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» 2020年11月13日 07時30分 公開

3DEXPERIENCE WORLD JAPAN 2020:競合他社は10年遅い、SOLIDWORKSブランドCEOが語る設計の未来に向けた戦略 (1/2)

ソリッドワークス・ジャパンは、年次ユーザーイベント「3DEXPERIENCE WORLD JAPAN 2020」をオンライン開催。その基調講演に登壇した、SOLIDWORKSのブランドCEOであるジャン・パオロ・バッシ氏は「The Future Of Design SOLIDWORKS Strategy」と題し、設計の未来に向けたSOLIDWORKSの戦略について語った。

[八木沢篤,MONOist]

 ソリッドワークス・ジャパンは、3次元設計ソリューション「SOLIDWORKS」の年次ユーザーイベント「3DEXPERIENCE WORLD JAPAN 2020」をオンライン開催した(ライブ配信:2020年11月10〜17日/オンデマンド配信:同年11月19〜30日)。

 これまで「SOLIDWORKS WORLD JAPAN」の名称で親しまれてきたイベント名を、米国で毎年2月に開催されるワールドワイドのユーザーイベント(※1)の名称変更に併せ、日本でのイベント名も「3DEXPERIENCE WORLD JAPAN」とあらためた。

※1:2020年2月に米国テネシー州ナッシュビルで開催されたイベントから「3DEXPERIENCE WORLD」の名称となった。

 その基調講演に登壇した、SOLIDWORKSのブランドCEOであるジャン・パオロ・バッシ氏は「The Future Of Design SOLIDWORKS Strategy」と題し、設計の未来に向けたSOLIDWORKSの戦略について説明した。

SOLIDWORKSは今までもこれからも“設計力の向上”を重視

SOLIDWORKS ブランドCEOのジャン・パオロ・バッシ氏 SOLIDWORKS ブランドCEOのジャン・パオロ・バッシ氏

 講演の冒頭、バッシ氏はSOLIDWORKSが数あるダッソー・システムズ製品群の中で、重要なブランドの1つに位置付けられていることをあらためて強調し、「近年、ダッソー・システムズの収益のうち、約20%をSOLIDWORKSが占めている」(バッシ氏)ことを紹介した。

 ダッソー・システムズは現在、戦略の柱として「Human(人)」「Industry(産業)」「Experiences(体験)」の3つを掲げる。Humanは“人に対する持続的な貢献”、Industryは“持続可能な成果物の提供”、Experiencesは“機能から体験への移行”を意味し、同社はこれらを実現するための価値提供に取り組んでいる。

ダッソー・システムズの事業戦略における3つの柱 ダッソー・システムズの事業戦略における3つの柱 ※出典:ソリッドワークス・ジャパン [クリックで拡大]

 そうした中で、「SOLIDWORKSは、今までもこれからも“設計力の向上”を重視していく。優れた設計を実現するための支援を目標とし、そのためにわれわれは“設計の未来”を提供したいと考えている」とバッシ氏は述べる。

 それを具現化したのが、新たにリリースされた「SOLIDWORKS 2021」だ。SOLIDWORKS 2021では、非常に多くの機能改善・追加がなされており、その中でも特にパフォーマンスの向上については最優先事項として取り組んだという。その理由についてバッシ氏は「パフォーマンスは生産性に直接影響する要素だ。そのため、全機能において常にパフォーマンスの向上を視野に入れている」と話す。

パフォーマンスのさらなる改善に取り組んだ「SOLIDWORKS 2021」 パフォーマンスのさらなる改善に取り組んだ「SOLIDWORKS 2021」 ※出典:ソリッドワークス・ジャパン [クリックで拡大]

 SOLIDWORKS 2021では、ダウンロード時間を約25%改善し、新たなリリースやサービスの導入を素早く行えるようにした。また、板金設計者が複数回にわたり行う複雑な板金モデルの展開においても、20〜25倍の高速化が図られている。さらに、データ管理に関するパフォーマンスも改善しており、「SOLIDWORKS PDM」へのファイル追加が約3倍速くなり、ステータス変更の処理速度も約25%向上しているという。

 これらに加えて、SOLIDWORKS 2021では設計業務の効率化に大きく影響する、モデルの回転やズームなどの操作において表示速度が向上。描画・表示処理にGPUを活用することで、特に大規模アセンブリを扱う際などに大きな効果を発揮するとしている。

 講演では、SOLIDWORKS 2021のパフォーマンス改善を中心に紹介したが、バッシ氏は「生産性だけではなく、ユーザーエクスペリエンスも向上している。コンピュータの前で長時間過ごす設計者にとって朗報だ」と、SOLIDWORKS 2021をアピールする。

SOLIDWORKSブランドから3DEXPERIENCE WORKSが生まれた

 続いてバッシ氏は、世界が産業構造の変化とイノベーションの加速に直面している点を挙げる。SNSや「Uber」「Airbnb」に代表されるデジタルプラットフォームの急速な普及と進化に触れ、これらが既存の産業構造に変革をもたらしているとし、「プラットフォームの存在が、ビジネス変革の障壁を下げ、新たな枠組みの中での創造性豊かなコミュニティー構築を実現する。これはイノベーション創出に欠かせない要素といえる」(バッシ氏)という。

 さらに、バッシ氏はテクノロジーの進化によって、人と機械、脳とアルゴリズムの境界線が曖昧となり、現実とデジタル、バーチャルとの融合が複雑化していることを指摘。その上で、「企業が競合他社に打ち勝つためには、この複雑さに立ち向かい、有利な立場を築かなければならない。そのためには、新たな枠組みやビジネスモデルを実現できるプラットフォームが必要だ」(バッシ氏)との考えを述べる。

製品思考からプラットフォーム思考への移行 製品思考からプラットフォーム思考への移行 ※出典:ソリッドワークス・ジャパン [クリックで拡大]

 これが“製品思考からプラットフォーム思考への移行”というSOLIDWORKSの戦略の根幹を担う考え方であり、イノベーション創出のためのプラットフォームを提供するため、新たに「3DEXPERIENCE WORKS」というSOLIDWORKSのポートフォリオを構築した。

 3DEXPERIENCE WORKSは、クラウド上にあるダッソー・システムズの「3DEXPERIENCEプラットフォーム」と連携し、SOLIDWORKSにさらなる拡張性をもたらす新たなポートフォリオで、バッシ氏は「SOLIDWORKSのブランドから、3DEXPERIENCE WORKSが生まれた」と、あくまでもSOLIDWORKSを主体とした展開であることを強調する。

「3DEXPERIENCE WORKS」の位置づけについて 「3DEXPERIENCE WORKS」の位置づけについて ※出典:ソリッドワークス・ジャパン [クリックで拡大]
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