Mipoxと名古屋大学は、パワー半導体の生産性を大幅に高める欠陥特定システムを共同開発した。SiCなどを材料とする半導体基板中の結晶欠落の種類や位置、キラー欠陥を非破壊で自動的に検出する。
Mipoxは2021年1月14日、名古屋大学との共同研究により、パワー半導体の生産性を大幅に高める欠陥特定システムを開発したと発表した。同社の結晶転位高速観察装置「XS-1 Sirius」への実装を予定しており、化合物半導体ウエハー製造技術のさらなる向上を目指す。
次世代の半導体基板材料の1つとして期待されているSiC(炭化ケイ素)には、結晶欠落(転位)が含まれる。特に、性能や信頼性、デバイスの歩留まりの低下をもたらす「キラー欠陥」を含むことから、価格が高止まりし、普及の妨げになっている。
共同研究では、SiCなどを材料とする半導体基板に含まれる多くの転位を「複屈折イメージング」で可視化し、転位のゆがみ分布をとらえた。さらに、シミュレーションとML(機械学習)により、転位の種類や位置を非破壊で自動的に検出するシステムを開発。また、キラー欠陥を特定するシステムも開発した。
これらのシステムは、半導体基板やパワーデバイスの大幅な生産性向上に寄与するもので、今後、パワー半導体製造において標準装備となることが期待される。
なお、今回の共同研究「半導体製造の生産性を向上させるキラー欠陥自動検査システムの開発」は、新エネルギー・産業技術総合開発機構の「官民による若手研究者発掘支援事業」に採択されている。
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