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» 2021年03月11日 10時00分 公開

ソニーが伝授する新規事業の“勝ち方”、R&Dから始めるビジネス創出Sony Startup Acceleration Program

あらゆる大手企業にとってイノベーション創出は大きなテーマだ。しかし、従来、国内大手企業が起こしてきた革新は、体系的な手法を用いて生み出されたものではない場合も多い。「組織としていかにイノベーションを生み出し、事業化につなげるのか」が多くの企業にとっての共通課題となっている。こうした課題を解決するために「ソニーのノウハウ」を活用するプログラムがある。

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 イノベーションや新規事業の創出を経営計画の中で目標として掲げる企業は多い。その過程で、自社の技術力を生かした事業創出を目指して、R&D(研究開発)の担当者を中核としたプロジェクトが立ち上がることもあるだろう。しかし、実際に新規事業の開発を進めようとすると、いくつもの障壁に直面することになる。

 R&D部門でいくら優れた技術やシーズを抱えていたとしても、それがそのままビジネス化できるわけではない。製造業にとって製品やそれを支える技術は、重要な構成要素ではあるものの、事業を成功に導くためにはそれ以外にも数多くの要素が存在するからだ。この「シーズ」と「ビジネス」の間をどう結ぶのかは多くの企業にとっての課題となっている。

 特に日本企業においては、“闇研”などを通じて「イノベーションは個人のひらめきや努力によって生み出されるもの」という認識が長く定着しており、組織として「体系的にイノベーションを生み出すこと」への研究や教育がそれほど熱心に行われてこなかった。そのため「新規事業の作り方」のノウハウを持った人材が圧倒的に少ないという状況が生まれている。

 こうした課題を解決するためのサポートを提供し、スピーディーな新規事業の立ち上げを実現するサービスがある。革新的な新規製品やサービスを数多く世に送り出してきたソニーが、自社の経験を基に開発した「Sony Startup Acceleration Program」(SSAP)である。

ソニーが提供するオープンイノベーション推進プログラム「SSAP」*出典:ソニー[クリックして拡大]

ソニーのプロフェッショナルたちが伴走し、総合的に事業開発支援

 SSAPは、新規事業立ち上げの初期段階における事業創出と組織開発、人材育成支援に特化した、オープンイノベーション推進プログラムだ。ベースとなっているのは、2014年4月にスタートしたソニーの社内起業向けプログラムである。ソニーといえばポータブルオーディオプレーヤーの「ウォークマン」やCD(コンパクトディスク)、裏面照射型CMOSイメージセンサー、ゲーム事業のPlayStationなど、数多くのイノベーションを生み出してきた企業である。しかし、常に順風満帆の歩みだったわけではない。イノベーション創出に苦しみ、業績が低迷していた時期もある。その過程で生み出されたのが、社内起業向けプログラムというわけだ。

 同プログラムは社内で一定の成果を生み出した。例えば、ソニーの中から新たに生み出され事業化された製品としてはバンド部分にスマートウォッチの機能を組み込んだ「wena」や、ロボットトイプラットフォームの「toio」、ウェアラブルサーモデバイス「REON POCKET」などがある。

「wena」もSSAPがなければ生まれていない*出典:ソニー[クリックして拡大]

 SSAPはこの取り組みを社外に広げたものだ。ソニーと同じように新規事業立ち上げで悩む企業向けに、事業のアイデア出しから新規事業の組織運営、販売、アライアンスの構築、事業拡大に至るまで、総合的に支援するサービスとして整備し、2018年10月から提供を開始した。

 特徴の1つが、ソニーグループの人材で構成された専門の新規事業立ち上げチームが事業育成支援を担当する点だ。ソニーのヒット製品やサービスの事業開発に携わった人材が、アクセラレーター(加速支援者)として、顧客の事業創出のために“伴走”支援する。製品やプロトタイプの設計をソニーのエンジニアがサポートする他、ソニーの製品やサービスのデザイン全般を担当するクリエイティブセンターのデザイナーが製品のデザイン性やUX(ユーザーエクスペリエンス)等についてアドバイスを行う。社内外で見せるための動画やプレゼンテーションの作成に関するノウハウも提供する。

