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» 2021年04月13日 11時00分 公開

食の安全を守る認証規格、国際連携強化で輸出促進へモノづくり最前線レポート

食の安全と安心に関する展示会「食品安全対策展」(2021年3月9〜12日、千葉県・幕張メッセ)が開催された。その中で「食品安全マネジメント認証『JFS規格』の最新情報」をテーマに、食品安全マネジメント協会(JFSM)事務局長の小谷雅紀氏が、食品安全マネジメント認証「JFS規格」のHACCP制度対応など、最新情報を紹介した。

[長町基,MONOist]

 食の安全と安心に関する展示会「食品安全対策展」(2021年3月9〜12日、千葉県・幕張メッセ)が開催された。その中で「食品安全マネジメント認証『JFS規格』の最新情報」をテーマに、食品安全マネジメント協会(JFSM)事務局長の小谷雅紀氏が、食品安全マネジメント認証「JFS規格」のHACCP制度対応など、最新情報を紹介した。

日本発の食品安全マネジメント規格の普及

photo JFSM 事務局長の小谷雅紀氏

 JFSMでは「『HACCP制度化』と『輸出促進』の2つのキーワードで動いている。その前提として食品の安全性を証明することが重要だ」と小谷氏は語る。輸出促進については「2030年に5兆円」という目標が国策として掲げられているが、まだ1兆円にも満たない。今後はさらなる促進策が取られる見込みだ。

 一方、食品安全(Food Safety)とは、フードサプライチェーンにおける全ての事業者の義務(自己防衛)であり、品質という競争分野には該当しない、非競争分野に位置付けられている。安全は科学的な根拠に裏付けされた手法を導入しつつ、信頼を築き上げるもので、JFSMでは「安全+信頼=安心」という概念の確立に向けてのサポートを行う。

 コーデックス(Codex)食品衛生委員会が定めた食品衛生の一般原則によると、HACCP(Hazard Analysis Critical Control Point)に基づく衛生管理には7原則12手順が求められている。一方、小規模の企業においては人、財源、工程、知識などを考慮したHACCP適用の弾力的な対応が重要だとされている。また、小規模企業では効果的なHACCP計画の作成や実施のための財源、現場で必要となる専門的な知識を保有していない場合が多いため「業界団体や専門家、規制当局などから専門的助言を得るべきである」(小谷氏)とする。

 「食品安全マネジメントシステム」についての活動は、2000年頃から始まったが、当時はほとんどが海外認証のためのマネジメントシステムであり、2016年にようやくJFSMが設立された。JFSMは、食品マネジメントシステムの認証(適合証明)JFS規格と運用に必要な仕組み(プログラム)の開発、そしてプログラムオーナー(CPO)としてその運用に取り組む組織だ。活動理念として「日本発の食品安全マネジメント規格の普及などを通じて世界の食品安全へ貢献し、世界中の消費者が安心して暮らせる社会を目指す」というミッションステートメントを掲げている。

国際規格との連携強化

 JFS認証プログラムの仕組みは、基本的に認証機関による審査により、食品事業者が認証を受けるというものだ。JFSMは認定機関と契約して認証機関の審査・登録を行う。一方、JFS適合証明プログラムはJFSMがプログラムオーナーとなり監査会社を審査・登録し、その監査会社が食品事業者に適合証明を出すという仕組みとなる。「ここでの一番の違いは、われわれが監査会社に対して、ある一定の公平性の下で食品事業者への助言や指導を認めているところにある。認証のプログラムではそれは不可となる」(小谷氏)という。食品事業者が取り組み方を分からない場合、監査会社の専門家が監査前、監査中でも助言をすることができるなど、監査会社も食品事業者もレベルアップしやすい環境となっている。

 JFS規格の種類には、国際規格として認証されているJFS-Cの他、適合証明であるJFS-A、JFS-Bなどがある。JFS規格は食品安全マネジメントシステム(JSM)、ハザード制御(HACCP)、適正製造規範(GMP)の3つの要素で構成されている。

  JFS-A/B/Cの違いは、基本的に要求事項の内容であり、A規格は要求事項が11項目だが、B規格は同19項目、C規格は同30項目に及ぶ。なお、フードサービスセクター(G)のJFS規格は、フードサービス事業者のための規格、対象はレストランなどの飲食店、給食施設、仕出し弁当、弁当の製造施設となる。HACCPについては弾力的適用としており、今後、この制度化に伴い、このセクターを広げていくことをJFSMでは目指している。

 また、JFS-DTは、タイ向け青果物の選別および梱包施設に関係する規格であり、タイの規制に基づいた管理を行う規格を作成したものとなっている。これらを含めて、現状の全ての適合証明および認証登録件数は2021年3月8日時点で1428件となっている。特に「2020年からJFS-Bの取得件数が大きく拡大している」と小谷氏は語っている。

 消費財大手や小売大手が加盟する国際的な業界団体であるコンシューマーグッズフォーラム(CGF)の活動にGFSI(Global Food Safety Initiative)がある。GFSIではベンチマーキング要求事項を作成しており、その要求事項に対してJFSMの規格が合致しているかどうかを、精査し承認することもGFSIの役割となる。

 現在はGFSIのベンチマーキング要求事項としてver.2020を公表しており、JFSMではこの要求事項に合わせた規格にすることが要求されている。ver.2020には、新しい要素として「食品安全文化」が加えられた。食品安全文化とは、トップマネジメントも現場のスタッフも食品安全に対して責任をもって活動していることをプログラムとして採用することで、欧州で制度化された法規制に合わせたものだ。「このように世界的に食品安全文化というものが公的要求されるなど、グローバルでの動きはHACCPからさらに次の段階に入っている。われわれもこの流れを取り込んで、ver.2020に対したプログラムを作成中だ」と小谷氏は訴えている。このver.2020に即したものがJFS-Cのver3.0であり、ここに「食品安全文化」という要素を入れている。

 GFSIに承認された認証規格プログラムオーナー(CPO)は、世界に12団体があり、JFSMはアジア地域で初めてのCPOとなった。その他、日本ではASIA GAPやFreshcareが、CPOとしての承認を受けている。その他はフランス、英国、ドイツ、米国などほとんどが欧米地域のものである。現状、欧州では全食品事業者の13%がGFSI承認のプログラムの認証を取得している。世界的な認証発行数は162カ国、15万件以上でその数は拡大し続けている。

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