ニュース
» 2021年05月26日 06時30分 公開

5G向け電子部品や電池向けで需要高まる微粒化技術、スギノマシンが新工場工場ニュース

産業機械メーカーのスギノマシンは2021年5月25日、早月事業所内に建設を進めてきた新工場・微粒テストセンターの完成を発表した。超高圧微粒子化技術を生かした装置の開発と製造、同装置群を生かしたバイオマスナノファイバー材料の開発と製造などを行い、同分野の売上高1.5倍を目指す。

[三島一孝,MONOist]

 産業機械メーカーのスギノマシンは2021年5月25日、早月事業所内に建設を進めてきた新工場・微粒テストセンターの完成を発表した。超高圧微粒子化技術を生かした装置の開発と製造、同装置群を生かしたバイオマスナノファイバー材料の開発と製造などを行い、同分野の売上高1.5倍を目指す。

photo 新たに完成した早月事業所 微粒子テストセンターの外観(クリックで拡大)出典:スギノマシン

 新工場は、富山県滑川市の早月事業所内に設置し、2021年5月中にライン稼働を開始する予定だ。一部が2階建ての構造で、延べ床面積は2732m2となっている。技術研究棟と組み立て工場、テストセンターを併設する形で、投資金額は約15億円だとしている。

photo 超高圧湿式微粒化装置(クリックで拡大)出典:スギノマシン

 超高圧微粒化技術は、さまざまな分野への適用が期待されており、特に電子部品や医薬品において原料本来の性能を引き出すために注目を集めている技術である。粒子をナノレベルまで細かくすることで、表面積が増え、粒子の個数も増え、粒子の大きさがそろうことになる。これらが、さまざまな物質の機能強化につながる。特に電子材料であれば、電荷容量の向上や高機能化、流動性の向上などの効果が得られ、注目を集めている。

 スギノマシン 代表取締役社長の杉野良暁氏は「コロナ禍だが製造業は力強さを取り戻しつつある。そのキーワードが『脱炭素』と『5G』である。それに応じて、これらに必須の半導体や電子材料のニーズも高まっており、設備需要も旺盛だ。新工場はこうした電子材料の製造に必要な超高圧微粒化技術を集約した生産拠点となる。グローカルニッチリーダーとして富山から新たな技術を発信していきたい」と意気込みを語る。

photo 微粒子化技術の利点(クリックで拡大)出典:スギノマシン

 新工場の特徴は、同社のコア技術である超高圧微粒化分野において、研究開発部門と生産部門、テストセンターを集約しているという点だ。スギノマシン 副社長の杉野岳氏は「微粒化装置は導入するメーカーや環境によって異なる場合が多く、入念なテストを経て製品導入が決まるケースが多い。そこでテスト環境を強化することが重要だった。さらに、研究開発部門と製造部門がそれぞれ試行錯誤を行いながら、独自技術の開発を進めることから、これらも一体化した」と語っている。実際にテストについては従来1日で1〜2件受け付けられる程度だったが、新工場稼働後は1日4件となり、2倍の数がこなせるようになるという。

photophoto 微粒テストセンターの実験室(左)と大型機(右)(クリックで拡大)出典:スギノマシン
photo スギノマシンが展開するバイオマスナノファイバー「ビンフィス」(クリックで拡大)出典:スギノマシン

 さらに、これらの装置を活用し、スギノマシンが新規事業として取り組んでいる材料分野の製造も、新工場にクリーンルームを設置して実施する。スギノマシンでは、微粒化技術を生かし、木材の微粒化を行ったセルロースナノファイバー、カニの甲羅の微粒化を進めたキチン・キトサンナノファイバー、シルクの微粒化を行うシルクナノファイバーなどの素材を、天然由来バイオマスナノファイバー「ビンフィス」としてブランド化して展開している。これらの新たな領域開拓に向けても、新工場を中核拠点としていく方針だ。

 これらの取り組みにより、装置と素材を合わせた超高圧微粒化分野における売上高を1.5倍にする計画だ。「当面は素材の売上高は小さく装置が中心となる。活用のフィールドとしては、電子材料や食料品、顔料などを想定している。当面は5G対応の電子部品における素材メーカー向けが一番期待できると考えている」(杉野岳氏)。

 また、新工場の生産能力を生かし、海外進出にも積極的に取り組む方針だ。「ナノサイズ加工は米国や日本では進んでいるが、欧州はまだ市場化していない。この市場を作る意味でも、2022年3月期中には欧州市場に参入する。そのための拠点設立やパートナー選定の準備を進めている」(杉野良暁氏)としている。

≫「工場ニュース」のバックナンバー

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.