掃除機が「見える化」したのはほこりだけじゃなかった製造マネジメント メルマガ 編集後記

家電量販店で実物触ったらほしくなりました

» 2021年06月01日 12時00分 公開
[池谷翼MONOist]

 この記事は、2021年6月1日発行の「製造マネジメント メールマガジン」に掲載されたMONOistの編集担当者による編集後記の転載です。


 ダイソンが2021年5月26日、コードレス掃除機「Dyson V12 Detect Slim(以下、V12 Detect Slim)」を発売しました。この製品、コンセプトと技術の面白さはもちろんですが、製品発表会でのダイソンのプレゼンテーション方法もなかなか印象に残るものでした。

「Dyson V12 Detect Slim」のデモイメージ※出典:ダイソン

 V12 Detect Slimは人間の目では見えにくい細かなほこりを「可視化する」掃除機です。クリーナーヘッド部分に搭載されたグリーンレーザーが掃除機の進行方向を照らし出し、取り切れていない床のごみを浮かび上がらせます。この機能のポイントは床全体を照らし出すのではなく、床と水平になるように薄刃のようなレーザーを照射する点にあります。これによって、床とごみの間にコントラストが生じて、ごみが可視化できるという仕組みです。床全体を照らすと光の中にごみが“埋もれて”見えにくくなる可能性がありますが、これを防ぐのです。

 これだけ聞くと優れたアイデアに思えますが、発表会のダイソン担当者はこのレーザーを水平照射する機構について「完成までに500回の試作を繰り返し、当社が手掛けた中でも大きな時間を費やしたものの1つとなった」と吐露しました。そして、その努力の過程を伝えるかのように、その試作品を時系列順に並べて、開発プロセスを1つずつ解説したのです。

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