「つながるクルマ」が変えるモビリティの未来像
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» 2020年11月02日 07時30分 公開

モビリティサービス:トヨタがKDDIに522億円出資、通信大手3社で重なる協業範囲

トヨタ自動車とKDDIは2020年10月30日、新たな業務資本提携に合意したと発表した。中長期に渡って戦略的な提携を進める上で資本関係の強化が必要と判断。KDDIはトヨタを引受先とし、総額約522億円の第三者割当による自己株式処分を実施する。

[齊藤由希,MONOist]

 トヨタ自動車とKDDIは2020年10月30日、新たな業務資本提携に合意したと発表した。中長期に渡って戦略的な提携を進める上で資本関係の強化が必要と判断。KDDIはトヨタを引受先とし、総額約522億円の第三者割当による自己株式処分を実施する。トヨタによるKDDIの持ち株比率は12.95%から13.74%に上がる。

 今回の業務資本提携の合意により、通信技術とコネクテッドカー技術の研究開発を推進するとともに、人々の生活を豊かにするサービスの開発や、ビッグデータ活用による社会課題の解決に取り組む。具体的には、4Gから5G、将来に向けて検討されている「6G」など通信規格の進化を受けて、街や住宅、人、クルマなどそれぞれの最適な通信を実現する通信プラットフォームの研究開発を共同で行う。

トヨタとKDDIの業務提携のイメージ(クリックして拡大) 出典:トヨタ自動車

 また、デバイスやネットワーク、プラットフォーム、サービスまでを一元管理する、次世代コネクテッドカーの高度な運用管理システムを共同開発する。また、クルマの内外にとらわれずに豊かな生活や安心安全を追求するサービスとサービスプラットフォームの構築や、街や住宅、人、クルマなどのビッグデータを活用した地域の課題解決にも取り組む。

 2000年10月にKDDIが発足して以来、トヨタはKDDIの第2位の株主だ。トヨタのテレマティクスサービス「G-BOOK」で協力してきた他、車載通信機(データコミュニケーションモジュール、DCM)が国や地域をまたいでも安定して通信するためのグローバル通信プラットフォームの共同開発にも取り組んだ。KDDIは、トヨタと共同開発したグローバル通信プラットフォームをコネクテッドカー以外のIoT(モノのインターネット)機器に向けても提案している。

 トヨタは日本国内の大手通信会社と何らかの協業を進めている。ソフトバンクとは共同出資会社「MONET Technologies」を設立し、モビリティサービス基盤の開発や提供に取り組んでいる。MONETコンソーシアムには様々な業種の企業が参加している他、MONETには国内自動車メーカー各社が出資している。

 NTTとも業務資本提携を結んでおり、2020年3月には相互に2000億円を出資した。NTTとの協業で取り組むのはスマートシティのプラットフォームの構築で、社会システムの一部としてクルマをどのように活用できるかを検討する。

 開発したスマートシティプラットフォームは、先行ケースとして東京都港区品川駅前のNTT街区や、トヨタ自動車東日本 東富士工場(静岡県裾野市)の跡地に建設するコネクテッドシティ「Woven City」で実装し、他の都市にも展開する。NTTはWoven Cityで、5Gの次の「6G」や、新たなネットワーク構想「IOWN(Innovative Optical and Wireless Network)」などの研究でも連携していく。

 NTTとトヨタが開発するスマートシティプラットフォームはオープンな取り組みだとしており、KDDIやソフトバンクを排除する業務資本提携ではないとみられる。NTTと取り組むスマートシティ、ソフトバンクと取り組むモビリティサービスは、KDDIと目指す街や住宅、人、クルマがつながる社会の実現とも関連が深く、通信大手との協業で重複する部分も増えていきそうだ。トヨタを中心にした通信大手3社の協力がどのように進むか注目だ。

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