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» 2020年08月31日 10時00分 公開

ソフトウェアRAID:産業機器のエッジコンピューティングを支えるデータ保全、何が必要か

産業機器におけるエッジコンピューティングに注目が集まる中、その制御を担う組込みコントローラのデータ保全を高いレベルで行うことも求められつつある。そのためには、ストレージをHDDからSSDに移行するだけでなく、RAIDの導入も必要になって来る。そして、産業機器向け組込みコントローラのデータ保全という観点で大きな選択肢になるのがPFUの「ソフトウェアRAID」なのだ。

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 IoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)などの登場により、製造業にとってデータの収集と蓄積、分析はより重要な役割を担いつつある。これらのデータの扱い方では、直接クラウド上に集めて処理する「クラウドコンピューティング」という手法もあるが、現在は、現場により近い場所でデータを取り扱う「エッジコンピューティング」への注目が集まっている。

 エッジコンピューティングは、クラウドよりも現場に近いエッジ側でデータを収集・蓄積して、AIなどで分析を行う。工作機械や製造装置、医療機器、社会インフラなどの産業機器の中でも高い応答性が求められる用途では効果が大きく、最終的にクラウドやサーバにデータを集積する場合でも分析処理を経て必要と判断されたデータに絞り込めることがメリットになる。

 そして、産業機器でエッジコンピューティングを実現するためには、産業機器の内部でさまざまな制御を行う組込みコントローラのストレージに対してより高いレベルの可用性やデータ保全が必要になってくる。

産業機器でSSDの採用が進まない理由

 ストレージの可用性やデータ保全の向上でまず挙がるのが、HDDからSSDへの置換だろう。現在、一般消費者やオフィス向けのPC(以下、一般向けPC)のストレージではSSDが使われるのが一般的だ。かつてはHDDが使われていたが、PC本体の小型化、薄型化が可能であり起動時間も短いSSDが登場し、あっという間にHDDを駆逐した感がある。

 産業機器に用いられる組込みコントローラでも、これまではHDDが一般的だったが、徐々にSSDの採用が始まっているという。しかし、その動きは一般向けPCのように急激なものではないようだ。産業機器向けの組込みコントローラでは、一般向けPC以上にデータの完全性が求められるし、装置全体としての可用性も重要となる。そう考えると、HDDのように機械的な可動部分がなく衝撃にも強いSSDの採用が一般向けPCより先行していてもおかしくない。

PFUの堀貴志氏 PFU インダストリープロダクト事業部 第一技術部の堀貴志氏

 組込みコントローラベンダーとして高い実績を誇るPFUのインダストリープロダクト事業部第一技術部の堀貴志氏は、組込みコントローラで一般向けPCのように急激にSSDの採用が進んでいない理由について「導入コストや長期供給に対する不安があるからです」と説明する。

 導入コストに関しては、1GB当たりの単価で比べるとSSDはHDDよりもかなり高額になる。長期の動作保証が求められる産業機器向けの場合、この価格差は一般向けPCよりも大きくなってしまう。そのため、SSDで必要な容量を確保しようとすると、HDDに比べて何倍もの費用が必要となる。「コストを重視するお客さまの場合、これが大きなネックになります」(堀氏)という。

 また、長期供給への不安という面では、SSDがまだ新しい技術であり、その仕様が定まっていない現状が要因となっている。堀氏は「産業機器向けの組込みコントローラでは、10年といった長期に渡って安定した稼働が求められます。そのため、使われる部品には、標準化が進んで仕様的に安定した、良い意味で“枯れた技術”が好まれる傾向があるのです」と語る。

 この点、技術革新が進行中ともいえるSSDでは、現時点での仕様に沿った部品が数年後に確保できるとは限らない。現時点でも、より高速なデータ転送を目的に、新しいインタフェースが登場しているのがSSDの世界だ。今後どのような技術が登場し、どの仕様がスタンダードとして定着するのかが予測できない部品は、長期間の稼働を前提とする組込みコントローラには採用しにくい。

