ハイブリッド車向け部品の生産ラインにIoTシステムを構築FAニュース

インターネットイニシアティブは、トヨタ自動車北海道が新設した生産ラインのIoTシステムを構築した。同システムにより、設備の稼働情報の収集、蓄積から可視化、分析基盤までをワンストップで提供する。

» 2020年08月31日 09時00分 公開
[MONOist]

 インターネットイニシアティブは2020年8月3日、トヨタ自動車北海道が新設した生産ラインのIoT(モノのインターネット)システムを構築したと発表した。設備の稼働情報の収集、蓄積から可視化、分析基盤までをワンストップで提供する。

 トヨタ自動車北海道では、ハイブリッド車向けの「ハイブリッドトランスアクスル(電気式無段変速機)」の加工、組み付け生産ラインを2019年12月から稼働している。新ライン設置に際し、製品品質を担保するため、現場に散在する設備の稼働情報をより多く収集、集約し、可視化、分析できる情報基盤の構築を目指していた。将来的には、データの分析結果から、故障予兆検出などの設備の自律化のため、第1段階として設備状態の可視化に取り組む必要があった。

 今回導入したIoTシステムは、閉域モバイルネットワークを活用することで、既存ネットワークに影響を出さず、かつ短期間での構築に成功した。産業用PCからクラウドまでの通信は全て閉域網を利用。クラウド環境には専有型のプライベートクラウドを提供しており、セキュリティも確保している。

キャプション システムのイメージ図(クリックで拡大) 出典:インターネットイニシアティブ

 導入後は、設備の稼働状況を収集し、リアルタイムでダッシュボードから稼働状態のデータを確認できる。これにより、意思決定のスピードが向上したという。また、分電盤から分岐する設備、ライン単位での電力使用量も把握可能になった。リモートアクセスにより、オフィス内や他の工場など遠隔から産業用PCの再起動、データ送受信制御なども実施できる。

 今後は、抜き取り検査結果と設備稼働情報の照合、IoTネットワークのセキュリティ環境の最適化、設備の予兆管理、ローカル5Gの活用などに取り組む予定だ。

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