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» 2021年04月15日 14時00分 公開

カオスな倉庫も独自技術で柔軟に走行、Rapyuta Roboticsの自律移動ロボットロボット×DXの最前線(3)(5/5 ページ)

[Mira Robotics 取締役COO 羽田卓生,MONOist]
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“カオス”な現場環境でもすぐ適応

 Rapyuta Robotics Business Development Managerの小堀貴之氏は、倉庫現場について「ロボットにはカオティックだ」と表現する。

 確かに、実際の倉庫の現場は混沌(こんとん)としている。多くの人が、ピックアップ用のカートを押しながら行き交い、棚からは段ボールの開けた耳がはみ出している。床も決してフラットではなく、多少のコンクリートの起伏もある上、何度も塗ったであろうペンキのラインが凸凹になっている。人間にとっては劣悪な環境というわけではなく、一般的に倉庫で見られる風景ではある。ただ、ロボットにとっては十分に“カオス”な周囲環境だろう。

ロボットにとって“最高”の走行環境というわけではない[クリックして拡大]

 しかし、Rapyuta RoboticsのAMRはこうしたカオスな環境でもそのまま走行できる。実際に京葉流通倉庫においても棚や床などにマーカーを張り巡らす、天井などにカメラやセンサーを多数設置するということもない。ロボットの充電ステーションと、数台のWi-Fi無線ルーター、そしてダッシュボードを置いているだけだ。

 ピックアップに使うオリコンも市販のものを、そのままAMRに搭載できる。森氏は「自社でロボットを設計開発しているので、日本の業界標準にすんなりと合わせることができた」と語る。オリジナルロボットを開発するメーカーならではの強みといえるだろう。

現場のロボットに「命を吹き込む」

 AMRは現場に持ち込めばすぐに使えるわけではない。当然、事前のアセスメントや、WMSとのシステム連携、マップ作製などの業務が発生する。Rapyuta Robotics 執行役員の森亮氏はこれら一連の作業を「現場に合わせてロボットに命を吹き込む作業」と表現する。

 といっても、Rapyuta Roboticsでは顧客の要件に併せたシステムの個別開発までは行っていない。いずれの顧客にも同一のソースコードを提供する。代わりに、導入後1カ月程度は現場に毎日通ってカスタマイズを行う。顧客企業に運用を任せきりにすることはない。こうした伴走によって、現場でピックアップ作業をしている人に「ちゃんと使ってもらえて、喜ばれるロボットシステムになっていく」(森氏)という。

 小堀氏は人間と協働する以上、ロボットは“先輩”である人間に愛される後輩になるべきだとして、「ロボットごとに名前を付けて、擬人化して、名前で呼んでもらえるようになってほしい」とも語った。

 Rapyuta Roboticsは、棚の最適配置や、ピックアップ要員の最適スケジューリングや、発注サイドへのフィードバックなどもいずれはrapyuta.io上で実現できるとしている。DXによる価値の広まりが倉庫内業務でも起きようとしている。


著者紹介:

Mira Robotics株式会社 取締役COO 羽田卓生(はだたくお)

1998年にソフトバンク入社後、出版事業部に配属。2007年のボーダフォン買収後は、通信ビジネスに主に従事。2013年、あらゆるロボットの制御を担う汎用の基本ソフト(OS)「V-Sido」を開発・販売するアスラテックの立ち上げ時より同社に参画し、現在同社のパートナーロボットエヴァンジェリストとして活動。2019年より、株式会社ABEJAに参画。2020年8月より現職。

任意団体ロボットパイオニアフォーラムジャパン 代表幹事、特定非営利活動法人ロボットビジネス支援機構(RobiZy)アドバイザーほか、執筆活動も行う。



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