特集:IoTがもたらす製造業の革新〜進化する製品、サービス、工場のかたち〜

価格1万2000円でIoTによる制御を実現、「からくり」を拡張する簡単コントローラー簡単自動化(1/2 ページ)

 工場向けアルミフレームを展開するSUSは「誰でも初めてでも使える」ことをコンセプトとしたFA向けコントローラー「SiO」シリーズを拡張し、イーサネット接続機能とデータ活用支援ソフトを追加した「SiO t」を2020年9月に発売した。「制御」と「IoTによるデータ活用」を簡単に実現することで、スマート工場化への取り組みの裾野を広げていく方針だ。

» 2020年10月23日 11時00分 公開
[三島一孝MONOist]

 工場向けアルミフレームを展開するSUSは「誰でも初めてでも使える」ことをコンセプトとしたFA向けコントローラー「SiO」シリーズを拡張し、イーサネット接続機能とデータ活用支援ソフトを追加した「SiO t」を2020年9月に発売した。「制御」と「IoTによるデータ活用」を簡単に実現することで、スマート工場化への取り組みの裾野を広げていく方針だ。

photo 新たに展開する「SiO t」(クリックで拡大)

「からくり」とPLCの隙間を埋める

 SUSは工場内の「からくり」などで使用されるアルミフレームを展開する企業である。「からくり」は、モーターやセンサーなどの動力や制御機器を持たずにアナログな機構だけで一定の動作を実現する仕組みだが、導入を広げる中で「PLC(Programmable Logic Controller)を使うほどではないが、からくりだけでは行えない制御を簡単に行いたい」とするニーズが生まれ、これに応える形で開発したのが、シンプルI/Oコントローラー「SiO」シリーズである。

photo SUS 第2開発グループ SU開発チーム チームマネージャーの辻宏之氏

 「SiO」シリーズは、とにかく「シンプルさ」と「低価格」を追求したコントローラーだ。「SiO」コントローラーと、専用のe-CONコネクターで接続するスイッチやセンサーなどの部品を結び、専用のソフトウェア「SiO-Programmer」で選択肢からやりたいことを選んでいくだけで簡単にプログラムが行える。こうした「簡単さ」と「手軽さ」が、からくりとPLCによる複雑な制御の“隙間”のニーズにはまり「2017年以降は2倍ペースで売り上げは増え続けている。2020年は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響は受けているもののそれでも前年以上の販売ができている」とSUS 第2開発グループ SU開発チーム チームマネージャーの辻宏之氏は述べている。

「簡単」「手軽」にIoTを実現

 新たに投入した「SiO t」はこれらのシンプルで低価格を特徴とした「SiO」コントローラーに、新たにイーサネットポートを用意し、PCと接続できるようにしたものだ。これにより「SiO」コントローラーで取得したデータを自動でPCに送り、データ収集を行えるようにしたり、逆にPC側から「SiO」コントローラーに指示を送ったりできる。辻氏は「SiOシリーズを展開していく中で『データをPCでもモニタリングしたい』という要望が増えてきていた。新製品はこれに応える製品だ」と語っている。

 特徴はとにかく「簡単」であるという点だ。「SiO」シリーズでは、コントローラーと指定の機器をコネクターでつなぐだけで、配線や結線などの心配なくすぐに使えるということが特徴だったが、「SiO t」ではIoTも含めて同様の簡単さを実現している。まずSiOに入出力機器を接続し、専用ソフト「SiO Programmer」でIPアドレスを設定する。そして、SiOとPCをLANケーブルで接続し、データ活用支援ソフト「IoT Programmer」でPCの処理を選択するという4ステップですぐに使用可能だ。価格は税別で1万2000円としている。

photo 「SiO t」を使用するまでの4つのステップ(クリックで拡大)出典:SUS
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