東芝の社長に綱川氏が再登板、電撃辞任の車谷氏は「再生ミッションやり切った」製造マネジメントニュース(1/2 ページ)

東芝は2021年4月14日、同社 代表執行役社長 CEOの車谷暢昭氏が辞任し、代わって取締役 会長を務める綱川智氏が新たな代表執行役社長 CEOに就任すると発表。同日オンライン会見を行い、辞任の経緯や今後の経営の方向性などについて説明した。

» 2021年04月15日 06時30分 公開
[朴尚洙MONOist]

 東芝は2021年4月14日、同社 代表執行役社長 CEOの車谷暢昭氏が辞任し、代わって取締役 会長を務める綱川智氏が新たな代表執行役社長 CEOに就任すると発表した。車谷氏からの辞任申し出を受けての人事で、同氏は取締役も辞任し東芝の経営から退く。

 綱川氏は1955年9月生まれの65歳。1979年4月に東芝に入社した後、2010年6月に東芝メディカルシステムズ(現キヤノンメディカルシステムズ)の社長に就任。その後、2015年に発覚した不正会計問題への対応に向けた東芝の新たな経営トップとして、2016年6月に代表執行役社長に就任した。

 しかし、子会社のウエスチングハウスの巨額損失が判明するなどして東芝はさらなる経営危機に陥った。そこで、経営再建に向けて2018年4月に会長兼CEOに就任したのが車谷氏である。このとき綱川氏は、代表執行役社長 COOとなり、経営トップから退いた。経営再建が軌道に乗り始めた2020年4月には、車谷氏が代表執行役社長 CEOに就任し、綱川氏は執行役を辞して取締役 会長となっていたが、再び経営トップとして東芝のかじ取りを担うこととなる。

東証一部上場への復帰で再生ミッションが完了し、車谷氏から辞任を申し出

 東芝は、車谷氏の辞任を正式発表した4月14日11時半から1時間後の12時半に、綱川氏と同社 取締役会議長 指名委員会委員長の永山治氏が参加するオンライン会見を開催。今回の経緯について説明した。

会見に臨む東芝の永山治氏(左)と綱川智氏(右) 会見に臨む東芝の永山治氏(左)と綱川智氏(右)(クリックで拡大) 出典:東芝

 永山氏は「車谷氏は2018年4月のCEO就任から、同年11月に『東芝Nextプラン』を発表するなど再生の方向性を示してきた。同プランのフェーズ1で基礎収益力を強化し、経営安定化の道筋を付け、2021年1月には東証一部上場への復帰を果たした。これで再生ミッションが完了したということで、同氏から辞任の申し出がありそれを受理した」と語る。

 また、新たな代表執行役社長 CEOである綱川氏については「前社長の時代に、東芝の極めて困難な局面でさまざまな経営課題を1つ1つ前進させてきた。2020年4月に執行役を退いているが、2021年4月7日付で株主とのエンゲージメントを特命事項として再び執行役に就いてもらっている。東芝にとって、今後の事業計画の確実に遂行していくなど経営のかじ取り役は必要であり、株主をはじめとするステークホルダーからの信任が厚く、社長として困難を乗り切った経験のある綱川氏が後任として最適であると判断した」(永山氏)としている。

 なお、2021年4月6日に行われたCVCキャピタル・パートナーズからの買収・非公開化の提案については「“初期提案”としても具体的な内容が少ない」(永山氏)として、現時点では評価が難しく慎重な検討を要するとしている。

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