ソニーの小田島伸至氏

 SSAPが提供する価値について、ソニー Startup Acceleration部門 副部門長の小田島伸至氏は「事業創出の方法を詳しく知らないR&D部門の人材に一方的に新規事業立ち上げのミッションを与えるのは、泳げない人を海に投げ込むようなものです。SSAPの最大の目的は、泳げない人に体系的に泳ぎ方を教えて、意欲のある人がスムーズに世の中に出ていけるようにすること。新規事業担当者の思いをかなえることにあります」と語る。

SSAPを通じて、新規事業創出が実現できる(画像は「toio」)*出典:ソニー[クリックして拡大]

事業創出の講座から、アイデア検証や事業拡大のサポートも提供

 SSAPの主要サービスは大きく分けて、「Ideation」「Incubation」「Marketing」「Expansion」の4パートにカテゴライズされる。

 まず、SSAPでは、事業開発の何から進めるべきか分からない顧客向けに、事業構築力の向上を目的とした各種トレーニングのカリキュラムとツールを提供している。カリキュラムはソニーがこれまでに培ってきた事業開発のナレッジやノウハウを体系化したもので、これにSSAPの新規事業開発を通じて得た最新のリアルな知見を加えてアップデートを重ねている。この他、事業アイデアがない企業には、社内オーディションの企画や運営を通じた事業のアイデア作りからも支援する(Ideation)。

 そのアイデアを基に、事業化に向けたアイデア検証と準備を専任のプロデューサーとエンジニア、デザイナーが三位一体でサポートする。(Incubation)実際に開発した製品は、ソニーが運営するクラウドファンディングサイト「First Flight」で公開して市場の反応を試すこともできる。この他、SSAPで開拓した100以上を超える販路を紹介するなど、テストマーケティングや販売も行うことも可能(Marketing)。その後、新規事業のさらなる拡大に向け、協業や資金調達、戦略的提携に関するサポートも提供している(Expansion)。

SSAPが提供するサービス概要*出典:ソニー[クリックして拡大]

 これまでの実績*1)はサービスローンチ(事業化)に至った案件が17件で、エレクトロニクス以外でも、ヘルスケアや教育、ドローン、ファッション、玩具、建材、不動産、オフィス向けサービスと幅広い事業を創出している。社外へのサービス提供実績*2)は85件で、支援先の産業は、医療機器、ヘルスケア、医薬品、素材・繊維、飲料、農業、銀行、電気機器、機械、建材、化学、食品など、13業界にのぼる。

*1)2014年4月〜2021年2月末時点

*2)2018年10月〜2021年2月末時点

塩漬けのアイデアもスピーディーに事業化

 SSAPはスピード感を伴った事業立ち上げを重視する。大手企業の多くは新規事業担当者に対して数年以内に一定の成果を出すように求める。このため事業創出の取り組みは基本的に“短期決戦”の姿勢で挑む必要がある。小田島氏は「SSAPの支援を受けると、2〜3年塩漬けになっていたアイデアでも、筋のいいものならば1年でマーケットインが可能です」と語る。エンジニアのような専門人材を素早く事業家に仕立てるノウハウを持っているからこそできることだ。

 実際の支援期間やゴール設定は、アイデアの事業性や立ち上げの進捗状況、予算などを見極めつつ、SSAPの担当者と期間や内容を相談して決める。これまでの実績では、最短では3カ月、最長では2年間じっくり支援した案件があったという。1日だけの研修も行っている。

「技術の用途探索支援のみ」など一部サービスだけ受けることも可能

 R&D部門から寄せられる相談には「コア技術はあるが、それがどんな社会課題の解決に役立つのか分からない」というものも多いという。そうした顧客に対してSSAPでは、技術の新たな活用方法を検討する「用途探索支援」のサービスを提供している。「技術の可能性を探ると同時に、技術を理解して、社会課題解決のために生かしてくれる企業を迅速に見つけることも重要です。技術はあるが活用の仕方が分からない人と、アイデアはあるが技術を持っていない人をつなぐ。これが技術を起点にした事業開発の1つの手法です」(小田島氏)。

 SSAPはさまざまなサービスを含むオールインクルーシブ型の支援プログラムで、顧客の要望に合わせてサービスを切り分けて提供する。例えば、用途探索支援や、事業開発や商品企画の研修に絞って利用することも可能だ。反対に組織開発、アイデア創出や事業のスケールまで広範な範囲のサポートを依頼することもできる。

