特集:IoTがもたらす製造業の革新〜進化する製品、サービス、工場のかたち〜

DXでアシックスとカシオ計算機が作るスポーツの「コトづくり」とは製造業がサービス業となる日(1/2 ページ)

カシオ計算機とアシックスは2021年1月27日、ランナー向けパーソナルコーチングサービス「Runmetrix(ランメトリックス)」の提供開始と併せ、両社でデジタル技術を活用したスポーツテックにおける価値共創事業を本格的に展開することを発表した。

» 2021年01月28日 09時00分 公開
[三島一孝MONOist]

 カシオ計算機とアシックスは2021年1月27日、ランナー向けパーソナルコーチングサービス「Runmetrix(ランメトリックス)」の提供開始と併せ、両社でデジタル技術を活用したスポーツテックにおける価値共創事業を本格的に展開することを発表した。両社では2021年中に合弁会社を設立し、ランニング指導やウオーキング指導などのサービスを展開する。

photo 協業でスポーツ&ウェルネスソサエティーの実現を目指すアシックス 代表取締役社長 COOの廣田康人氏(中央左)とカシオ計算機 代表取締役 社長の樫尾和宏氏(中央右)(クリックで拡大)出典:カシオ計算機

アシックスのスポーツへの知見とカシオのセンシング技術を組み合わせ

 両社の協業が本格化したのは2019年頃だという。もともとカシオ計算機では2012年頃から、センシング技術やセンサー情報を組み合わせるセンサーフュージョン技術などを生かした新規ビジネス立ち上げを検討していた。その中でランニングデータを取得しランニングの質を改善する仕組みを考えたという。独自でセンシングデバイスを開発し実業団や大学などでの実証を推進してきた。

 一方で、アシックスは「デジタルドリブンカンパニー」を掲げ、ランニングエコシステムの構築に取り組む方向性を示していた。そこで、「コト化」ビジネスの構築を目指し、ランニングに関する知見をベースとした新たなサービスを展開できないかを検討していたという。

photo アシックスが描くランニングエコシステム(クリックで拡大)出典:アシックス

 これらが出合う形で協業の枠組み作りが進み、ランナー向けパーソナルコーチングサービス「Runmetrix」を共創第1弾製品として2021年3月4日にリリースする。カシオ計算機 代表取締役社長の樫尾和宏氏は協業について「カシオ計算機は用途に特化した計測や入力機器の強みを持ち、センシング技術やウェアラブル機器の開発力で特徴を持つ。一方でアシックスはスポーツ科学への知見を持ち、競争によりサービスと一体化した顧客体験を作ることができる」と意義について語っている。一方で、アシックス 代表取締役社長 COOの廣田康人氏は「協業の意義は3つある。1つはカシオ計算機の持つ優れたウェアラブルとセンシング技術である。2つ目が協業の枠組みを幅広い健康市場へ展開するというビジョンが一致したことだ。そして3つ目が国内1位同士の協業となり、将来的に世界に打って出ることができるという点だ」と述べている。

photo 協業の枠組み(クリックで拡大)出典:カシオ計算機
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