GSを拠点とするロボット配送の公道実証を開始、複数店舗の商品配送は「国内初」サービスロボット

ZMPは2021年2月8日〜26日にかけて、ENEOSホールディングスやエニキャリと共同で、飲食店など複数店舗の商品を宅配ロボット「DeliRo(デリロ)」で配送する実証実験を公道で実施中。ロボットを活用して複数店舗の商品を配送するのは「国内初」(ZMP)の試みという。

» 2021年02月16日 14時00分 公開
[池谷翼MONOist]

 ZMPは2021年2月8日〜26日にかけて、ENEOSホールディングス(以下、ENEOS)やエニキャリと共同で、飲食店など複数店舗の商品を宅配ロボット「DeliRo(デリロ)」で配送する実証実験を公道で実施している。実験区域は東京都中央区の佃・月島エリア。ロボットを活用して複数店舗の商品を配送するのは「国内初」(ZMP)の試み。

警察庁から“歩行者”として認定

 ZMPとENEOSは2020年12月、デリロなど自動配送ロボットの活用を想定したデリバリーインフラ構築に向けた協業契約を締結している。同時にENEOSは料理の宅配サービスを展開するエニキャリとも契約締結しており、今回の実証実験は3社による協業の取り組みを現実化した形となる。

「Dr.Drive月島SS」のデリロ*出典:ZMP[クリックして拡大]

 実証実験ではデリロによる公道走行の可能性の他、ENEOSとエニキャリが共同で開発した宅配プラットフォームとデリロの連携、宅配サービスの配送時間や採算性などを検証する。

 なお、ZMP ロボライフ事業部長 龍健太郎氏によると「デリロは2021年1月に、警察庁から『原動機付自転車(原付)』ではなく『歩行者』として認定された。原付の場合は道路運送車両法などで公道走行にさまざまな制限が加えられる。しかし、ZMPのロボットは公道走行の実績が豊富にあるということで、公道での実証実験が行いやすい『歩行者』として認めてもらえることになった」という。ただし、実験中は当面、走行中のデリロに並走する形でZMPのオペレーターが近接監視を行う。

ガソリンスタンドを運送拠点に

 ENEOSが展開するガソリンスタンド「Dr.Drive月島SS(サービスステーション)」(以下、月島SS)をデリロの充電スポットや、荷物の集荷、配送用拠点として運用する。配送対象となるのは佃エリアにあるリバーポイントタワーなどマンション3棟。配送に使用するデリロは2台。デリロは1時間の充電で約4時間駆動する。

 なお、佃エリアではZMPが移動支援ロボット「RakuRo(ラクロ)」を用いた1人乗り自動運転移動サービスを先行して実用化している。

実証実験の概要*出典:ZMP[クリックして拡大]

 利用者は磯丸水産や松屋などの飲食店の他、ローソンやミニストップなどコンビニを含めて合計10社の商品を、専用のWebサイトから注文できる。注文を受け付けると、エニキャリが各企業の店舗から該当商品を集荷して、月島SSのデリロに積載する。

 配送先にデリロが到着した後、利用者はスマートフォンに表示したQRコードをデリロの読み取り装置にかざすことで、デリロの配送用ボックスの扉を解錠して商品を受け取れる。今回使用するデリロのボックス内には4つの仕切りがあり、1台当たり一度に最大4件までの注文を配送可能。配送時間は15分程度である。

サービス利用の流れ*出典:ZMP[クリックして拡大]

 2022年ごろをめどに、佃・月島エリアでのサービス実用化を見込む。2021年度中に近接監視から遠隔監視に移行することで運用可能なデリロの台数を増やすとともに、現状では佃・月島エリアの一部にとどまる配送可能地域をエリア全域に拡大していく予定。2023年以降は佃・月島エリア外にビジネス展開を広げていく計画もあるという。ENEOSが展開するガソリンスタンドは全国で約1万3000店舗あるため、サービスをスケールしやすい。

 龍氏は無人デリバリーサービスの展望に触れて「コロナ禍によって無人デリバリーのニーズが高まってきている。また、2020年に開催された『未来都市会議』の中で安倍首相がロボット配送サービスに言及したことなども、事業の追い風になっていると感じる」と述べた。

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