トップ50に日本企業は資生堂と任天堂の2社だけ、商標の国際登録知財ニュース(1/2 ページ)

世界知的所有権機関(WIPO)が2021年3月2日(現地時間)に発表した2020年の国際商標制度の利用状況によると、トップ10に日本企業から資生堂と任天堂がランクインした。ただ、国際特許出願状況に比べると、国際商標制度の利用状況、国際意匠登録それぞれの日本企業の活用状況は活発であるとはいえず、上位に入る企業数は少ない結果となっている。

» 2021年03月24日 11時00分 公開
[三島一孝MONOist]

 世界知的所有権機関(WIPO)が2021年3月2日(現地時間)に発表した2020年の国際商標制度の利用状況によると、トップ10に日本企業から資生堂と任天堂がランクインした。ただ、国際特許出願状況に比べると、国際商標制度の利用状況、国際意匠登録それぞれでの日本企業の活用状況は活発であるとはいえず、上位に入る企業数は少ない結果となっている。

COVID-19の影響で微減となった国際商標登録

 WIPOによると、2020年の国際商標制度の使用状況(WIPOのマドリッド制度)は0.6%減少し、6万3800件となった。商標登録数が減少するのは、2008〜2009年の世界金融危機以来だという。商標登録については、新しい商品やサービスの導入に合わせて行われる傾向があり新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で、さまざまな経済活動が停滞した影響を受けた形だ。

 国別での状況を見ると、最も多くの国際商標出願を申請したのは米国を拠点とする出願人で1万5人となった。続いてドイツ(7334人)、中国(7075人)、フランス(3716人)、英国(3679人)という結果となっている。日本は、前年(3158人)から微減となる3117人で7位だった。

 上位10カ国の中で、2020年に二桁成長を続けたのは中国(16.4%増)のみだった。上位10カ国以外に目を向けると、韓国(13.4%増)、カナダ(94.4%増)、デンマーク(11.5%増)などが著しい成長を見せた。一方でフランス(16.3%減)、トルコ(15.4%減)などは大幅に減少した結果となった。

photo 国別国際商標出願状況(マドリッド制度)出典:WIPO

国際商標登録のトップ50に日本企業は2社だけ

 企業別での国際商標登録状況を見ると、スイスのノバルティスが233件の出願により、2020年の首位となった。これは前年より104件増えた結果で前年3位からのランクアップとなった。2位以降は、中国のHUAWEI TECHNOLOGIES(ファーウェイテクノロジーズ)が197件、日本の資生堂が130件、ドイツのADP Gauselmannが123件、フランスのロレアルが115件と続いている。

 トップ10に入った日本企業としては、資生堂以外に6位の任天堂(90件)がある。ただ、それ以外の企業はトップ50にも入っておらず、日本企業が国際商標をそれほど積極的に活用しているとはいいがたい状況が見える。

photo 企業別での上位のマドリッド制度出願人(クリックで拡大)出典:WIPO

 商標の国際出願における分類で最も多かったのは、第9類(コンピュータハードウェアおよびソフトウェア、その他の電気機器または電子機器など)で、2020年全体の10.6%を占めた。次いで、第35類(商業用サービス、8.1%)、第42類(技術的サービス、7.1%)が続いている。

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