日本電産が三菱重工工作機械を買収、「工作機械事業をグローバルの主役に」製造マネジメントニュース

日本電産は2021年2月5日、三菱重工業(以下、三菱重工)グループの工作機械を手掛ける三菱重工工作機械を買収したと発表した。

» 2021年02月08日 07時30分 公開
[三島一孝MONOist]

 日本電産は2021年2月5日、三菱重工業(以下、三菱重工)グループで工作機械を手掛ける三菱重工工作機械を買収したと発表した。三菱重工グループが保有する株式の全持ち分と、海外子会社9社の工作機械事業の譲渡を受ける。譲渡完了は2021年5月ごろを予定する。

 三菱重工工作機械は、1936年に広島で旋盤生産から工作機械事業を開始した80年の歴史を持つ企業である。日本初のNCホブ盤や量産部品用トランスファーマシン、世界初の常温ウェーハ接合装置、世界最大級の門形加工機、主軸内部冷却タイプ高速高精度金型加工機の開発など、日本の工作機械の技術革新をリードしてきた。資本金は30億円で従業員数は2020年4月時点で1400人だという。

 現在は、歯車機械、大型門形機などのトータルソリューション、3Dプリンタなどの微細加工ソリューション、精密工具の4事業を展開する。中でも主力の歯車機械は世界3強の一角を占め、ホブ盤、ギヤシェーパ、シェービング盤、ギヤスカイビング盤、歯車研削盤などの豊富な加工設備のラインアップと内歯外歯を問わないギヤ加工技術を強みとしている。特に、トランスミッションの多段化や高機能化など、自動車メーカーやティア1サプライヤーなど自動車業界で評価を受けてきた。

 一方で、日本電産では、同社グループの日本電産シンポで減速機やプレス機の製造、販売、サービス事業を展開しており、この領域でのシナジー効果が見込めるとしている。日本電産では、株式譲渡完了後は三菱重工工作機械を日本電産シンポに組み込み、工作機械事業を日本電産シンポの第3の柱としていく方針だ。

 加えて、三菱重工工作機械の技術を将来的に内製化を検討する製品分野に生かしていく方針を示す。特に重視しているのが、日本電産が現在注力しているモーターとインバーター、減速機を三位一体としたEV用トラクションユニット「E-Axle」の開発および製造の強化である。今後のさらなる販売拡大に対応するために、中核部品の1つであるギヤの強化が必要不可欠となっており、ギヤ製造で知見を持つ三菱重工工作機械の技術力を活用し、高度化に取り組むとしている。

 日本電産では「三菱重工工作機械を軸として工作機械事業のさらなる拡大を視野に入れており、必要な投資を行うことで同事業をグローバルの主役にすることが可能だと考えている」とコメントしている。

≫「製造マネジメントニュース」のバックナンバー

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.