特集:IoTがもたらす製造業の革新〜進化する製品、サービス、工場のかたち〜
連載
» 2021年02月15日 12時30分 公開

古い機械や人手作業、データ化されていない情報をどうスマート化すべきかいまさら聞けないスマートファクトリー(5)(1/4 ページ)

成果が出ないスマートファクトリーの課題を掘り下げ、より多くの製造業が成果を得られるようにするために、考え方を整理し分かりやすく紹介する本連載。前回から製造現場でつまずくポイントとその対策についてお伝えしていますが、第5回では、「データ収集」についてのアプローチと、データ化が難しい部分の対策について解説していきます。

[三島一孝,MONOist]

 スマートファクトリー化は製造業にとって大きな関心事であるにもかかわらず、なかなか成果が出ないという課題を抱えています。本連載では、スマートファクトリーでなかなか成果が出ないために活動を縮小する動きに危機感を持ち、より多くの製造業が成果を得られるように、考え方を整理し分かりやすく紹介します。

 第1回から第3回までは、スマートファクトリー化は広範な領域を含むためにそれぞれの部門や立場で求めるものが異なるということを説明してきました。第4回からは、製造現場の中で起こる見落とされがちなポイントや難しい点について紹介しています。第5回となる今回は、「データ収集」で求められるアプローチと、古い機械や人手作業など、データ化が難しい部分への対策について現在よく取られている方策について解説していきます。

本連載の趣旨

 本連載は「いまさら聞けないスマートファクトリー」とし、スマートファクトリーで成果がなかなか出ない要因を解き明かし、少しでも多くの製造業がスマートファクトリー化で成果が出せるように、考え方や情報を整理してお伝えする場としたいと考えています。単純に解説するだけでは退屈ですので、架空のメーカー担当者を用意し、具体的なエピソードを通じて、ご紹介します。

架空企業の背景

 従業員300人規模の部品メーカー「グーチョキパーツ」の生産技術部長である矢面辰二郎氏はある日、社長から「第4次産業革命を進める」と指示され途方に暮れます。そこで、第4次産業革命研究家の印出鳥代氏に話を聞きに伺い、さまざまな課題をクリアしていきます。


本連載の登場人物

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矢面 辰二郎(やおもて たつじろう)

自動車部品や機械用部品を製造する部品メーカー「グーチョキパーツ」の生産技術部長兼IoTビジネス推進室室長。ある日社長から「君、うちも第4次産業革命をやらんといかん」と言われたことから、どっぷりのめり込む。最近閉塞感にさいなまれている。


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印出 鳥代(いんだす とりよ)

ドイツのインダストリー4.0などを中心に第4次産業革命をさまざまな面で研究するドイツ出身の研究者。インダストリー4.0などを中心に製造業のデジタル化についてのさまざまな疑問に答えてくれる。サバサバした性格。


*編集部注:本記事はフィクションです。実在の人物団体などとは一切関係ありません。

前回のあらすじ

 さて、前回のおさらいです。前回からは製造現場でスマートファクトリー化を進める中で見落とされがちな点について紹介していますが、第4回ではデータを集めただけではすぐに活用できるわけではなく、その前のデータ整理や準備に負担がかかり、そこが見落とされがちになっていることを紹介しました。

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「データを集める」と「データを活用する」の間には、「データを(使えるようにするために)整理する」という作業が必要なのよ。それを見逃しているんじゃない?


 IoTやスマートファクトリー化では、データを収集し、分析し、それを活用するというサイクルがよく説明されていますが、データを集めればすぐにそれが活用できるという勘違いが生まれています。ただ、集めた生データがそのまま使えるケースは少なく、データを「使えるようにする」作業が必要になります。具体的には「データクレンジング」と呼ばれる作業です。これは、得られたデータの中から、重複や誤記、欠損を修正し、分析が行えるような形に変換していく作業となります。

 この「データ準備」や「データ整理」の負荷を作業に織り込んでいないために「データを集めればすぐに成果が出ると思っていたのに、期待と異なる」と「がっかり感」につながり、スマートファクトリー化への意欲が下がるということでした。


 さて、今回はこのデータ整理の負荷を低減するためにも必要な「意味あるデータの“取得”」の障壁となる工場内のさまざまな事象の解決アプローチについていくつか紹介したいと思います。

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