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» 2021年04月26日 06時30分 公開

ブルーヨンダーはCNS社の“専鋭化”に必須、パナソニックが7650億円で買収製造マネジメントニュース(1/2 ページ)

パナソニックがサプライチェーンマネジメント(SCM)ソリューションを展開するブルーヨンダーの100%子会社化について説明。2020年7月に8億米ドルで同社の20%の株式を取得していたが、残り80%の株式の追加取得について、同社と、実質的な株主である投資会社2社との間で最終合意した。買収総額は71億米ドル(約7650億円)に上る。

[朴尚洙,MONOist]

 パナソニックは2021年4月23日、オンラインで会見を開き、サプライチェーンマネジメント(SCM)ソリューションを展開するブルーヨンダー(Blue Yonder)を100%子会社化することについて説明した。2020年7月に8億米ドル(約860億円)で同社の20%の株式を取得していたが、残り80%の株式の追加取得について、同社と、実質的な株主であるBlackstone GroupおよびNew Mountain Capitalとの間で最終合意した。買収総額は71億米ドル(約7650億円)に上る。

 買収総額の内訳は、80%の株式追加取得分が56億米ドル、ブルーヨンダーの既存有利子負債返済分が15億米ドルとなる。株式取得では、米国デラウェア州に設立した特別目的子会社とブルーヨンダーを合併させる逆三角合併方式を用いる。各国の独占禁止法手続きなどの審査を経て、2021年度10〜12月期までに買収を完了する予定だ。なお、買収総額が7000億円以上と巨額ではあるものの、パナソニックは2019〜2020年度にかけて約1兆円の資金創出超過となっており、買収ではハイブリッドファイナンスを用いた資本性補完も行うため、今後の投資活動にも十分な余力が残るとしている。

パナソニックによるブルーヨンダーの100%子会社化の概要 パナソニックによるブルーヨンダーの100%子会社化の概要(クリックで拡大) 出典:パナソニック

 2020年のブルーヨンダーの業績は、売上高が10億1300万米ドル(約1090億円)、調整後EBITDA(償却前営業利益)が2億4600万米ドル(約265億円)。2020〜2025年の年平均成長率は売上高で13%、調整後EBITDAで13%以上を見込んでいる。主力のSCMソリューションのサブスクリプションビジネスへの転換を急速に進めており、2020年の売上高に占めるリカーリング比率は67%に達している。今回の買収では、近年のブルーヨンダーの成長をけん引してきた同社CEOのギリッシュ・リッシ(Girish Rishi)氏をはじめ経営陣も残留することになっている。

ブルーヨンダーの会社概要と業績 ブルーヨンダーの会社概要と業績(クリックで拡大) 出典:パナソニック

 ブルーヨンダーは1985年にJDA Softwareとして創業した後、SCM関連のさまざまなソフトウェア企業を買収して規模を拡大。2018年にAI(人工知能)と機械学習を強みに持つブルーヨンダーを買収して、サプライチェーンの革新にそのAI・機械学習技術を掛け合わせていく方針を打ち出し、2020年2月には社名をJDA Softwareから現在のブルーヨンダーに変更している。米国アリゾナ州スコッツデールに本社を置き、従業員数は5545人。

CNS社の攻めるべき領域「現場プロセスイノベーション」を徹底的に強化

パナソニックの楠見雄規氏 パナソニックの楠見雄規氏 出典:パナソニック

 会見では、2021年4月1日付でパナソニックのCEOに就任した楠見雄規氏がブルーヨンダーの買収の意義について説明した。楠見氏は「当社が今後も、より良いくらし、より良い社会の実現に貢献していくには、全ての事業において攻めるべき領域を見定めて、徹底的に強化する、すなわち“専鋭化”していくことが必要だ。今回のブルーヨンダーの100%子会社化は、CNS社の攻めるべき領域である『現場プロセスイノベーション』を徹底的に強化するのにどうしても必要であると判断した。ブルーヨンダーが高い成長性を見込め、収益性と安定性の高いリカーリングビジネスモデルを有していることだけでなく、将来的にCNS社が現場プロセスを軸にサプライチェーン全体にわたる革命的なソリューションを生み出していく上で不可欠なピースになる。さらには、ブルーヨンダーのSCMソリューションでパナソニック自身のDX(デジタルトランスフォーメーション)を促進することで、われわれの持つ現場力やオペレーションを強化するという狙いもある。パナソニックにとって大きな意味を持つこの買収を、何としても成功させるために全社を挙げて取り組んでいきたい」と語る。

 これまでCNS社は、さまざまな現場から収集したデータを活用して改善を自律化する現場プロセス事業を展開してきた。ここにブルーヨンダーのSCMソリューションを取り込むことで、CNS社の持つ現場改善のソリューションを各現場や企業という壁を超えてサプライチェーン全体に広げていくことができる。「両社の組み合わせによって、サプライチェーン全体が自律的に改善を続けていけるようになる。これが、サプライチェーンにおける革命を実現することになる」(楠見氏)という。

パナソニックの目指すサプライチェーン改革ソリューション パナソニックの目指すサプライチェーン改革ソリューション(クリックで拡大) 出典:パナソニック
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