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» 2021年01月20日 10時00分 公開

日立ハイテクやパナソニックはDXにどう取り組んだか、「稼ぐチカラ」に必要なもの製造業DX

MONOistが2020年12月14〜15日にかけて開催した「MONOist IoT Forum 2020」で、セールスフォース・ドットコム インダストリーズトランスフォーメーション事業本部の鹿内健太郎氏が「未来を自ら生み出すためにすべきこと」をテーマに登壇し、製造業の競争力向上をテーマに講演を行った。本稿ではその様子をレポートする。

[PR/MONOist]
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 今後いかにして競争力を向上させていくべきか――。この問いは、国内製造業にとって大きな命題だといえるだろう。多くの製造業は「効率化」という観点からは既に多くのことに取り組んできているからだ。TQC(Total Quality Control:統合的品質管理)の改善や、リードタイム短縮化に加え、製品設計や製造工程のデジタル化を現在進行形で進めている企業も少なくない。このため、さらに改善を進めようにも、その余地は限られた状況である。

オンライン講演を行うセールスフォース・ドットコム インダストリーズトランスフォーメーション事業本部の鹿内健太郎氏

 こうした中で新たな競争力を実現するためにはどういう発想が必要だろうか。このポイントとして「デジタル技術を活用しさまざまな競争力を稼ぐ力に結び付ける」ことの重要性を訴えているのが、セールスフォース・ドットコム インダストリーズトランスフォーメーション事業本部の鹿内健太郎氏である。本稿では鹿内氏が登壇したオンラインイベント「MONOist IoT Forum 2020」(2020年12月14〜15日、MONOist主催)における講演「未来を自ら生み出すためにすべきこと」の様子をレポートする。

バリューチェーンの川上、川下の強化が重要に

 製造業の“競争力”は、さまざまな要素が複雑に絡んで成り立っている。鹿内氏はその構成要素を、企業の営業利益率やキャッシュフローといった「稼ぐ力」、製品の価格や品質、ブランド力などの「フロントエンド競争力」、生産リードタイムや開発リードタイムといった生産管理能力に関わる「バックエンド競争力」、作業標準化の程度やジャストインタイム方式など「モノづくりの組織能力」の4つに分類する。

 その上で日本の製造業の現状について「日本は米国やドイツと比べると、モノづくりの組織能力はもちろん、バックエンド競争力やフロントエンド競争力などの要素でも優れている企業が多く見られます。だが、稼ぐ力は企業によりまちまちな状態だといえます。今後、国内製造業が競争力を高めるには、同要素の強化に注力する必要があると考えます」(鹿内氏)と指摘した。

製造業の“競争力”にはさまざまな要素がある[クリックして拡大]

 「稼ぐ力」を強化する過程で求められるのが、製造業におけるバリューチェーン各工程の収益力や生産力向上を目的とした高付加価値化である。ただ、グローバル化によって人件費の安い海外に製造工程をアウトソーシングする流れが強まる中で、同工程で現在以上に収益力や生産力を高めるのは難しい。そのため、バリューチェーンの川上に当たる研究開発やブランディング、川下の販売やアフターサービスの高付加価値化が重要になる。

バリューチェーンの川上と川下の高付加価値化が求められる[クリックして拡大]

デジタル化が遅れるアフターサービス部門

 収益力や生産力向上に取り組む上で有力な手段が、デジタル技術の導入である。特に鹿内氏は「他社との差別化のためには、アフターサービス領域のデジタル化に取り組む必要があります」と強調する。製造工程へのMES(Manufacturing Execution System、製造実行システム)導入やFA(Factory Automation)化に取り組む企業は多いが、アフターサービスのデジタル化を進める企業は少ないからだ。

 ただし、鹿内氏は「デジタル化を推進する際には、部署ごとの“閉じた”デジタル化に陥らないように注意すべきです」と指摘する。例えば、アフターサービスのデジタル化の場合、そこで得たデータを、同じく高付加価値化が求められる、バリューチェーンの川上である設計開発部門へとフィードバックする仕組みを用意する。これが競争力のさらなる向上につながるという。