 この他、電子部品であるSSDではデータの書き込み回数に制限があることも懸念事項となっている。SSDでは、データを記録するセルに対する書き込み回数に上限があり、それを超えてデータを記録できない。特定のセルに書き込みが集中しないようにする制御機能はあるが、書き込み回数に制限のないHDDに対して、これは大きなハンディとなる。

RAIDはデータ保全のための有用な選択肢

 産業機器向けの組込みコントローラで求められるストレージの可用性やデータ保全で見れば、HDDよりもSSDが優れている。しかし、HDDからSSDに置き換えたとしても100%のデータ保全が可能になるわけではない。

 SSDには、HDDのような可動部品がなく、衝撃によるディスクとヘッドのクラッシュやモータートラブルなどの不具合とは無縁だ。しかし、SSDであっても内部のメモリチップや制御チップの故障などでデータを失う危険性があり、コネクターやケーブルなどの不具合によって、データの記録ができない場面も皆無ではない。

 データの保全をより確かにするには、同一のデータを複数の場所に記録するのが確実だ。そこで、必要になってくる技術がRAID(Redundant Arrays of Inexpensive Disks)である。RAIDは、複数のHDDやSSDを使って、データ転送の速度やデータの安全性を高めることができる。どのような目的を達成するかによって幾つかの種類(レベル)があるが、産業機器に使われる組込みコントローラでは、同一のデータを2台のHDDやSSDに同時に書き込んで冗長化させて記録する「RAID 1」が注目されている。全く同じデータを書き込むことから、RAID 1を「ミラーリング」と呼ぶこともある。

RAID 1では2本のディスクに同じデータを書き込む RAID 1では2本のディスクに同じデータを書き込む(クリックで拡大)

 RAID 1を含むRAIDは、当初はデータの完全性が高く求められるサーバやワークステーションを中心に採用されていた。しかし、最近は家庭用のNASにも採用されるなど、一般にも広く普及し始めている。ただし、産業機器向けの組込みコントローラでは、それほど普及していない。

 産業機器でRAIDの採用があまり進んでいない理由は幾つかある。まず、SSDと同様にコスト面の問題は無視できない。データ保全を目的とするRAID 1では、同じ容量のHDDやSSDが2台必要となる。そして、それらを制御するRAIDカードに接続する必要がある。

 産業機器向けの組込みコントローラで利用可能なRAIDカードは、データ保全に必要なRAID 1のみをサポートするシンプルなものは少ない。このため、RAID 1以外のさまざまな機能を搭載したオーバースペックかつ高価なカードを選ばなければならないことが多い。さらには、「小型の組み込みコンピュータでRAIDを利用したいという要望があるのですが、RAIDカードが大型になるため組み込めないという問題もあります」(堀氏)という。

PFUの野田祐司氏 PFU インダストリープロダクト事業部 第一技術部の野田祐司氏

 実は、RAIDの実現にはハードウェアのRAIDカードを使う以外にも選択肢がある。例えば、OSのWindows 10には標準でRAID機能が搭載されている。また、最近ではマザーボード上のチップセットがRAID機能を備えるものもある。これらは、追加投資が不要で利用できるRAIDなので、コストを重視するユーザーの選択肢になり得るだろう。

 ただし、高いレベルの可用性とデータの完全性が求められる産業分野では、RAIDそのものも品質をクリアする必要があるようだ。PFU インダストリープロダクト事業部第一技術部の野田祐司氏は「これらのRAIDでは、ディスクの管理や障害に対する機能が不十分であることが多いのです。また、サポートや機能供給に対するサービスレベルも明確にされていません」と説明する。産業機器向けで利用するには、少なからず問題のある仕様となっていることが否めないのだ。

