HPは、ゴルフクラブの製造を手掛けるCobra Golfが同社の金属3Dプリンティング技術「HP Metal Jet」を採用した限定モデルのゴルフクラブ「KING SUPERSPORT-35 パター」を販売すると発表した。
[八木沢篤,MONOist]
HPは2020年11月17日(現地時間)、ゴルフクラブの製造を手掛けるCobra Golfが同社の金属3Dプリンティング技術「HP Metal Jet」を採用した限定モデルのゴルフクラブ「KING SUPERSPORT-35 パター」を販売すると発表した。
KING SUPERSPORT-35 パターは、金属3Dプリンティング技術により複雑な格子構造を内部に備えたヘッドを実現し、重量配分を最適化することで、最大限の慣性モーメントを実現するブレードタイプのパター。Cobra Golfのエンジニアと、HPおよびHPのソリューションパートナーであるParmatechのチームが約2年の歳月をかけて開発した。
HP Metal Jetテクノロジーを用いて開発されたゴルフクラブ「KING SUPERSPORT-35 パター」 ※出典:HP [クリックで拡大]
Cobra Golfは、HP Metal Jetが従来の製造方法や他の3Dプリンティング技術と比べて優位性があると判断し、採用を決定。複雑な構造に対応でき、処理能力や開発における適応力も高く、設計からプロトタイプ作成、テストまでを素早く繰り返し行えたことで、短期間での製品開発を実現した。Cobra GolfとHPとの取り組みは2019年から始まり、約8カ月間で35パターンもの異なる設計を繰り返し検討、HP Metal Jetによって設計の自由度と製品開発における革新的なスピードをもたらしたという。
3Dプリンティング技術が生み出す次世代パター
KING SUPERSPORT-35 パターのヘッド部はSUS316(ステンレス鋼材)を素材とし、造形後、高温で焼結して金属を結合させ、最終的なヘッド部を形成。3Dプリンティング技術により、従来の鋳造や鍛造では実現不可能な、内部に複雑な格子構造を備えたパターヘッドを実現する。そして、製造プロセスの最終段階で、パター表面をCNCマシンで精密加工し、最終仕上げを施している。