荷物受け取りは電柱で、関電や豊田自動織機が宅配ボックスの共同プロジェクトモビリティサービス

関西電力送配電と豊田自動織機、日本ネットワークサポート、京都府、精華町、関西電力は2020年10月19日、京都府の対象エリア内にある電柱などに共用型の宅配ボックスを設置するプロジェクト「まちなか宅配ボックスサービス」を実施すると発表した。実施期間は2021年1月31日までの予定だ。

» 2020年10月22日 14時00分 公開
[池谷翼MONOist]

 関西電力送配電と豊田自動織機、日本ネットワークサポート、京都府、精華町(京都府相楽郡)、関西電力は2020年10月19日、街中の電柱などに共用型の宅配ボックスを設置するプロジェクト「まちなか宅配ボックスサービス」を期間限定で実施すると発表した。設置対象となるエリアは、京都府相楽郡精華町精華台1丁目と同2丁目内の5箇所。実施期間は2021年1月31日までを予定する。

宅配ボックスを電柱(画像内左)や施設内(同右)に設置する[クリックして拡大]出典:関西電力送配電

荷物受け取りの機会増加と、再配達件数の低減を目指す

 まちなか宅配ボックスサービスは、国土交通省が主導する「スマートシティモデル事業」の先行モデルプロジェクトとして選定された「スマートけいはんなプロジェクト」の一環として実施する。街中に多くある電柱や施設内に宅配ボックスを設置することで、地域住民は宅配便を自宅以外でも受け取ることができるため、生活の利便性向上が見込めるという。自治体にとっても、将来的にスマートシティー実現につながるデータやノウハウが獲得できる上、再配達件数を減らすことでCO2削減効果も期待できる。宅配業者も再配達件数が減ることで、業務効率化が図れる。

まちなか宅配ボックスサービスのコンセプト[クリックして拡大]出典:関西電力送配電

 プロジェクトの企画、運営、評価は関西送配電が担当する。豊田自動織機は宅配ボックスの製造や保守、運営などを、日本ネットワークサポートは宅配ボックスを電柱につるすための専用治具の製造を、京都府はスマートけいはんなプロジェクト事務局の運営を、精華町は地域住民への説明を担う。関西電力はスマートけいはんなプロジェクト協議会メンバーとして参加する。荷物の配送はヤマト運輸、日本郵便、西濃運輸が協力して行う。

 宅配ボックスは次のような流れで使用する。荷物配達時に受け取り人が不在だった場合、宅配業者は不在票と「まちなか宅配ボックス」の案内チラシをポストに投函する。受け取り人が宅配ボックスへの配達を希望する場合は、チラシを参考に宅配ボックスの専用コールセンター(宅配CC)に連絡して、希望する配達先のボックス番号を指定する。宅配ボックスには通信機能があり、着荷時には受け取り人宛てにSMS(ショートメッセージ)で通知が送信される仕組みだ。通知を確認後、受け取り人は宅配ボックスで荷物を回収する。

まちなか宅配ボックスサービスの利用の流れ[クリックして拡大]出典:関西電力送配電

電柱から宅配ボックスに給電

 宅配ボックスには防犯カメラが搭載されており、開閉時に暗証番号の入力を求めるなど、盗難被害の防止対策を講じている。荷物の預け入れや受け取りの履歴をWeb上でモニタリングする管理者向け機能もある。なお、電柱に設置した宅配ボックスは電柱から給電する方式を採用している。停電時には機械式の鍵でボックスを開閉可能だ。耐用年数は7年程度を想定する。

 関西送配電などプロジェクトの参加企業や自治体は、プレスリリースの中で「近年、物流業界では、eコマースの進展で宅配荷物の増加や人手不足が深刻化している。加えて、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で非接触での荷物の受け渡しのニーズが高まっていることから、共用型の宅配ボックスが注目されている。本プロジェクトを通じて、宅配物の再配達回数を削減することで、環境負荷の低減や地域社会の発展に貢献し、持続可能性の高い街づくりに取り組んでいく」とプロジェクトの意義を述べている。

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