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» 2020年11月19日 07時30分 公開

3DEXPERIENCE WORLD JAPAN 2020:産業用ロボットを用いた工場自動化システムの開発効率化への取り組み (1/2)

ソリッドワークス・ジャパン主催「3DEXPERIENCE WORLD JAPAN 2020」のユーザー事例講演で、産業用ロボットを用いた工場自動化システムの製造を手掛けるフェイスワンが登壇。「産業用ロボットシステム設備設計における働き方改革」と題し、「SOLIDWORKS」「SOLIDWORKS PDM」と、ミスミの「RAPiD Design」を活用した開発効率化への取り組み事例を紹介した。

[八木沢篤,MONOist]

 ソリッドワークス・ジャパンは、3次元設計ソリューション「SOLIDWORKS」の年次ユーザーイベント「3DEXPERIENCE WORLD JAPAN 2020」をオンライン開催した(ライブ配信:2020年11月10〜17日/オンデマンド配信:同年11月19〜30日)。

 ユーザー事例講演では、フェイスワンの緒方達也氏が登壇し、「産業用ロボットシステム設備設計における働き方改革」と題して、SOLIDWORKSおよび「SOLIDWORKS PDM」と、ミスミの「RAPiD Design」を活用した開発効率化への取り組み事例を紹介した。

3次元CAD導入のきっかけは、取引先とのやりとりに伴う時間的ロス

 フェイスワンは、産業用ロボットを用いた工場自動化システムの製造を手掛ける企業だ。設立は2006年12月で、現在、愛知県犬山市に本社工場、山梨県富士吉田市に営業所を構え、設計、製造、立ち上げまでを一貫して行っている。自動化設備を工場などに提供することで、人手による重労働作業や工程の多い手作業の省力化、無人化などを支援する。また、工場自動化システム導入時に付随する産業用ロボットの教示(ティーチング)の請負作業や付帯設備の消耗部品の供給なども行っている。

フェイスワンの主な業務内容について フェイスワンの主な業務内容について ※出典:フェイスワン [クリックで拡大]

 同社がSOLIDWORKSを導入したのは2016年5月のことだ。3次元設計の経験者が入社したことを機に、これまでの2次元設計環境から3次元設計環境への切り替えを本格的に検討。もともと、潜在的な課題として「取引先(顧客)から提供される設計用のワークデータや検討資料の多くが3Dデータ主体であり、その都度、2次元化したり、取引先に問い合わせたりといった作業や確認の手間が生じていたことも3次元シフトを決断する大きな要因となった」と、緒方氏はSOLIDWORKS導入のきっかけを語る。さらに、作成した承認図(DXFファイル形式)を取引先へ提出する際も、3Dデータ化を取引先自身に行ってもらう必要があったため、その確認と返却待ちに時間的ロスが生じていたという。

SOLIDWORKS導入のきっかけについて SOLIDWORKS導入のきっかけについて ※出典:フェイスワン [クリックで拡大]

 こうした背景から、SOLIDWORKSの導入を決断。現在同社では、メインの3次元設計環境として「SOLIDWORKS Premium」「SOLIDWORKS Professional」およびRAPiD Designを活用し、データ管理として「SOLIDWORKS PDM Professional」を導入する。さらに、これらと併用して、ロボット用シミュレーションソフト「ROBOGUIDE」、2次元設計環境「MICRO CADAM Helix」(主に気圧回路図などに使用)も活用している。「ROBOGUIDEは、SOLIDWORKSで設計した3DデータをIGESに変換して取り込み、SOLIDWORKSで検討したレイアウト上で、ロボットの姿勢などがきちんと取れるかを検証するために使用している」(緒方氏)。

SOLIDWORKSとROBOGUIDEによるシミュレーションの実践

 従来の2D CAD主体の設計では、ロボットの姿勢検討などは平面上でしか行えず、「たぶん届くだろう」「恐らくぶつからないだろう」といった感覚的な判断に頼らざるを得なかったという。

 これに対し、SOLIDWORKSの導入後は、ロボットのフレキシブルな姿勢検討を実現。緒方氏は「ロボット同士が隣り合うような姿勢であっても、3D CADであれば具体的に状況を確認でき、関係者に説明する際もより具体的に理解してもらえるようになった。3次元設計によって、詳細な干渉検討が可能になったことで、システム立ち上げ時に発生していた手戻り工数も少しずつ低減、その効果を日々実感している」と3次元化によるメリットを語る。

 ロボットのシミュレーションでは、まずSOLIDWORKSで設計した各ユニットの3Dデータを工場レイアウト上に展開し、全体のバランス検討を実施。その際、各ユニットに張り付けたロボットハンドをレイアウト上に配置したロボットに合致させる。それにより、静止状態でのロボットの姿勢を把握する。

SOLIDWORKSを活用した静止状態での検証 SOLIDWORKSを活用した静止状態での検証 ※出典:フェイスワン [クリックで拡大]

 こうした静的な確認に加え、同社ではSOLIDWORKSによるレイアウト作図の後に、ROBOGUIDEを用いた動作シミュレーションを実施している。「SOLIDWORKS上では各ポイントにおける干渉を検証し、ROBOGUIDEによって動きに無理がないかといった動作の検証を行う」(緒方氏)。また、ROBOGUIDEを用いることで、実機と同等の動きを再現できるため、詳細な動きまで検討したい場合は、社内のロボット教示担当者を交えた詳細なシミュレーションも実施できるとする。

 「SOLIDWORKSのみで動き(アニメーション)まで確認しようとすると、どうしても3D CADが使える設計者の手が必要となる。ROBOGUIDEにアウトプットすることで、設計者の負担を軽減し、業務分担による効率化が図れる」(緒方氏)

ROBOGUIDEを活用した動作シミュレーション ROBOGUIDEを活用した動作シミュレーション ※出典:フェイスワン [クリックで拡大]

 また、緒方氏はSOLIDWORKSからROBOGUIDEへ3Dデータをインポートする際のポイントについて、「ROBOGUIDEでは全て座標系で3Dデータを取り込むため、SOLIDWORKS上でのアセンブリの作り方をあらかじめ決めておく必要がある。当社ではロボットハンドであればフランジなどの取り付け面を原点とし、フレームなどの周辺機器はフロアの中心位置に原点をそろえるようにしている」と説明する。

 以上のように、同社ではSOLIDWORKSで作図した3Dデータをロボットシミュレーションに横展開し、活用することで、作業の効率化や共有化を図っているという。

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