インタビュー
» 2021年01月06日 14時00分 公開

米国AIレジレス企業と組んだ富士通、生体認証技術をリテールにどう生かすかスマートリテール(2/3 ページ)

[池谷翼,MONOist]

生体認証技術で“手ぶら”の購買体験を実現

MONOist Zippinのソリューションに顔認証や静脈認証など各種生体認証技術を組み込むことで、どのような価値が生まれるのでしょうか?

石川氏 最大の変化はCX(顧客体験)だ。従来のZippinのソリューションでは、顧客はスマートフォンアプリを立ち上げ、画面に表示されたQRコードを読み取り機にかざして入店する。入店後にスマートフォンを取り出す必要はないが、基本的には端末の所持を前提としたシステムだ。ここに生体認証技術を組み合わせることで、極端な話、顔と手のひらさえあれば入店できるようになる。スマートフォンを取り出す手間を省き、レジレス店舗のメリットである“スピード感”をさらに向上させる。Lawson Goの実証実験でも「手ぶらで買い物ができるのは便利だ」というフィードバックが多く寄せられた。

 加えてスマートフォンでの入店は、他人の端末を使用した「なりすまし」が生じるリスクがある。このため、アルコール類など年齢確認が必要な商品は陳列できない。しかし、生体認証技術を活用すればなりすましが防止できるので、アルコールも店舗に置けるようになる。

RFIDタグなどとの“使い分け”をどう考えるか

MONOist 富士通はRFIDタグなどを用いたレジレスソリューションなども展開しています。AIカメラや重量センサーなどを用いたZippinのようなソリューションとどのように使い分けて、顧客提案を行う予定ですか。

石川氏 確かに、当社にはRFIDを活用したソリューションや、顧客自身が商品バーコードをスマートフォンで読み込んで決済を行う「Brainforce」など、レジレスソリューションのラインアップが多数ある。フロントの技術にこだわるのではなく、店舗特性や顧客要望に合わせて柔軟に展開していくつもりだ。

 RFIDはアパレルやファッション業界で実用が広がっており、店舗での商品認識だけでなく、サプライチェーンとの連携を通じた情報活用も進んでいる。ただ、やはりタグのコストが高いのがネックとなり、商品単価が高い業界が主なターゲットになる。

 Brainforceのように、顧客が自身のスマートフォンを活用してバーコードスキャンで商品認識を行うソリューションについては、食品スーパーやドラッグストアを中心に展開していく計画だ。一方で、Zippinのソリューションについては、オフィスや駅構内、病院、工場、マンション、テーマパーク内に設置される小規模な売店など、マイクロマーケット(小商圏)をターゲットに展開をしていく予定だ。

MONOist マイクロマーケットに絞ったのはなぜでしょうか。

石川氏 いつまでに、ということは明言できないが、マイクロマーケットには2.6兆円規模の市場成長余地があると考えている。

 国内では小売店舗の店舗数が飽和状態にある。その中で従来のスーパーマーケットのような、大規模店舗を展開していくことは現実的に難しい。また、消費者の購買方式においてEコマースの商品購入がますます広がっている。このような市場環境下でリアル店舗には、「ほしいものがより安価で、かつ身近な場所で手に入る」という新しい役割が求められている。

 こうしたニーズに応えられる可能性を秘めているのがマイクロマーケットだ。これまで大規模店舗の出店条件に合わなかった狭小の店舗や地域、オフィス、マンション内で狭小店舗を展開することで、消費者は安価かつ身近な場所で商品を購入できるようになる。ここにZippinのAIソリューションを活用することで、人手不足の問題を解決しながら売り上げを伸ばしていけると考える。

 映画館などのアミューズメント施設やテーマパークなどでも、よりフレキシブルな販売を可能にする。過疎地域での地域創生など、社会的意義のある貢献もできるだろう。

マイクロマーケットを主要ターゲットとして見据える*出典:富士通[クリックして拡大]

 また、データ分析に関していえば、入店時に最適な広告をスマホ上に表示するなどといったパーソナライズ分析も行いたいという要望を受けることがある。こうしたニーズにも応えていきたい。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.