エッジコンピューティングの逆襲 特集
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» 2020年12月18日 08時00分 公開

リアルタイムに学習できるエッジAIが進化、メモリがKBレベルのマイコンにも対応人工知能ニュース

エイシングは新たなエッジAIアルゴリズム「MST」を開発した。これまでに発表した「DBT」や「SARF」などと比べて使用するメモリを大幅に削減できるため、フラッシュメモリやSRAMの容量がKBレベルの小型マイコンにも実装できる。

[朴尚洙,MONOist]

 エイシングは2020年12月15日、新たなエッジAI(人工知能)アルゴリズム「MST(Memory Saving Tree)」を開発したと発表した。エイシングがこれまでに発表した「DBT(Deep Binary Tree)」や「SARF(Self Adaptive Random Forest)」などのエッジAIアルゴリズムと比べて使用するメモリを大幅に削減できるため、フラッシュメモリやSRAMの容量がKBレベルの小型マイコンにも実装でき、エッジAIの処理速度や精度も従来アルゴリズムと同等とする。MSTは2021年1月から提供を開始する予定だ。

 同社は、AI技術として広く知られているディープラーニング(深層学習)とは異なる、木(Tree)構造のAIアルゴリズム「AiiR(AI in Real-time)シリーズ」を展開している。AIの学習に高性能のCPUやGPU、アクセラレーターなどを用いた大規模な計算環境が必要となるディープラーニングに対して、AiiRシリーズはArmの「Cortex-Aシリーズ」などを搭載するプロセッサでリアルタイムにエッジ側で学習を行えることが特徴だ。2019年1月に発表したDBTは、「Raspberry Pi Zero」に実装して、学習は50μ〜200μs、推論は1μ〜5μsで応答可能としていた。

エッジAIアルゴリズム「MST」は“指先大”のマイコン「STM32G0」にも実装可能 エッジAIアルゴリズム「MST」は“指先大”のマイコン「STM32G0」にも実装可能(クリックで拡大) 出典:エイシング

 今回発表したMSTは、DBTと同じ木構造のAIアルゴリズムではあるものの、必要とするメモリ容量をDBTのMBレベルからKBレベルに削減することに成功した。実際に、Armの「Cortex-Mシリーズ」でもローエンドの「Cortex-M0+」(動作周波数64MHz)を搭載し、メモリ容量がフラッシュ32KB、SRAM8KBのマイコン「STM32G0」でも動作したという。STM32G0のパッケージサイズが4.9×6mmであることから「“指先大”のマイコンにも実装可能」(エイシング)としている。

 また、DBTなどはCortex-Aシリーズが推奨実装範囲だったため、Armベースチップの年間出荷量の17%だけが対象だったが、MSTはCortex-Mシリーズや、より高性能のプロセッサに用いられる「Cortex-Rシリーズ」も推奨実装範囲とすることから、Armベースチップの年間出荷量の92%をカバーするという。これにより、リアルタイムにエッジ側で学習と推論を行えるAIをより多くの機器に適用できるようになるとしている。

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