ホンダが社長交代を正式発表、「エンジンが全くなくなるとは思っていない」製造マネジメントニュース

ホンダは2021年2月19日に開いた取締役会において、専務取締役の三部敏宏氏を、2021年4月1日付で代表取締役社長とする人事を決定した。三部氏はエンジン開発を中心に四輪車の研究開発に携わってきた。2019年に本田技術研究所の代表取締役社長に就任。2020年からホンダの専務取締役を務めている。

» 2021年02月22日 08時30分 公開
[齊藤由希MONOist]

 ホンダは2021年2月19日に開いた取締役会において、専務取締役の三部敏宏氏を、2021年4月1日付で代表取締役社長とする人事を決定した。三部氏はエンジン開発を中心に四輪車の研究開発に携わってきた。2019年に本田技術研究所の代表取締役社長に就任。2020年からホンダの専務取締役を務めている。

 代表取締役社長である八郷隆弘氏は4月から取締役となり、6月に開催予定の定時株主総会を経て、退任する予定だ。

写真左からホンダの三部敏宏氏と八郷隆弘氏(クリックして拡大) 出典:ホンダ

 八郷氏は2015年に社長に就任。カーボンフリーに向けた目標を含む「2030年ビジョン」を策定した他、狭山工場や欧州での生産終了の決定や、四輪事業を中心とした商品開発体制の適正化など体質強化を進めた。「既存事業の盤石化に向けては、打つべき手が出そろい、施策を確実に刈り取る段階に来た。新しい時代に向けてホンダが走り出す準備ができたので、新たなリーダーに託して新鮮な気持ちでスタートしてほしい」(八郷氏)とし、三部氏にバトンタッチする。

 三部氏は「将来の成長に向けた仕込みを加速させ、実行に移す。これまでに築かれた土台の上に、100年に1度の変革期に耐え得る建物を建てていく。その中でこれまで仕込んできたものをお客さまにとって魅力のあるモノやコトとして形にしていく。それが、ホンダが存在を期待されるということであり、お客さまにワクワクしていただけて喜ばれる商品やサービスの提供によって実現していきたい」と抱負を述べた。

 電動化の方針については、「難しさを十分に理解している。ただEV(電気自動車)を作ればいいという簡単なものではない。調達、生産、販売まで同時に変わって初めて事業性が成立する。充電インフラの普及タイミングも無視できないし、台数を増やしていくことも必要だ。エンジンの在り方については、全てのクルマがエンジンを使うということはないが、全くなくなるとも思っていない。バイオ燃料などとセットであればエンジンもカーボンニュートラルを実現できる可能性はある。エンジンがなくなるかどうか、答えを出すのはまだ早いと考えているが、電動化を否定するものではない」(三部氏)と語った。

 三部氏はホンダらしさに関する質問に対し「商品だけではなく、社会課題や新しい価値、強い競合に立ち向かう姿勢がホンダらしさだ。その時々によって立ち向かう対象は異なるが、その過程で出てきた商品にホンダらしさが現れる。今はカーボンニュートラルや交通事故死者ゼロを早期に実現することが、ホンダの使命であり、ホンダらしさにつながるのではないか」と語った。

 目指すべき姿やありたい姿を早期に実現できるのであれば、アライアンスや社外の知見を使って実現を加速していくとも語った。「全部自前だからこそホンダらしさだという時代もあった。いまそれを続けようとすると、時間がかかる。今は時間をどう使うかが重要だ」(三部氏)。

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