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» 2021年01月07日 06時00分 公開

「新車全て電動車」はどうなった? 年末に発表されたグリーン成長戦略をおさらいいまさら聞けないクルマのあの話(7)(3/4 ページ)

[齊藤由希,MONOist]

発電やFCトラック、製鉄が水素需要を創出

 水素は、グリーン成長戦略においてカーボンニュートラルのキーテクノロジーと位置付けています。新たな資源として、自動車だけでなく幅広いプレイヤーを巻き込む方針です。水素発電に関しては、発電コストをガス火力以下に低減し、2050年には十分な競争力を持つ水準を目標とします。国内の水素市場を早期に立ち上げるため、2030年に最大300万トン、2050年には2000万トンの導入を目指します。

水素の利用や輸送、製造に関する成長戦略(クリックして拡大) 出典:経済産業省

 クリーン水素の供給量についても目標を定めました。クリーン水素とは、化石燃料とCO2の回収・有効利用・貯留(CCUS:Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage)や、再生可能エネルギーなどで製造された水素を指します。ドイツは2030年に再生可能エネルギー由来の水素の供給量を年間42万トンとする目標を掲げているため、日本はこれを超える水準を目標にします。水素をクリーンかつ安価に製造する設備についても取り組みます。再生可能エネルギーの導入や、水電解装置のコスト低下により、2050年には化石燃料とCCUSよりも安価に水素を製造できる地域も出てくる見込みです。水電解装置の大型化やコスト低減によって国際競争力を強化し、再生可能エネルギーが安価に得られる海外市場に輸出します。欧州などと同じ環境での水電解装置の性能評価も日本で実施できるようにします。

 水素発電のカギとなるのは、水素発電タービンです。先行して市場を立ち上げ、アジアなどに輸出することを目指します。タービンの市場規模は最大で23兆円を見込んでいます。実機での安定燃焼性の実証を支援し、商用化を急ぎます。電力会社にはカーボンフリー電力の調達を義務化し、取引市場を活用します。再生可能エネルギーや原子力と並ぶカーボンフリー電源として水素を評価し、水素を活用すればインセンティブを受け取れる電力市場を整備して行きます。

 水素活用では、燃料電池(FC)トラックも重視されています。EVトラックで走行距離をカバーするのが難しい長距離輸送が、定常的に求められるためです。実証によって商用化を加速するとともに、導入支援策も検討します。水素ステーションの開発や整備の支援、欧州で認められている水準の水素タンクの昇圧など規制改革によるコスト削減も議論します。FCトラックは2050年に累積導入台数が最大で1500万台に達すると見込みます。その市場規模は金額では300兆円としています。

 水素還元製鉄も水素利用の取り組みに含まれます。鉄鉱石の還元剤として利用されている石炭などを水素に置き換える技術です。ゼロエミッション鉄の市場は、2050年に年間最大5億トン、金額にして40兆円の規模が見込まれます。現在は水素還元製鉄の技術は確立されておらず、各国の企業が技術開発に取り組んでいます。また、水素還元製鉄では大量かつ安価な水素の調達も課題となっています。世界に先駆けて技術を確立することを目指します。

 大量の水素を活用する社会の実現には、国際取引にも対応した水素の輸送の検討が不可欠です。ドイツなどが水素の輸入に関心を示していますが、水素は海上輸送を行うことが想定されておらず、各国で法規制が統一されない懸念があります。そのため、日本では水素の輸送機器や輸送技術を海外にも展開するため、液化水素運搬船から受け入れ基地に水素を移すローディングアームなどの国際標準化を推進します。水素の輸出に対応した積出港の岸壁や供給設備などへの出資や、港湾での水素の配送や貯蔵を実現する技術基準や港湾計画の見直しも検討します。

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