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» 2021年01月20日 10時00分 公開

Lumadaと5Gの融合で何が起こるのか、社会イノベーションが加速する製造業IoT

商用サービスが始まった5Gだが、その価値はコンシューマー向けのみならず製造業や公共、社会インフラといった分野のデジタルトランスフォーメーション(DX)の実現についても期待されている。日立グループは、デジタルイノベーションを加速するソリューションLumadaと5Gを融合したLumada×5Gによって、クラウドとエッジに分散するデータから価値を創出し、生産・運用の効率化や安全・快適な移動、暮らしやすい街づくりなどを実現していく。

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 日本政府が推進する超スマート社会「Society 5.0」ではAI(人工知能)やロボティクスを活用した自動化の進展をめざしている。IoT(モノのインターネット)で全ての人とモノがつながり、さまざまな知識や情報を共有し、今までにない新たな価値を生み出していく。また、必要な情報が必要な時に提供され、ロボティクスや自動運転などの技術と合わせて活用することで、少子高齢化や地方の過疎化などの社会課題を克服。閉塞感を打破して希望の持てる社会、世代を超えて互いに尊重し合あえる社会、一人一人活躍できる社会を実現していくとする。さらに、新型コロナウィルス感染症がもたらしたニューノーマル時代において、DXによる社会イノベーションが一層強く求められている。

 この社会イノベーションを支える、無線通信の基盤技術として期待されているのが5Gである。5Gは「高速」「高信頼・低遅延」「同時多数接続」の3つの特徴を持ち、その市場規模は2035年に世界で13兆2000億ドルに達するともいわれ、情報通信、卸売・小売、公共サービス、建設、物流倉庫、金融・保険、プロサービスなどあらゆる業界に大きな経済効果をもたらすと考えられている。

日立グループが5Gで想定する3つのユースケース

 2035年の5G市場で最も大きな割合を占めるとみられているのが製造業だ。入出庫の可視化、サプライチェーン改革、搬送・製造の自動化などのデジタル変革により、製造業だけでも約4700億ドルの経済効果が見込まれている。そして、製造業の5G活用に向けて現在注目を集めているのがローカル5Gである。5Gが持つ数々の特徴を自営網として利用できるローカル5Gは、スマート工場などでの活用が大きく期待されている。

 日立製作所 サービスプラットフォーム事業本部 経営企画本部 経営企画部の部長を務める和田光弘氏は、「ビジネスの目的に合わせて自由な場所に設置できるローカル5Gでは、通信キャリアの電波が届かない地方や工場の広い建屋内などでも活用が可能です。また、データを外部に漏らさない厳重なセキュリティを担保するという面でもニーズが高まっています。これまで国内で割り当てられていた28GHz帯は基地局からの電波の伝搬範囲は約100〜200mと狭いという制限がありましたが、2020年12月からは新たに4.7GHz帯も使えるようになりました。これにより電波の伝搬範囲は約700mに拡大し、ローカル5Gの使い勝手はますます良くなると思われます」と語る。

 そして日立製作所(以下、日立)は、製造業、公共、社会インフラ分野のさまざまな企業との協創から生み出したデジタルソリューションLumadaをローカル5Gと融合することで、さらに大きな価値を提供していこうとしている。「日立グループの幅広いナレッジを生かしてローカル5Gの環境構築から利活用までトータルにサポートし、お客さまの課題解決やDXを迅速に実現していきます」と和田氏は訴求する。

Lumadaと5Gの融合により実現する価値 Lumadaと5Gの融合により実現する価値(クリックで拡大)

 日立は想定する5Gのユースケースとして3つを挙げる。

 まずは「製造業の遠隔作業支援」で、作業現場から収集した多数のセンシングデータおよび4Kなどの高精細映像をローカル5Gで伝える。これにより遠隔地にいる熟練者は現場にわざわざ赴くことなく、各装置の操作パネルに表示された細かい文字まで読み取れる他、作業現場の環境(温度、湿度、異臭など)や作業者の健康状態までリアルに把握しながら支援することが可能となる。「高齢化により減少している熟練者に活躍いただき、複数拠点の非熟練者を遠隔地からまとめて面倒をみて育成にあたるとともに、作業現場の“密”も避けられます。5Gはニューノーマル時代の要件である『リモート』『非接触』による解決策も実現できます」と和田氏は語る。

