1枚のFPGAボードで3万変数の組み合わせ最適化問題を1秒以内に解く技術を開発エッジコンピューティング

Amoeba Energyとベクトロジーは、高密度、高汎用性アルゴリズム「AmoebaSAT」とFPGA処理技術を組み合わせた「アメーバコンピュータ」を開発した。1枚のFPGAボードで最大3万変数の組み合わせ最適化問題を1秒以内に解ける。

» 2021年03月23日 08時00分 公開
[MONOist]

 Amoeba Energyとベクトロジーは2021年3月4日、高密度で汎用性の高いアルゴリズム「AmoebaSAT」とFPGAコンピューティング技術を組み合わせ、新方式の「アメーバコンピュータ」を開発したと発表した。1枚のFPGAボードで、最大3万変数の組み合わせ最適化問題を1秒以内に解ける。

 アメーバコンピュータは、単細胞アメーバ生物「粘菌」が環境に応じて最適に変形する仕組みを参考に、Amoeba Energyと北海道大学が2020年11月に開発した「電子アメーバ」を基にしている。電子アメーバがアナログ回路にアメーバ素子を配置しているのに対し、アメーバコンピュータはデジタル回路を利用する。

 Amoeba Energyが独自開発したアルゴリズム「AmoebaSAT」を使い、ベクトロジーのFPGAコンピューティング技術と、PALTEK製FPGAボード「M-KUBOS」を用いることで、実用的規模の充足可能性問題(SAT)を解く。各変数の重み付けを任意に設定可能で、制約条件や初期状態を入力したファイルを指定するだけで、問題の解を探索できる。さらに、制約条件を回路として表現するためのルールを削減し、回路資源を活用することで、アメーバ素子の集積密度を上げている。

 モノの自動搬送システムやスケジュールの最適化といったモノづくりやモノの流れを、エッジデバイス上で小型かつ低消費電力で最適化できる。既に、工場や病院など複数のパートナーと共同研究開発を進めている。

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