連載
» 2020年12月01日 10時00分 公開

「実物大の動くガンダム」を実現した道筋とは、プロジェクト関係者が経緯を語るJIMTOF2020 Online(1/3 ページ)

2020年12月19日、“実物大の動くガンダム”が横浜の大地に立つ。アニメ「機動戦士ガンダム」の40周年プロジェクトとして開発された、このガンダム「RX-78F00」のプロジェクトはどのように始まり、どうやって実現したのか。「JIMTOF2020 Online」において、プロジェクト関係者によるトークイベントが開催されたのでその模様をお伝えする。

[大塚実,MONOist]

 いよいよ、“実物大の動くガンダム”が横浜の大地に立つ。このガンダム「RX-78F00」は、アニメ「機動戦士ガンダム」の40周年プロジェクトとして開発されたもの。30周年のとき、お台場に登場した実物大の立像にも度肝を抜かれたが、今回はなんと全身が動くというのだから、ガンダムファンならずとも気になるところだろう。

 身長18mもの巨大ロボットが動くというのも驚きだが、このプロジェクトはどのように始まり、どうやって実現したのか。オープンを前にした2020年11月20日、オンラインで開催された工作機械の展示会「JIMTOF2020 Online」において、プロジェクト関係者によるトークイベントが開催された。どんな話が出たのか、ここでその模様をお伝えしたい。

なんと窓の向こうに「RX-78F00」が見えるという場所から中継は配信された なんと窓の向こうに「RX-78F00」が見えるという場所から中継は配信された(クリックで拡大)

動機は「動けばもっと喜んでもらえる」

 RX-78F00は、全身に24自由度(ハンドを除く)を持つヒューマノイドロボット。「動く」とは言っても、現在の技術ではさすがにこんな巨大なロボットの2足歩行は実現不可能なので、実際には腰の後ろで台車に支持されているのだが、それでも、いま使える技術だけで、ここまでできることが分かったのは興味深いところだ。

 RX-78F00のロボットとしての仕様などについては、これまでもMONOistに掲載している記事があるのでそちらを参照してほしい。

 この“無謀”ともいえるプロジェクト「ガンダム GLOBAL CHALLENGE(GGC)」をスタートさせたのは、当時、サンライズでプロデューサーだった宮河恭夫氏(GGC代表理事、バンダイナムコエンターテインメント社長)。「10年前のお台場では、ガンダムが立っただけで喜んでもらえた。動けばもっと喜んでもらえるだろう」と思ったのが始まりだった。

GGC代表理事の宮河恭夫氏 GGC代表理事の宮河恭夫氏(クリックで拡大)
ガンダム立像 2009年7月11日にお台場「潮風公園」内の「太陽の広場」で公開されたガンダム立像 出典:ITmedia NEWS
こいつ、動くぞ! 実物大ガンダム立像がついに起動(クリックで再生) 出典:ITmedia NEWS

 しかしそのとき、実際にどんなものを作るのか、具体的なイメージは「何もなかった」という。宮河氏は映像のプロではあるものの、ロボット技術については専門外。まず相談に向かったのが、早稲田大学で長年ヒューマノイドの研究を続けてきた橋本周司氏(GGCリーダー、早稲田大学名誉教授)のところだった。

 橋本氏は当時を振り返り、「専門家なら『止めなさい』と忠告するのが普通だろうが、私はノリやすい性格なので、『面白いじゃないか』と思ってしまった」と笑う。「できない理由はいろいろあるが、それをどうやってやるか考えるのが面白い」とし、アドバイザーとして、同プロジェクトに関わっていくことになる。

GGCリーダーの橋本周司氏 GGCリーダーの橋本周司氏(クリックで拡大)

 GGCが最初に取り組んだのは、世界からのアイデアの募集だ。オープンな手法によって、イノベーションを起こそうという狙いで、2014年に開始。世界10カ国からの応募があったという。実際にRX-78F00に採用されたアイデアはなかったものの、宮河氏は「もっと固いのが多いかと思ったが、奇抜なのも多かった。集めて良かった」と感想を述べた。

       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.