骨伝導技術から子ども向け歯ブラシを生み出した「Possi」の事例

 実際にSSAPを通じて新規事業の創出に導いた事例を見てみよう。京セラが開発した子ども向けの仕上げ磨き専用歯ブラシ「Possi(ポッシ)」だ。圧電セラミック素子の働きによる骨伝導技術を利用してブラシが歯に当たっている間だけ、本人に音楽が聞こえるという仕組みを作り、子どもが嫌がる歯磨きを楽しい時間に変えるという新しい価値を提案している。SSAPにおける社外向け案件としては第1号に当たる。

圧電セラミック素子のコア技術をベースに、京セラがSSAPを通じて開発した「Possi」*出典:ソニー[クリックして拡大]

 京セラがSSAPに相談を持ち掛けた当初、同社は圧電セラミック素子による振動デバイスの用途探索を実施している段階だった。そこでSSAPでは、京セラ担当者を含めたアイデアソンを実施し、実現可能な製品のアイデアを検討した。その中で「子ども向け歯ブラシ」というアイデアが提案されたため、実際に製品化した際のビジネスモデルや顧客層に関する仮説を立てた上で、仮説検証のためのヒアリング、それに基づいた仮説の修正というフィードバックサイクルを高速で回す。製品化して価格などを決定した後も、消費者へのヒアリングと修正を繰り返し続けたという。

 仮説検証の過程では京セラのエンジニア自身がヒアリングを行うため、質問の仕方などのレクチャーを行った。製品デザインやプロモーションビデオに使用する楽曲作成に当たっては、ソニーグループに在籍する多方面のプロフェッショナルが支援した。また、Possiの開発には歯ブラシの大手メーカーであるライオンも参加しているが、これは事業アイデアが歯ブラシに絞られた段階で「自前の人材だけでなく、歯ブラシを製造している専門家を入れたほうがよい」というSSAPのアドバイスを受けたことによるものである。

 顧客層や価格、生産体制の確保などが確認できたところで、テストマーケティングのために2019年7月からSSAPのFirst Flightでクラウドファンディングを実施し成功した。2021年5月末にはECサイトで一般販売を行う予定だ。

 Possiのプロジェクトをけん引してきた京セラのエンジニアは事業を推進する責任者に就任した。さらにSSAPのカリキュラムを通じて、技術だけでなく事業開発に通じた人材が京セラ内で順調に育っているという。また、Possi開発に携わったのとは別のチームもSSAPの支援を受けながら事業開発を行っている。2020年11月には京セラが保有する技術「薄型軽量太陽電池モジュール」をテーマに、SSAP主催で技術の新たな用途を発掘する「技術シーズアイデアコンテスト」を開催し、用途アイデアを公募した。

SSAPはR&Dと親和性の高いサービス

 R&D部門発で新規事業創出を実現するポイントについて小田島氏は以下のように語る。

 「そもそもR&D部門は事業機能を持ちにくい組織ですから、その分、『何のために技術を開発しているのか』という事業的な視点を持つことが重要でしょう。その手助けができるのがSSAPであり、R&D部門ととても親和性の高いサービスだと考えています。SDGsなど社会的なテーマを意識しながら、共に社会課題の解決につなげたいと思います」(小田島氏)

 今後は、幅広い業界の企業を支援しているなかで培われたネットワークを生かし、パートナー企業同士の密接なコラボレーションを実現する「企業間結合」を推進したい考えだ。また、体系的な学びを効率よく提供することで、事業開発を実践できる人材を育成していきたいとしている。

 コア技術はあるものの、どのように社会課題の解決に適用できるか悩んでいたり、自社内だけで事業化への道筋が見えないと頭を抱えていたりする企業にとっては、SSAPは大きな助けになるだろう。特に用途探索トレーニングは、事業開発/成長に必要なスキルやマインドセットをR&Dに携わる社員全員を対象に伝える内容となっており、人気が高い。また、SSAPでは支援メニューの価格やR&Dへの導入事例を紹介するオンライン説明会も定期的に開催しているので、興味がある企業は参加することをお勧めする。

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提供:ソニー株式会社
アイティメディア営業企画/制作:MONOist 編集部/掲載内容有効期限:2021年4月9日

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