 次に「モビリティ(鉄道)」で、5Gにより自動運転/遠隔運行を実現する。また、各車両から収集した走行データを基に保守をスマート化するほか、これまで個別に構築・運用されてきたシステムや設備を5Gで統合し、業務効率と安全性を向上する。

 そして「スマートシティー」に向けて、自動運転や遠隔運転によるスマート交通/スマート物流を実現していく。通信キャリアによるパブリックな5Gを通じて収集した大量センサー情報を活用し、都市全体をスマート化するというのがその構想だ。

日立の想定する5Gのユースケース 日立の想定する5Gのユースケース(クリックで拡大)

Lumadaの価値を5Gプラットフォームから安全・迅速に提供

 ここまで述べてきた通り5G自体はあくまでも“足回り”であり、和田氏は「価値を生み出すのは、その上で動作するアプリケーションやソリューションです」と強調する。こうした考えから日立は、Lumadaの価値を迅速に提供していくための5Gプラットフォームとして、「エッジコンピューティング」「システム構築・運用サービス」「ネットワーク・エッジシステム」の3つを用意している。

日立の5Gプラットフォーム 日立の5Gプラットフォーム(クリックで拡大)

 「エッジコンピューティング」では、これまでクラウド側で行われてきたAIの学習や画像処理などをエッジ(作業現場)側にオフロードして分散処理する。

 和田氏が例として挙げるのは、「AR(Augmented Reality:拡張現実)組立ナビゲーション」というシステムだ。製造現場の作業者を映像で捉え、組み立て作業指示を作業者の手元にプロジェクションマッピングで表示するのである。また、実際に行った作業が間違いなかったかリアルタイムにチェックし、NGであればエラー表示し、OKであれば次の作業を指示する。これならモニターに表示された作業指示書と見比べるといった必要がなく、経験が浅い初心者でも手元から目を離すことなく正しい手順で組み立て作業を行うことが可能となる。

「エッジコンピューティング」を活用した「AR組立ナビゲーション」 「エッジコンピューティング」を活用した「AR組立ナビゲーション」(クリックで拡大)

 「重要なのはこの一連の処理をリアルタイムに実行することです。その都度クラウドとデータをやりとりしていたのでは遅延が発生してしまいます。そこでAR組立ナビゲーションでは、ローカル5Gで伝送された高精細な現場映像を工場内に設置されたMEC(Multi-access Edge Computing)において、AI画像エッジコンピューティングで処理することで、リアルタイムの判断と作業指示を実現しています」(和田氏)

 「システム構築・運用サービス」では、ローカル5Gのシステム構築から運用まで日立グループがワンストップでサポートする。「現地の無線強度測定などのアセスメントから免許取得、システム設計構築、保守運用まで一貫してお任せください」(和田氏)。

 「ネットワーク・エッジシステム」では、企業ごとの目的に沿ったローカル5GおよびプライベートLTE(Long Term Evolution)システムにより最適な無線ソリューションを提供する。「キャリア品質と同等の高機能(高速、低遅延、同時多数接続)と高いセキュリティを実現するとともに、日立グループのデータセンターから提供するネットワーク管理やカスタマーサポート、解析ダッシュボードなどの遠隔保守/運用サービスをご利用いただくことも可能です。お客さまの人的リソースに負担をかけず、トータルコストの削減に貢献します」(和田氏)。

 なお、日立グループでは、日立 中央研究所の「協創の森」に開設したローカル5G実証環境をはじめ、日立国際電気や日立情報通信エンジニアリング、日立システムズなどが実証実験の場を用意している。

ローカル5Gの導入から運用までを容易化するエッジコンピューティング技術

 日立が提供する5Gプラットフォームの中でも、最大の強みになっているのが「エッジコンピューティング」だ。ここからはその技術面の特徴をさらに深堀りしていこう。核となるのは日立が独自開発した3つの運用技術である。

「エッジコンピューティング」の3つの運用技術 「エッジコンピューティング」の3つの運用技術(クリックで拡大)

