだ。

XRテクノロジーの普及を妨げる要因を「CloudXR」が解決

 XRテクノロジーの普及を妨げる要因を整理してみると、「(1)グラフィックス性能と遅延の問題」「(2)ケーブルの問題」が真っ先に浮かぶ。

 VRを例に挙げてみると、グラフィックス性能の限界から低解像度かつ低いフレームレートのVRコンテンツの利用が多く見られ、仮想空間上に表示する3Dデータも簡素化、軽量化されるケースも少なくない。さらには、レイテンシの問題により、実際の姿勢や首の動きと再描画処理が追従せず、「VR酔い」が生じるケースがよく見られる。

 また、一般的なヘッドマウントディスプレイ(以下、HMD)の多くは、VRコンテンツの描画や演算処理を行うワークステーションなどとケーブル接続されており、VR体験時の動きに制約をもたらす。そのため、XRテクノロジーを違和感なく、現実世界に限りなく近い、コミュニケーション/コラボレーションツールとして利用するには、これらの制約からユーザーを解放する必要があるのだ。

 そのアプローチとして、NVIDIAはプロフェッショナル向けGPU「Quadro RTX 8000/6000」を最大8枚組み込むことが可能な「NVIDIA RTX サーバー」(以下、RTX サーバー)の“最高レベルのグラフィックス性能”と、ワイヤレスHMDやiOS/Android搭載スマートデバイスなどを用いた“モバイルの自由度”を融合させたXRプラットフォーム「NVIDIA CloudXR」(以下、CloudXR)を開発。2020年5月からバージョン1.0のSDK(ソフトウェア開発キット)の配布を開始している。

「CloudXR バージョン1.0 SDK」を用いたデモの様子 「CloudXR バージョン1.0 SDK」を用いたデモの様子

 CloudXRは、XRコンテンツを閲覧するHMDやスマートデバイスなどと、Quadro RTX 8000/6000を複数搭載したRTX サーバーとをネットワークを介して接続し、RTX サーバー上で仮想空間に描画するリアリスティックなXRコンテンツを高速に演算処理して、その結果を遅延なく、高品質にユーザー側のデバイスに届ける技術だ。ネットワークを介して、RTX サーバー上で処理したXRコンテンツを表示、閲覧できる仕組みであるため、各拠点から関係者がリモートアクセスし、同じ仮想空間上の同じXRコンテンツを複数の関係者で共有しながらコラボレーションすることも可能となる。

エルザ ジャパンの第1営業部 部長の神能光範氏 エルザ ジャパンの第1営業部 部長の神能光範氏

 NVIDIAの長年のビジネスパートナーとして、Quadroをはじめとするグラフィックス技術に精通するGPUスペシャリスト集団であるエルザ ジャパンの第1営業部 部長の神能光範氏は「現在、国内の大手自動車メーカーが関心を示し、CloudXRの評価を開始している。特にRTX サーバーの導入が進む自動車、建設業、医療分野などでの利用が期待できるだろう。また、現在、国内の主要移動体通信事業者からの引き合いも増えている」と語る。

 NVIDIAでは、業務で用いるVRの推奨条件として、解像度が3024×1680ピクセル、フレームレート90FPSを掲げている。これはVRを表示する3D立体視描画として、右目用と左目用のそれぞれで1512×1680ドットの解像度が必要なことと、VR酔いを防ぐために高いフレームレートを必要とするためだ。この条件を満たすには、450Mピクセル/秒のデータ送信が必要となり、かつVR酔いのないスムーズな利用を実現するにはシステム遅延を20μ秒以下に抑えなければならない。

 こうした理想のXR環境を実現するハイレベルなシステム要件を満たすためには、非常にパワフルなグラフィックス性能が必要であり、NVIDIAではこれら条件を満たすQuadro RTX 4000以上のGPUにVR Readyという認証を与えている。

RTX サーバー向けとしてHPEが販売する「HPE Apollo 6500 Gen10」(上)と「NVIDIA  Quadro RTX 8000」(下) RTX サーバー向けとしてHPEが販売する「HPE Apollo 6500 Gen10」(上)と「NVIDIA Quadro RTX 8000」(下)

 RTX サーバーは、既に日本国内でも出荷が開始されている。その1つであるHPEの「HPE Apollo 6500 Gen10」は、CPUに第2世代インテルXeonスケーラブルプロセッサを採用し、1台に最大8基のPCIeボード型Quadro RTX 8000/6000が搭載可能だ。ストレージにはNVMe接続のSSDを採用し、メモリにはHPE DDR4 SmartMemoryをサポートするなど、RTX サーバーが必要とする高いGPU/CPUの処理能力と高速大容量のメモリ、ストレージ構成を実現できる。

