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» 2021年03月26日 08時00分 公開

新CEOの「IDM 2.0」がインテルを戒めから解き放つ、ファウンドリー事業にも本腰組み込み開発ニュース(1/2 ページ)

インテルが、7nmプロセスの進捗状況や、ファウンドリー事業の立ち上げ、工場の建設計画などについて発表。2021年2月に新CEOに就任したパット・ゲルシンガー氏がグローバルWebキャストに登壇し、同社がこれまで堅持してきたIDM(垂直統合型デバイス製造)を大きく進化させる「IDM 2.0」のビジョンについて説明した。

[朴尚洙,MONOist]

 インテル(Intel)は2021年3月23日(現地時間)、同社が開発を進めている7nmプロセスの進捗状況や、ファウンドリー事業の立ち上げ、工場の建設計画などについて発表した。同年2月に新CEOに就任したパット・ゲルシンガー(Pat Gelsinger)氏がグローバルWebキャスト「Intel Unleashed: Engineering the Future」に登壇し、同社がこれまで堅持してきたIDM(Integrated Device Manufacturer:垂直統合型デバイスメーカー)のビジネスモデルを大きく進化させる「IDM 2.0」のビジョンについて説明。2021年4〜6月期には7nmプロセスラインの稼働を始めるとともに、200億米ドル(約2兆1800億円)を投じて米国アリゾナ州に2工場を建設し、独立した新事業部による半導体ファウンドリーサービスも立ち上げる。また、IBMとの新たな共同研究計画も明らかにするなど、インテルを厳しい現状から解き放つ(Unleash)ための施策を矢継ぎ早に打ち出した。

インテル新CEOのパット・ゲルシンガー氏 インテル新CEOのパット・ゲルシンガー氏。グローバルWebキャストで「IDM 2.0」のビジョンについて説明した(クリックで拡大) 出典:インテル

 ゲルシンガー氏が掲げたIDM 2.0は3つの施策から構成されている。1つ目は、半導体製品の最適化や経済性、供給力の面で重要な競争力を担う、インテルのグローバル工場ネットワークの活用である。ゲルシンガー氏は、製品の大部分を社内で製造し続けるというこれまでの方針を堅持することを確認した。

ゲルシンガー氏はインテルのパッケージング技術の集積となる「Ponte Vecchio」を披露 ゲルシンガー氏はインテルのパッケージング技術の集積となる「Ponte Vecchio」を披露(クリックで拡大) 出典:インテル

 また、7nmプロセスについて、EUV(極端紫外線)リソグラフィの採用を増やすことで開発が順調に進んでいることを明らかにした。2021年4〜6月期には、7nmプロセス採用のクライアント(PC)向けCPU「Meteor Lake」(製品コードネーム)のコンピュート“タイル”の製造に向けたラインの稼働を始められるという(なお、Meteor Lakeの製品出荷時期は2023年の予定)。ここでいう“タイル”は、半導体ウェーハから切り出されるダイに当たるが、インテルは半導体ウェーハプロセスだけでなくパッケージングプロセスにも技術的優位性があることから、今後は複数の“タイル”や半導体IPを組み合わせることで、半導体製品をさまざまな用途で展開できるようにしていきたい考えだ。

 ゲルシンガー氏はインテルの強みとなる2つの先進的なパッケージング技術を挙げた。1つは3Dパッケージング技術の「Foveros」で、CPUやGPU、AIアクセラレーターなどの“タイル”を垂直に積層することで高集積化を可能にする。もう1つは「EMIB(Embedded Multi-Die Interconnect)」で、異なる“タイル”を1つのパッケージの中で効率良く接合する技術になる。そして、これらFoverosとEMIBを用いたエクサスケールGPU「Ponte Vecchio(ポンテベッキオ)」を披露した。

 IDM 2.0の2つ目の施策は、TMSCやサムスン(Samsung)、グローバルファウンドリーズ(GlobalFoundries)、UMCといったサードパーティーファウンドリーの活用だ。インテルは、これまでも通信やコネクティビティ、グラフィックス、チップセットなどの製造でファウンドリーと協業してきたが、今後はより深い関係を築いていく方針である。ここでもキーワードになるのは“タイル”だ。ゲルシンガー氏は「2023年からは、クライアントやデータセンター向けの中核となるコンピューティング製品を含む、先進的なプロセス技術を用いたさまざまなモジュール式“タイル”の製造もサードパーティーファウンドリーで行うようになる」と語る。これにより、インテルの自社工場ネットワークだけではカバーしきれない需要に対する柔軟性と規模の拡大が可能になる。

 3つ目の施策になるのが、独立した新事業部でファウンドリー事業を担うIntel Foundry Services(インテルファウンドリーサービス、以下IFS)の設立である。現在、車載用途を筆頭に半導体の需給が逼迫(ひっぱく)しているが、今後も伸び続ける半導体の世界的な需要に対応するため、米国と欧州を中心にファウンドリー事業を展開する。このファウンドリー事業を担うIFSのトップには、現在Chief Supply Chain Officerを務めるランディル・タッカー(Randhir Thakur)氏が就任し、CEOであるゲルシンガー氏の直属となる。

 IFSは、インテルの持つ半導体ウェーハプロセスとパッケージングの技術に加えて、米国と欧州における生産能力や、x86、ARM、RISC-VなどのプロセッサコアとエコシステムIPを含めたIPポートフォリオを組み合わせることで、競合となるファウンドリーとの差別化を図るとしている。

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