 1つ目は「5G通信環境迅速提供技術」。企業や拠点ごとに機器の制御や映像伝送などの各アプリケーションに求める通信品質が異なるため、現場では多様な複数の通信が混在しているのが実情だ。5G通信環境迅速提供技術は、アプリケーションの通信要件と現場のネットワーク環境に応じた最適な通信方式を選択できるようにするもので、信頼性の高い5G通信環境をより短期間で構築することが可能となる。

 日立製作所 研究開発グループ デジタルテクノロジーイノベーションセンタ コネクティビティ研究部 部長の奥野通貴氏は、「アプリケーションのオーダーに柔軟に対応する無線製造ラインの模擬環境を作成し、実証実験を行いました。その結果、背景で監視映像データのトラフィックが流れている環境下でも、機器の制御信号を守るための高信頼通信(パケットロス率0.0001%、遅延50ms)が可能であり、製造ラインを停止せずに稼働を続けられることを確認しました」と説明する。

 2つ目は、アプリケーションの「最適機能配備技術」だ。複雑なアプリケーション要件を満たすためには、通信遅延を削減できリアルタイム性の高いエッジ側の現場での処理と、取りためた大量のデータに対する演算を行えるクラウドでの処理を最適に組み合わせる必要がある。最適機能配備技術は、特に現場で考慮しなければならないスペースや電力、レイアウトなどから生じるコンピューティングリソースや通信リソースの制約を把握し、現場のシステム環境などに応じて最適な機能の配備と追加を容易に実施できるようにする。

 先述のAR組立ナビゲーションを用いた実証実験では、オーダー情報や作業員属性に応じて、適切な処理を1分以内に配備できることを確認した。「日本語から英語への言語の切り替えや、組立て品種の切り替えにもフレキシブルに対応することができます。また、多品種少量生産のため製造ラインの段取り替えを行う際にも、5Gであれば製造ラインと関わる制御装置であるPLC(Programmable Logic Controller)の機能の入れ替えを一気に行うことができます」(奥野氏)。

 そして3つ目となるのが「リアルタイムエッジAI技術」である。エッジデバイス側で動作するディープラーニングに基づく推論モデル(ディープニューラルネットワーク:DNN)の認識精度を維持しつつ、不要な計算部分を削減するための学習を効率的に行う技術で、エッジデバイスに配備する推論モデルを自動的に軽量化する。「消費電力5Wクラスの組み込みデバイス上に実装した推論モデルでも、サーバグレードと同等の認識精度を実現します」(奥野氏)。

リアルタイムエッジAI技術 リアルタイムエッジAI技術(クリックで拡大)

顧客との協創を通じてLumada×5Gの活用事例を拡大

 5Gの導入は始まったばかりでまだ進化の途上にある。例えば、5Gの特徴の1つである低遅延に関する詳細な仕様を移動通信の標準化団体3GPP(Third Generation Partnership Project)が策定中だ。日立はそれらの仕様もいち早くキャッチアップし、Lumada×5Gをコンセプトにプラットフォームやソリューションに組み込んでいく方針である。さらに、世界の主要な通信キャリアや通信機器メーカーなどが推進するオープンネットワーク仕様の「O-RAN(Open Radio Access Network)」にも積極的に関わっていくとしており、ユーザー視点から5Gの使いこなしに重点を置いた活動を加速している。

 これまでの5Gのアプリケーションは、高速通信性能が強調されてきたこともあって、どちらかといえばゲームや映像コンテンツなどコンシューマー向けの用途で活用を広げていくイメージが強かった。そうした中でLumada×5Gは、製造業をはじめとする社会インフラ向けのソリューションとして明確な方向性を打ち出したことで非常に大きな意義を持つ。

 和田氏は「OT(制御技術)とIT(情報技術)の双方に強みを持つ日立が培ったLumadaを5Gで強化したプラットフォームによって、5Gのソリューションとインフラを迅速に提供していきます。今後もお客さまとの協創を通じてLumada×5Gの活用事例をさらに拡大し、ニューノーマル時代におけるあらゆる産業や新しい社会インフラのDXに貢献していきます」と述べている。

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提供:株式会社 日立製作所
アイティメディア営業企画/制作:MONOist 編集部/掲載内容有効期限:2021年3月15日