アクセンチュアがデジタル本部を発展解消、新体制で「変化を促す存在」へ製造マネジメントニュース(1/2 ページ)

アクセンチュアは2020年9月にスタートした新年度(2021年8月期)の事業方針と次世代成長モデルについて説明。米国本社の新CEOとしてジュリー・スウィート(Julie Sweet)氏が就任した2019年9月からの1年間で組織改編を進めており、日本法人でも新たな組織体制を発足させて次なる成長に備えているという。

» 2020年11月04日 11時00分 公開
[朴尚洙MONOist]

 アクセンチュアは2020年10月30日、オンラインで会見を開き、同年9月にスタートした新年度(2021年8月期)の事業方針と次世代成長モデルについて説明した。米国本社の新CEOとしてジュリー・スウィート(Julie Sweet)氏が就任した2019年9月からの1年間で組織改編を進めており、日本法人でも新たな組織体制を発足させて次なる成長に備えているという。

アクセンチュアの江川昌史氏 アクセンチュアの江川昌史氏

 アクセンチュア日本法人 社長の江川昌史氏は「日本法人は加速度的な成長を続けている。2014年度からの6年間で社員数が3倍になっており、事業規模も社員数に比例して伸びている」と語る。この成長の要因としては、「DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進」「ダイバーシティ」「ナショナルアジェンダの設定」の3つを挙げた。

 中でも、DXの推進とダイバーシティは大きく関係している。アクセンチュアでは、DXの実現に約30種類のスキルとケイパビリティ(能力)が必要になると考えており「それは30種類の人種ともいえる。それだけさまざまな人材を集めるには、従来の男中心の体育会系的なカルチャーを変え、女性や外国人の活用が必要になってくる」(江川氏)という。実際に、「Project PRIDE」と名付けた働き方改革を進めることで、2020年度の女性社員数は2014年度比で5.4倍と大きく伸びている。

アクセンチュア日本法人の社員数の推移 アクセンチュア日本法人の社員数の推移。「Project PRIDE」により女性社員数が2014年度から5.4倍に増えた(クリックで拡大) 出典:アクセンチュア

新たな「パーパス」「戦略」「ブランド」を策定

アクセンチュアのジュリー・スウィート氏 会見にビデオメッセージを寄せたアクセンチュアのジュリー・スウィート氏

 新CEOに就任したスウィート氏は2020年3月に新たな成長モデルを打ち出している。「組織構造の簡素化」による顧客対応の迅速化と、全ての提供サービスにおける「デジタル化の実現」の2つを基軸として、アクセンチュアの事業の約7割をデジタル、クラウド、セキュリティに移行させた。

 スウィート氏は会見に寄せたビデオメッセージで「そして新モデルを施行した直後に起きた新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大により3つの変化があった」と強調する。1つ目の変化はテクノロジーの価値に対する評価で、もはやその是非やリスクを問うのではなく、個人、社会、ビジネス、行政に欠かせないライフラインになったという。2つ目の変化はスピードで、可能な限り素早く行動することが成功の要因になっている。そして3つ目の変化は、国際連合が掲げるSDGs(持続可能な開発目標)への対応が加速していることだ。

 アクセンチュアは、これらの変化に対応すべく新たな「パーパス」「戦略」「ブランド」を掲げることを決めた。まず、2020年10月14日に新たに策定した「パーパス」は「テクノロジーと人間の創意工夫でまだ見ぬ未来を実現する」となっている。そして「戦略」は、「パーパス」を実現する具体的な計画であり「成功の共有というカルチャーの中で世界をより良い方向に変え続けていく」(スウィート氏)とした。

アクセンチュアの「パーパス」 アクセンチュアの「パーパス」(クリックで拡大) 出典:アクセンチュア

 「戦略」を示すのが「360°バリュー」という言葉であり、価値を測定することで全ての人々に利益を与えることを意味している。スウィート氏は「『測定できるものは達成できる』という格言にある通り、われわれは提供する価値を測る。財務利益や顧客満足、持続可能性、技能向上、多様性、受容性など顧客ごとの価値基準を測り、アクセンチュア社内でも価値測定を行う」と述べる。

アクセンチュアの「戦略」 アクセンチュアの「戦略」(クリックで拡大) 出典:アクセンチュア

 そして「ブランド」では、変化し続けてきたアクセンチュアだからこそ人々のためになる変革を創り出してきたという確信のもと、「Let there be change」をうたい変化を促す存在になるとした。

アクセンチュアの「ブランド」 アクセンチュアの「ブランド」(クリックで拡大) 出典:アクセンチュア

 また、アクセンチュアの日本法人に対する期待としては、武田薬品工業のデジタル化支援を例に挙げながら「7年連続で2桁成長している日本法人は、アクセンチュアの継続的な成長にとって大きな原動力になっている」(スウィート氏)とし、今後の成長にも期待を込めた。

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