 一方、ケーブルの問題はどうか。従来、高解像度のXRコンテンツなどを遅延なく、高品質にHMDに送るには、多くの場合、描画、演算処理を担うワークステーションとの有線接続が大前提となり、ケーブルの取り回しがユーザーの動きを阻害する大きな要因となっていた。例えば、デザインレビューの際、任意の場所から自由に3Dモデルを眺める必要があるが、ケーブルが邪魔をして思うように動き回れなかったり、突然HMDが引っ張られて仮想世界から現実世界に強制的に引き戻されてしまったりして、エンジニアの創造性を大きく阻害してしまう。さらには、周辺の機材を引きずり倒してしまう恐れもあり、安全性の観点からもケーブル接続は望ましいものとはいえない。

 この問題の解決には、ケーブルを用いない“ワイヤレス接続”を利用するしかない。幸いにして、最近になって無線LANではIEEE 802.11ax(Wi-Fi 6)対応製品が普及段階に入り、2020年からは「5G」(第5世代移動通信システム)の商用サービスも開始された。「こうした通信技術の進化もCloudXRの発展を大きく後押ししてくれる。CloudXRでは、RTX サーバーとクライアントデバイスとの接続に、有線LANを含む、さまざまなネットワーク接続に対応できるが、中でも5GやIEEE 802.11axといった新たな無線通信技術は“モバイルの自由度”を実現する上でなくてはならない」(神能氏)。

CloudXRのアーキテクチャ

 CloudXRは、RTX サーバー側に導入する「Server driver」と、HMDやスマートデバイスなどのクライアント端末側に導入する「Client app」で構成され、これらはネットワークを介して接続される。

「CloudXR」は左側にあるRTX サーバーに導入する「SERVER driver」と右側にあるHMDなどのクライアントデバイスに導入する「CLIENT app」で構成される 「CloudXR」は左側にあるRTX サーバーに導入する「SERVER driver」と右側にあるHMDなどのクライアントデバイスに導入する「CLIENT app」で構成される

 RTX サーバー側では、仮想ドライバでHMDなどのクライアントデバイスを認識。その認識した(仮想の)クライアントデバイスに合わせて演算して描画されたXRコンテンツはエンコーダーで圧縮処理され、Cloudモジュールを介してネットワーク上へ送られる。一方、クライアント側では、同じくCloudモジュールを介して、送信された圧縮済みXRコンテンツを受信し、デコーダーで復号する。以上のフローに加え、HMDなどが検知した装着者の動きや姿勢に関するデータをRTX サーバー側に送出し、それを受信したRTX サーバーはXRの演算処理に、受け取った動きに関するデータを反映していく。

 さらに、CloudXRは仮想ドライバでRTX サーバーに演算処理とVR描画を実行させる他、安定した通信を実現するために、ネットワーク制御も担う。次世代の通信技術として注目される5Gといえども、必ずしも安定して高速通信が維持できるわけではない。5Gは、接続した基地局がカバーするエリアにおけるネットワークの負荷に応じて帯域を“分け合って”使用するため、エリアのネットワークが輻輳(ふくそう)し始めると、それに合わせてデータ通信速度も低下してしまう。こうした変化するネットワーク負荷に対して、CloudXRは通信品質を維持するための機能を備える。

 具体的には、ネットワーク負荷によって変動する帯域幅に合わせて、RTX サーバーからクライアントデバイスに送出するコンテンツの圧縮率を動的に変更したり、途中でパケットを喪失した場合には前方誤り訂正を導入してデータの強度を確保したりといった機能を提供する。

 以上のようなアーキテクチャによって、CloudXRは、RTX サーバーの“最高レベルのグラフィックス性能”と、ワイヤレスHMDや5G/Wi-Fi 6といったワイヤレス接続による“モバイルの自由度”の融合を実現し、これまでXRテクノロジーの普及の妨げとなっていたさまざまな課題からユーザーを解放する。

「CloudXR」の導入によって、RTX サーバーとクライアントデバイスはネットワークの種類に関係なく、高解像度高フレームレート低遅延のVR/AR環境を利用できるようになる 「CloudXR」の導入によって、RTX サーバーとクライアントデバイスはネットワークの種類に関係なく、高解像度高フレームレート低遅延のVR/AR環境を利用できるようになる

 今回の取材に全面協力してくれたエルザ ジャパンでは、RTX サーバーおよび今回紹介したCloudXRに関する検証環境の提供や体験デモ、技術相談などの受付を随時行っている。ニューノーマルの時代に向けた、新たなコミュニケーション/コラボレーションツールとしてXRの活用を検討するのであれば、CloudXRが有力な選択肢となるに違いない。その際、NVIDIAの技術はもちろん、幅広いグラフィックス、GPU関連のノウハウを有するエルザ ジャパンの門をたたいてみるといいだろう。

エルザ ジャパンの第1営業部 部長の神能光範氏(左)と同社 第1技術部 鳥居嶺司氏(右) エルザ ジャパンの第1営業部 部長の神能光範氏(左)と同社 第1技術部 鳥居嶺司氏(右)

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アイティメディア営業企画/制作:MONOist 編集部/掲載内容有効期限:2020年9月25日