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» 2021年02月16日 06時00分 公開

駆動用バッテリーのリユースへ中古車事業者も参入、リーフの電池は鉄道設備に電気自動車

電気自動車(EV)などの駆動用リチウムイオンバッテリーのリユースに向けた取り組みが活発化してきた。日産自動車と住友商事の共同出資会社であるフォーアールエナジーは、鉄道の踏切保安装置の電源に日産「リーフ」から取り出した再生バッテリーを試験導入する。また、中古車のインターネットオークションを手掛けるオークネットは投光器やライトなどLED製品を手掛けるMIRAI-LABOとともに、使用済みの駆動用バッテリーの再生、流通に取り組む。

[齊藤由希,MONOist]

 電気自動車(EV)などの駆動用リチウムイオンバッテリーのリユースに向けた取り組みが活発化してきた。日産自動車と住友商事の共同出資会社であるフォーアールエナジーは、鉄道の踏切保安装置の電源に日産「リーフ」から取り出した再生バッテリーを試験導入する。また、中古車のインターネットオークションを手掛けるオークネットは投光器やライトなどLED製品を手掛けるMIRAI-LABOとともに、使用済みの駆動用バッテリーの再生、流通に取り組む。

 日本でEVの販売が本格化したのは2010年ごろ。それから10年以上が経過し、今後は駆動用バッテリーの載せ替えや車両の買い替えによって使用済みの駆動用バッテリーが増えていく。自動車メーカーだけでなく中古車流通事業者も参加し、再生バッテリーの多様な用途を模索することが不可欠となる。

残存価値が下がりやすいEVの適正評価にも

 オークネットはグループ会社のAISを通じて、年間100万台の中古車検査とグレーディング(残存価値の評価)を行う。自動車だけでなく、中古のスマートフォンやPCについても検査やデータ消去、グレーディングを実施している。こうした経験を基に中古EVのバッテリーの検査やグレーディング技術を確立することにより、残存価値がエンジン車よりも下落しやすいといわれるEVの適正な評価と価格形成につなげる。

 また、オークネットは使用済みの駆動用バッテリーの再製品化に取り組むMIRAI-LABOと協力することにより、太陽光発電など再生可能エネルギー向けの分散型蓄電システムの普及に取り組む。MIRAI-LABOではさまざまな道路インフラの電源として使用済みの駆動用バッテリーを活用することを目指している。

中古車となったEVの駆動用バッテリーを適正に評価し、適した用途で再利用することを目指す(左)。道路のインフラの電源や分散型蓄電システムとして使用済みバッテリーを活用する(右)(クリックして拡大) 出典:オークネット

日産傘下のフォーアールエナジーは鉄道に進出

 フォーアールエナジーは、JR東日本とともに鉄道設備での再生バッテリーの活用に取り組む。フォーアールエナジーでは、2018年3月にバッテリー再生工場を福島県浪江町に設立。電線や電源なしにオフグリッドで点灯することができる外灯の設置に取り組んできた他、電池の転用に関する評価規格「UL1974」の認証を世界で初めて受けた。

 JR東日本では、メンテナンス作業などで一時的に停電しているときにも踏切が動作を継続できるよう、全ての踏切保安装置にバッテリーを設置している。従来は鉛蓄電池を使用してきたが、フォーアールエナジーとともに踏切保安装置のバッテリーをリチウムイオン電池である再生バッテリーに置き換える。バッテリーの充電時間を短縮する他、遠隔で劣化の予兆を把握するなどメンテナンス性を高める。耐用期間も鉛蓄電池より長くなる。新品ではなく再生バッテリーを採用することにより、バッテリーの材料や製造時のエネルギーを効率的に使用できるようにする。

踏切保安設備に使用するバッテリーの比較(左)。踏切がバッテリーで動作する場合のイメージ(右)(クリックして拡大) 出典:フォーアールエナジー

 2021年4月以降、JRの常磐線や水戸線の踏切10カ所程度に試験導入し、実設備での効果を見極めた上でさらなる導入拡大を目指す。また、踏切保安装置以外にも、無線通信設備や駅の設備などの電源としても導入することを検討する。

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