組込み機器で求められる6つの要件を満たす、PFUの「ソフトウェアRAID」

 ここまで説明した通り、産業機器向けの組込みコントローラのデータ保全を目的とする場合、従来のRAIDの選択肢はまさに「帯に短し、たすきに長し」だったわけだ。

 この状況を打破するためにPFUが2018年5月に発売したのが、ソフトウェアでハードウェアRAIDによるRAID 1とほぼ同等の機能を実現できる「ソフトウェアRAID」である。同社のソフトウェアRAIDは、顧客の声を聞くことから生まれた。野田氏は「顧客が抱える悩みを解決すべく『長期供給』『安定動作』『専用ハード不要』『ハイパフォーマンス』『独自のログ&トレース機能を実装』『全てを自社内で開発』という6つの要件を満たす製品に仕上げました」と語る。

 まず着目したのは「長期供給」だ。ハードウェアRAIDでは、構成部品の供給具合によってサポート期間が大きく左右される。しかし、ソフトウェアベースのソフトウェアRAIDであれば、その心配は無用だ。

 信頼性が求められる産業機器に使う以上、「安定動作」も重要だ。この用途に用いるRAIDの開発には、OS、ストレージ、利用される環境などに対する技術や知見が必要になる。この点に関しては、PFUが長年培ってきたノウハウが投入された。例えば、PFUのソフトウェアRAIDでは、1本のディスクやSATA経路などに障害が発生しても瞬時にそれを切り離せる。このため、システムのレスポンスが遅延することはない。また、その後の切り離したディスクに対する診断や再組み込み時の高速リビルドもバックグラウンドで実行され、システム本体の動作に影響が及ぶことはないという。

 もちろん、ソフトウェアによるRAIDなので「専用ハード不要」だ。このため、筐体内にハードウェアRAIDを組み込むスペースが十分でない小型の組込みコントローラでも、問題なく導入できる。また、ソフトウェアRAIDは消費電力も小さく、HDDやSSDの他に追加する機器もないので発熱は最低限に抑えられる。部品点数を最小に抑えられるので、故障率も低く保つことができる。

 そして、PFUのソフトウェアRAIDは、ハードウェアRAIDと同等の高性能と低CPU負荷を実現という「ハイパフォーマンス」を実現している。これは、Windowsの内部を熟知したPFUならではのレイヤー構造によるところが大きい。

 PFUのソフトウェアRAIDは、Windows標準のイベントログ機能でディスクの情報をトレースすることができる「独自のログ&トレース機能を実装」している。ハードウェアRAIDではカード内のログを吸い上げないと障害の原因が分からないことを考えると、これはソフトウェアならではのメリットになる。Windowsの機能で障害原因の切り分けができるのは、ユーザーにとって大きな利点といえる。

 そして、PFUのソフトウェアRAIDは、ソースコードを含め「全ての自社内で開発」している。つまり、製品に関する全てを把握しているので、万が一稼働中にトラブルが発生しても迅速な対応ができる。また、顧客からの要望に応じたカスタマイズも可能となっているのだ。

従来のRAIDとPFUの「ソフトウェアRAID」の比較 従来のRAIDとPFUの「ソフトウェアRAID」の比較(クリックで拡大)

データの利活用を足元で支える基幹ソリューションに

 国内製造業がIoTやAI活用への取り組みを加速させる中、エッジコンピューティングを実現するさまざまな技術への期待は大きい。

 PFUは、このようなエッジコンピューティング時代に対し、ソフトウェアRAIDの提供を通じて重要な役割を果たしていく。堀氏と野田氏は「当社のソフトウェアRAIDは、単なるデータ冗長化のツールの枠を超え、データの利活用を足元で支える基幹ソリューションになっていく可能性も秘めています。新製品を開発する際にはぜひ採用を検討していただければ」と述べている。

堀貴志氏(左)と野田祐司氏(右) 堀貴志氏(左)と野田祐司氏(右)

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提供:株式会社PFU
アイティメディア営業企画/制作:MONOist 編集部/掲載内容有効期限:2020年9月30日