交流を活性化するオープン空間を新設、アジレントが本社事業本部をリニューアル製造マネジメントニュース(2/2 ページ)

» 2021年01月12日 14時00分 公開
[池谷翼MONOist]
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コミュニケーションの取りやすさと集中しやすい環境を両立

 デスクエリアは従業員個々人の集中力を適度に保ちつつ、従業員同士がコミュニケーションをとりやすい工夫を取り入れている。例えば、従来、同社事業本部の個人デスクはパーティションで周囲を囲まれたものとなっていたが、これを隣との仕切りが無いI字型デスクへと変更した。これによって「デスクにいながらコミュニケーションを取りやすいレイアウトになった」という。

 同時に集中力も維持するため、デスクエリアでの個人間の座席距離を前後左右で1.5〜2.4m程度空けて、他人の存在に気が散らないように配慮した。同時にこの仕組みは、COVID-19対策としての「ソーシャルディスタンス(社会的距離)」としても機能する。

 内装は業務集中の妨げとならないように、ベージュや白色をベースに、青色を指し色として入れたデザインを採用した。また、エリア内の柱には同社の文化や信念、価値観などを表す言葉を英語でプリントしている。

柱には企業文化に関わる英文をプリントした[クリックして拡大]

 気軽に業務関連のディスカッションを行うためのスペースも設置した。アジレント・テクノロジー・インターナショナル 事業本部の持田いずみ氏は「コミュニケーションが活性化するためのスペースが欲しい、といった従業員の声を反映した。ラフな雑談を行えるオープンスペースと異なり、会議室を使うほどではないが、検討したい議題やアイデアなどを従業員間で話し合えるスペースとして活用したい」と設置目的を説明した。

会議室で議論するほどではない、業務に関わる話題などを話し合えるスペース

 会議室はデスクエリアの隣に設置して、普段の業務スペースからスムーズに移動しやすいレイアウトにした。イノベーションの創出やテーマに、発色の良い赤色など「これまでになかった斬新な色使い」(持田氏)を取り入れたデザインとなっている。Webカメラも設置されており、遠隔地との会議にも使える。

会議室の外観[クリックして拡大]

コロナ禍前に考えていたプランが「感染防止にも役立つ」

 今回のオフィスリニューアルプロジェクトは、2018年から春から始まった。事業本部の従業員8人によるプロジェクトチームが従業員の聞き取り調査を行い、約300件の意見を収集した。それらの意見を分類し、優先順位をつけてまとめた後、2019年からリニューアルに向けた具体的な取り組みを開始した。

 COVID-19を受けて一度プロジェクトは中断したものの、以前から取り入れようと考えていた仕組みが、COVID-19対策としてそのまま生かせると考え、続行を決めたという。

 「例えば、デスクエリアでの個人間のデスク距離は、個人の集中力を保つだけでなく適切なソーシャルディスタンスを保つための仕組みとしても機能する。この他、空調能力を改修前の2倍に上げているが、これはもともと建物の老朽化によってフロア内で空調能力にばらつきがある状況を変えるためのアイデアだった。換気性の向上は有力なCOVID-19対策になり得るので、結果的に功を奏した」(持田氏)

会議室やオープンスペースとは別にテレビ会議システムを導入した部屋もある[クリックして拡大]

 今後の展望について持田氏は、「オフィスが快適であるということは、そこで働く人の安心感につながり、ひいては業務の生産性向上につながるだろう。今後、働き方がどのように変化するかは未知数だが、事業本部としてこのオフィスで何ができるのかを継続的に考えていきたい」と意気込む。

入り口付近には、ヒューレット・パッカードからの独立後20周年を迎えたアジレント・テクノロジーを歩みを紹介するパネルを掲示[クリックして拡大]

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