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» 2020年09月07日 06時00分 公開

いまさら聞けない自動車業界用語(5):品質やコストにも関わる物流、トヨタは東海地方のミルクランで大変革 (1/2)

知っておきたい自動車業界用語、今回は「物流」です。できた物を運ぶだけじゃないかと思われる方もいるかもしれませんが、製品の品質確保、コスト削減や環境負荷低減にもつながる非常に重要な仕事です。実際にどのような業務が行われ、今後どのように変わっていくのか。用語の解説も併せて覚え、ぜひとも実務に活用してください。

[カッパッパ,MONOist]

自動車部品メーカーで働くカッパッパです。
今回のテーマは「物流」。ただ単に「物を運ぶ」だけではない、非常に奥深い業務なのです。
部品を完成車メーカーに運搬する「調達物流」、特にJIT(ジャストインタイム/必要なものを必要な時にだけ納入する)で知られるトヨタ自動車での物流にフォーカスして説明します。


 知っておきたい自動車業界用語、今回は「物流」です。できた製品を運ぶだけじゃないかと思われる方もいるかもしれませんが、製品の品質確保、コスト削減や環境負荷低減にもつながる非常に重要な仕事です。実際にどのような業務が行われ、今後どのように変わっていくのか。用語の解説も併せて覚え、ぜひとも実務に活用してください。

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 まず、物流とは何かというと、「後工程(客先)に製品を届ける過程や業務プロセス」を指します。一般的には客先に完成した製品を収める運搬業務と思われることが多いですが、後工程と書いたのは、自社の工程間での運搬(「構内物流」)も物流に含まれるからです。「構内物流」も自社の生産性を上げるために極めて重要な業務プロセスですが、今回は部品メーカーが完成車メーカーに生産した製品を運搬する「調達物流」に焦点を当て説明したいと思います。

物流はモノを運ぶだけではない

 物流では、約束した納期、数量を安全で効率的に届けることが求められます。安全・品質面として「製品の品質を維持するための荷姿(容器、包装、梱包資材)」「環境を配慮した上での運搬方法ルート」「信頼性・品質を重視した運搬設備・業者」の設定が必要です。製品を問題なく作っても、運搬途中で傷ついてしまっては意味がありません。また運搬中に製品が不良になってしまえば、損失になってしまいます。昨今では、環境規制が厳しくなり、CSRの観点からもCO2排出量の少ない運搬方法を選択しなければいけません。

 効率の面では、コスト低減となる物流方法や業者の選択、最短距離となる運搬ルート、過剰にならない荷姿の選択を考える必要があります。物流費は通常販売管理費の中に含まれ、製品の原価の一部を占めます。少しでも削減することで、自社の利益を生み出すことができるのです。

物流に求められること(クリックして拡大)

 例えばトラックの物流の場合、荷量(荷物の数量や大きさ)に応じて「個建て(荷物ごとでの支払い。高価ではあるが変動費化が可能)」と「便建て(輸送便単位での支払い。安価であるが固定費化するため荷量の管理が必要)」を使い分けることでコスト削減が可能です。その他、物流では「災害などのリスク対応」「積み込み/荷下ろし等の作業品質向上」を考慮しなくてはいけません。

部品が完成車メーカーに届くまで

 では、実際の物流業務で、部品メーカーが完成車メーカーに製品を運搬する「調達物流」はどのように行われているのでしょうか。流れについて説明します。

(1)完成車メーカーから発注

 製品の品番、納期、数量、受け入れ場所等の情報を発信し、発注します。トヨタではサプライヤーとの間で「かんばん」を使用して発注を行うことが多いです。これまではケースに入った「リターナブルかんばん」が使われてきましたが、近年はWebを利用した電子かんばんに移行しています。

(2)発注情報の置き換え

 客先の情報を自社で出荷に必要な情報に置き換えます。多くの部品メーカーでは、客先の品番とは別に自社品番を設定しており、発注情報を自社品番に変更します。また製品の置き場、集荷(製品をピックアップする作業)、出荷時間も指定します。

(3)集荷/出荷

 (2)で設定した情報に基づき作業員が製品をピックアップし、トラックなどの運搬手段に積み込み、納入先に運搬します。ここで重要なのは「誤品(発注情報と異なる)納入」の防止です。対策として、製品と現品票(製品の品番、数量、納入先が書かれた伝票)、納品書の3点が間違いがないかの確認、通称「3点照合」が多く採用されています。

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