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» 2021年04月15日 14時00分 公開

カオスな倉庫も独自技術で柔軟に走行、Rapyuta Roboticsの自律移動ロボットロボット×DXの最前線(3)(2/5 ページ)

[Mira Robotics 取締役COO 羽田卓生,MONOist]

最大50%の歩数を削減

 倉庫のピッキング業務自動化がもたらす効果は大別して2種類考えられる。生産性の最大化と、業務負荷、特に歩数の削減だ。rapyuta.ioはこの2つのいずれを優先すべきかを選べるようになっている。

 生産性の最大化については、出荷時間に合わせて、人間とロボットの数を最小限かつ最適な人数に抑えることができる。A拠点は閑散期でロボットを使わなくても業務が行えるが、B拠点は繁忙期でロボットを追加で運用したいというケースもあり得るだろう。こうした場合、rapyuta.ioが示したA拠点に最低限必要な台数を残し、他のロボットをB拠点に移すという選択肢が取れるようになる。

 歩数は最大で約50%に削減されるという。歩数削減はそのまま業務負荷軽減につながるので、重要な指標の1つだ。

“ロボット版Web”の構想から生まれた「rapyuta io」

 Rapyuta Roboticsは、同社 CEOのガジャン モーハナラージャー氏が2014年に創業した企業だ。モーハナラージャー氏は、久留米高等工業専門学校を卒業後、東京工業大学にて工学学士/修士を取得し、スイス連邦工科大学チューリッヒ校で博士号を取得した。

 ロボット開発における技術力はチューリッヒ工科大学在学中から注目を集めており、例えば、モーハナラージャー氏が開発した角の1点だけでバランスを取れる立方体型ロボットの「Cubli」は、YouTubeで1300万回以上も再生されている。もしかすると、見たことがある方もいるかもしれない。

Cubliのデモ動画

 チューリッヒ工科大学在学中に、ロボット同士の情報交換や、クラウド側での処理円滑化、ロボット同士の協調制御などの実現を目指した研究プロジェクト「RoboEarth」に参画する。これは、一言で表すならば“ロボット向けのWeb構築”を目指すプロジェクトだ。この中でraputa.ioの構想が固まり、後にソリューションとして誕生することになった。

 つまり、ハードウェア開発ではなく、プラットフォーム開発を起点に創業しているのだ。Rapyuta Robotics 執行役員の森亮氏も「当社のコアプロダクトはロボットプラットフォームだが、ロボット開発まで自社で手掛けることで、顧客のビジネスの立ち上げスピードが早くなる」と説明する。プラットフォーム設計の思想を最適な形で物流現場に反映するソリューションパッケージを顧客に提供する上で必要になったため、協働型ピッキングアシストAMRを開発したのである。

Rapyuta RoboticsのAMR概要

ハードウェアとクラウド基盤をパッケージ化して柔軟性を確保

 rapyuta.ioは、ロボットの機体、ハードウェア層である「マシンレイヤー」をはじめ、ロボット間とクラウド基盤との通信を行う「コミュニケーションレイヤー」、分散アプリケーションのビルドやロボットへのデプロイ、スケーリング、管理を行う「コンピュテーションレイヤー」、ソフトウェア開発効率を向上させる「インテリジェントレイヤー」という4つのレイヤーに分かれている。ロボットのハードウェア層から、クラウド基盤上の層をまとめることで、ロボットシステム全体の柔軟性やスケールの容易さを向上させる狙いだ。4つのレイヤーに相当する開発をロボットごとにバーティカルに行うと、開発効率が悪くなる上、ロボット同士の協調制御もうまくできない。

rapyuta.ioのレイヤー図。Rapyuta RoboticsのWebサイトより引用*出典:Rapyuta Robotics[クリックして拡大]

レイヤーの種別 役割
マシンレイヤー API又はWebUIを通し、全てのロボットからデータを収集、保存、可視化
コミュニケーションレイヤー ROSとの互換性を備えた、安全でスケーラブルなロボット間およびロボットとクラウド間の通信を実現
コンピュテーションレイヤー 全てのロボットとクラウド上で動作する分散アプリケーションの構築、デプロイ、監視
インテリジェンスレイヤー 異種・マルチロボットシステムにスケールと柔軟性を与える分散型インテリジェンス

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