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» 2021年01月19日 11時30分 公開

協働ロボットはコロナ禍の人作業を補う手段となり得るかMONOist 2021年展望(1/2 ページ)

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による混乱は2021年も続きそうな兆しを見せている。製造現場でも人の密集や密閉空間による作業が制限される中、これらを回避するために人作業の一部を代替する用途で期待を集めているのが協働ロボットの活用だ。2021年はコロナ禍による働き方改革も含め、製造現場での協働ロボット活用がさらに加速する見込みだ。

[三島一孝,MONOist]

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による混乱は2021年も続きそうな兆しを見せている。製造現場でも人の密集や密閉空間による作業が制限される中、これらを回避するために人作業の一部を代替する用途で期待を集めているのが協働ロボットの活用だ。2021年はコロナ禍による働き方改革も含め、製造現場での協働ロボット活用がさらに加速する見込みだ。

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コロナ禍の人作業代替として期待される協働ロボット

 COVID-19による影響は製造業に供給面、需要面でさまざまな問題をもたらした。現在も需要の乱高下や部材の部品の供給不足や物流の混乱などのさまざまな問題が日々起こっている状況だ。ただ、2020年春ごろの「緊急対応期」や、2020年夏以降の「一時的対応定着期」を経て、現在はコロナ禍が長く続いた場合や同様の事態が起こった場合でも対応を可能とする「持続的体制の構築」をどうするかというところに観点が移りつつある。

 こうした中で、製造現場の在り方も見直しが進み、不可避な人手作業を除き、自動化を進める動きが広がりつつある。こうした中で注目されているのが、人手作業のロボットへの代替や負荷軽減への取り組みである。

photo 三菱電機の「MELFA ASSISTA」(クリックで該当記事に)出典:三菱電機

 その中で注目されているのが、協働ロボットの活用だ。協働ロボットは人と同じ作業スペースで作業を行えるように安全規格に対応したロボットのことである。人と同じ作業空間で同時作業を行えるため、直接人作業の支援が行えることが特徴だ。製造ラインでの人手作業の一部を協働ロボットに置き換えたり、協働ロボットによる作業支援を行ったりすることで、人手作業の効率化を推進し、製造現場で同時に働く人の数を減らすことなどが期待されている。

 協働ロボットはもともと、ニーズの多様化による少量多品種化が進む中で、ここ数年大きな注目を集めており、参入企業も急速に拡大している。2020年にも三菱電機が新たに協働ロボット「MELFA ASSISTA」をリリースしている。

 これにより、ファナック、安川電機、ABB、KUKAなどを含む主要ロボットメーカーはほぼ全てが協働ロボットをラインアップに用意した。また、ユニバーサルロボットなどを含む協働ロボット専業メーカーなども大きく販売台数を伸ばしており、市場はいよいよこれから拡大する期待が高まっている。

協働ロボット普及における「用途」の課題

 協働ロボットには人との協調作業という利点に加えて、省スペースで軽量である点、簡単セットアップ機能などによる素早いセットアップで、柔軟な再配置が可能である点などが利点としてある。

 一方で協働ロボット普及にはいくつかの課題もある。1つ目が「用途」の問題だ。協働ロボットは数年前から注目は集めていたものの、実証止まりでなかなかな普及が進まなかった状況がある。また、現在も以前からロボット活用の知見を持つ自動車産業向けで広がり始めた段階で、多くの現場で「活用場所」に悩んでいるというのが現状である。

 製造現場において、作業量が多く定型作業である場合は、専用機を活用した方が効率的だ。一方、作業量が専用機を活用するほどではない場合や、作業が複雑になる場合は、汎用機である産業用ロボットを活用する。そして、数が少なく複雑な作業になる場合は人手による作業でカバーするというのが一般的だ。

 協働ロボットは人に対する安全機能を備えているために、どうしても作業速度などに制限が加わり、従来型産業用ロボットに対しては、作業能力で劣ることになる。一方で、熟練技術者が行うような複雑な作業を正確に早く行えるかというと、それもまた難しい状況だ。こうして考えると、協働ロボットの使い方は、これらの隙間でどこに生かすのかという点が非常に難しいといえる。

 ただ、その中でもいくつかの用途は見えつつある。協働ロボットのインテグレーションを行うIDECファクトリーソリューションズ 取締役でロボットシステム部 部長の鈴木正敏氏は「単純な人の置き換えで使う場合は、ユーザーの満足を得られないことが多い。完全に置き換えるのではなく、協働ロボットと人手の作業を組み合わせることによって、より多くの作業を人が行えるようにするという発想で取り組めば満足度が高いと感じている」と使いどころについて語る。

 完全に代替ではなく、人が行っていた作業の一部を担わせることで、作業負荷を軽減できる領域を狙うというのがポイントだといえるかもしれない。さらに鈴木氏は「従来では設置できなかった工程間のつなぎ目のような場所で、人が行うしかなかった単純作業などで協働ロボットを使ってみるというのが最初の一歩としてはよいかもしれない。梱包や材料供給、AGVにワークを載せるというような作業だ」と述べており、「人が行っている単純作業」を洗い出すことが用途を明確化するポイントだといえる。

photo OKI富岡工場での協働ロボットの活用(クリックで該当記事に)
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