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» 2020年11月16日 06時00分 公開

交通政策白書2020を読み解く(前編):日本の交通の動向と新型コロナウイルスが及ぼした影響 (1/6)

本稿では、交通政策白書2020の「要旨」を基に、第1部、第2部と順を追って内容を概観する。前編ではコロナウイルス感染症の影響も含めた、交通の動向について見ていきたい。

[長島清香,MONOist]

 国土交通省は2020年6月に「令和元年度交通の動向」および「令和2年度交通施策」(以下、交通政策白書2020)を公開した。交通政策白書2020の第1部では、交通を取り巻く社会・経済の動向、各分野の交通の輸送量・ネットワーク・交通事業の動向や新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響について整理。第2部では、超高齢社会における高齢者の移動を支える施策や先進事例を紹介している。第3部では2015年2月13日に閣議決定した「交通政策基本計画」に盛り込まれた施策の進捗(しんちょく)状況や今後の取組方針を整理している。

 本稿では、交通政策白書2020の「要旨」を基に、第1部、第2部と順を追って内容を概観する。前編ではコロナウイルス感染症の影響も含めた、交通の動向について見ていきたい。

→連載「交通政策白書を読み解く」バックナンバー

交通を取り巻く社会や経済の動向

 社会や経済の変化は移動する人の数や物の量の変化となって表れ、交通に対しても強い影響を及ぼす。そのため、日本の人口や年齢構成の変化、就業者数の動向などは注視すべきポイントとなる。さらには、交通政策白書2020のメインテーマである「世界に先駆けて超高齢社会の足を支える」に伴い、高齢化の進展を背景とした65歳以上の体が不自由な人の増加などについても確認する。

 日本の総人口は、長期にわたり増加を続け、2008(平成20)年に過去最高(1億2808万人)を記録し、その後減少に転じ、2019年は1億2617万人となった(図1)。今後は長期にわたって減少を続け、最高時と比較して2030年は7%、2050年は20%少なくなると見込まれている。65歳以上の人口(高齢者人口)は、2019年は3589万人、総人口に占める割合(高齢化率)は28.4%で、いずれも年々高くなってきている。今後、総人口が減少する中で高齢者が増加することにより高齢化率は上昇を続け、2036年には3人に1人が高齢者になると推計されている。特に75歳以上の後期高齢者については、第1次ベビーブーム世代が後期高齢者となる2025年に総人口に占める割合が17.8%に達し、その率はさらに上昇すると見込まれている。

図1:わが国の総人口と年齢構成の推移・予測(クリックで拡大)出典:交通政策白書2020

 全国の就業者数は、生産年齢人口が減少し始めた2000年ごろから増減を繰り返しているが、ここ数年は2012年の6280万人を底に増加し、2019年は6724万人になった(図2)。これは2012年から見ると444万人(7.1%)の増加となっている。生産年齢人口が減少を続けている中で就業者数が増加傾向にある背景には、女性と高齢者の就業者数の増加があるとみられる(図3、図4)。

図2(左):全国の就業者数の推移、図3(右):性別、年齢別の就業者数の変化(クリックで拡大)出典:交通政策白書2020
図4:高齢者の就業者数の推移(クリックで拡大)出典:交通政策白書2020

 高齢化の進展を背景に、障がいのある人の総数も増加傾向にある(図5〜7)。こうした中にあって働く障害者は増加しており、民間企業において雇用されている障害者数は56.1万人、実雇用率は2.11%となっている。また、障害者であって毎日外出する人は2割、月1回以上外出する人は8割超となっている。

図5:身体障害児・者(在宅)数の推移(クリックで拡大)出典:交通政策白書2020
図6(左):知的障害者(在宅)数の推移、図7(右):精神障害者(外来)数の推移(クリックで拡大)出典:交通政策白書2020
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