 「調達や製造、生産管理、営業部門など企業内の各部門、そして部材調達先や顧客といった企業外ステークホルダーの情報を社内全体で共有している状態が望ましいと考えます。これによって、生産数が分からないので在庫切れを防ぐために部材を大ロット納入する、営業のフォーキャストが信用できないため大ロット生産を行う、急な納入/納品変更への対応に追われるといった事態が防げるようになります」(鹿内氏)

社内各部門と顧客などの情報を可視化、共有する[クリックして拡大]

 また、自社内の部門や顧客、調達先のデータは単に収集するだけでなく、ダッシュボードなどを活用して可視化する必要がある。ダッシュボード上で経営層が欲しい情報を、適切な粒度とタイミングで参照可能な状態にする。「これが、企業の稼ぐ力の向上に必要となります」と鹿内氏は指摘する。

アフターサービスの情報一元管理で顧客満足度を向上

 このように社内各部門などのデータを可視化、共有して活用する上で役立つサービスやソリューションを多数展開しているのがセールスフォース・ドットコムだ。

 「Customer 360」というコンセプトのもと、営業やマーケティング、アフターサービスなどで収集した多数の顧客データを収集、管理できるCRM(Customer Relationship Management:顧客関係管理)データ基盤や各種ツール、それらを基にした各種ソリューションを提供する。

 同社のサービス、ソリューションは国内大手製造業での導入実績も多い。鹿内氏はその例として、日立ハイテクとパナソニックの事例を紹介した。

 日立ハイテクでは、製品購入からアフターサービスまですべてのバリューチェーンをつなげた「アフターセールス構想」の基盤として、カスタマーサービスプラットフォーム「Service Cloud」を導入、顧客満足度を上げるための取り組みを進めている。Service Cloudによって顧客からの製品事故の報告や、各種インシデント報告、意見などの一元管理を行い、顧客360°ビューを実現した。これに合わせて対応プロセスも再構築して、Service Cloud上の情報を製造部門や品質部門にフィードバックする仕組みを整えたという。

 これまでは、アフターサービスの対応スピードや、製造や設計開発、営業など社内各部門の情報連携に課題を抱えていた。デザイン思考を取り入れ、問題をあぶり出し、その多くが顧客関連情報の分断によって生じていることを明確化した同社は、製品中心から顧客中心へとマインドをシフトし、顧客中心のデータ活用型業務に切り替えることができたという。

アフターサービスのインシデント管理などを、顧客を中心に一元化[クリックして拡大]

 同様にデータ分析基盤を通じて、各部門の業務プロセス改善に取り組んでいるのがパナソニックである。パナソニックでは、オフィスやマーケティング、人事、製造、品質保証など多くの部門において、セールスフォース・ドットコムの分析ツール「Tableau」を活用し、グループ全体の業務改革を進めている。例えば、生産部門における業務改革では、熟練技術者の暗黙知を解析して若手技術者に伝えるために、動線分析や作業分析を行い、それを見える化して伝える取り組みを進めている。また、生産進捗管理やロスの原因分析、品質管理や原因分析などの結果を一元的に見える化し、さらにこれらの情報を他部門と共有することで、部門間の連携を含めた新たな付加価値創出に取り組んでいるという。

 鹿内氏は国内製造業が持つ可能性について「日本は米国や英国、ドイツなど他のG7参加国と比較すると、国民1人当たり名目GDPが伸び悩んでいる状態にあります。しかし、機械や電気、情報通信機器、輸送機械、化学などの製造業各分野に限れば、高付加価値化を順調に達成している領域も存在します。製造業は他の先進国に対して優位に競争できる有力な産業分野であり、これらの強さをデジタル技術により広げていくことでさらなる競争力につなげられていると考えています。セールスフォース・ドットコムではこれらの動きをデジタル技術でサポートしていきます」と語っている。

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提供:株式会社セールスフォース・ドットコム
アイティメディア営業企画/制作:MONOist 編集部/掲載内容有効期限:2021年2月19日